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【長編】善き羊飼いの教会

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【完結】長編小説。— DIVE episode B 01 ― 樫緒科学捜査研究所を訪れた鈴鹿の依頼を受け、所員の柊シュリとスルガは、連絡が取れなくなっている筒鳥大の学生三人の行方…
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#長編小説

善き羊飼いの教会 -Overview-

— DIVE episode B 01 ― 『あなたの罪は水の中に沈め、ただしき教会で願い求めなさい』 【…

善き羊飼いの教会 -Prologue-

 ふいの一撃で左目が潰れた。  恐ろしさで顔をあげられず、うつ伏せた惨めな姿勢で周囲を窺…

善き羊飼いの教会 #1-1 月曜日

〈柊シュリ〉      * 「あれ? お姉ちゃん、仕事、午後からじゃなかったの?」  鏡…

善き羊飼いの教会 #1-2 月曜日

〈樫緒科学捜査研究所〉      * * *  パーティションで囲まれた無機質なスペース…

善き羊飼いの教会 #1-3 月曜日

〈柊シュリ〉      *  わたしが調査員?  樫緒科学捜査研究所での調査を、このわた…

善き羊飼いの教会 #1-4 月曜日

〈酒坂二丁目・路上〉      * * *  酒坂二丁目は佐棟町の北東に位置しており、東…

善き羊飼いの教会 #1-6 月曜日

〈幽霊屋敷・勝手口〉      * * *  鈴鹿は周囲を見回し、柿本らのいた形跡がどこかに残っていないものか探してみた。  土の表面にタイヤで削られた跡が残っている。この跡は柿本たちの乗った車がつけたものだろうかと思いつつ、ふいに玄関のほうへ顔を向けたところで、不穏な単語が耳へ届いた。  死体を隠した者――殺人者――三人を相手。  調査員のスルガが、幽霊屋敷への侵入者を排除する〝凶悪な殺人犯〟の存在を示唆し、柿本たちはその者の手にかかったかもしれないといった推理を語って

善き羊飼いの教会 #1-7 月曜日

〈柊シュリ〉      *  庭にでると視界が一気にひらけたこともあってほっとした。  …

善き羊飼いの教会 #2-6 火曜日

〈柊シュリ〉      *  幽霊屋敷で撮影してきた写真の読み込みを実行していたスルガさ…

善き羊飼いの教会 #2-7 火曜日

     * * * 『一分は経ったかな。どこからも物音は聞こえず、家鳴りもなし。家の中…

善き羊飼いの教会 #2-9 火曜日

〈方解町・路上〉      * * * 「ひょっとして、黄山さんですか?」方解町に駐車し…

善き羊飼いの教会 #2-10 火曜日

〈柊シュリ〉      *  調査の一環なんてのは〝表向き〟の口実で、スルガさんは、のみ…

善き羊飼いの教会 #3-3 水曜日

〈樫緒科学捜査研究所〉      * * * 「死人のような顔をしてるぞ?」  若い刑事…

善き羊飼いの教会 #4-1 木曜日

〈樫緒科学捜査研究所〉      * * *  ロックを解除し、研究所の扉を開けたスルガは応接スペースまで早足に進んで、手にもったケージをテーブルへ載せた。載せるなり所長からあずかっていたハムスターがケージの中でせわしなく動きだす。  所長ら帰還の連絡はまだ入っていなかったが、家の中のハムスター臭が気になって仕様がなくなって研究所まで連れてきた。給湯室でハムスター用給水器に水を入れてケージにセットして、早朝に届いた長栖(ながす)からのメールを再読する。 『本日正午より、文