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【連作短編】世界の終わり

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【完結】群像劇。― end of the world 01 ― 連作短編小説です。
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#ホラー

世界の終わり #0 -Overview-

— end of the world 01 ― 生物を〈生ける屍・グール〉へ変化させる感染症発生によって封鎖…

世界の終わり #1-2 プレミア

 ぼくと板野、そして荒木がいる場所は、福岡市南区の高台に建つ、峰岸という人物が所有する個…

世界の終わり #1-4 プレミア

 すぐさま板野の姿が目に飛びこんできた。板野は扉のノブに手をかけて座っていた。ひとりだ。…

世界の終わり #1-5 プレミア

「あ?」間抜けな声をだした荒木が腕の力を緩め、眉間にしわを寄せて後方へと退く。  ぼくも…

世界の終わり #1-6 プレミア

          *  先月末、ぼくが働くフィギュアショップで、従業員による現金の持ち…

世界の終わり #1-8 プレミア

「ぼくらが欲しているのは、峰岸さんが収集しているフィギュアです。フィギュアを渡してくれれ…

世界の終わり #1-9 プレミア

          *  言葉を交わせば交わすほど、互いの距離は縮まるものだと実感。意気投合とまではいかないが、峰岸氏は街での暮らしを饒舌に語って聞かせてくれた。おかげでぼくは異国のように感じていた九州の実状を知ることができた。グール化した者は発見次第自衛軍に捕らえられて、日ごとその数を減らしているはずだが、日が沈めばどこからともなく現れ、荒廃した街を練り歩いているそうだ。捕らえられても次から次へと姿をみせるグールたち。峰岸氏は、ぼくらのように無断上陸を果たす者があとをたた

世界の終わり #1-10 プレミア

「レアものの点数は多くないが、個人所有にしては結構な数だよな。これだけの数を集めるのに、…

世界の終わり #1-12 プレミア

          *  いやァぁあ、嫌ッ――と、板野は声をあげるが、身体は硬直し、壁に…

世界の終わり #1-13 プレミア

「ほぉら、行こう。一緒に行こうね。足元に気をつけて。一緒に一階まで降りようねェ」  ねち…

世界の終わり #1-14 プレミア

「いぃいいッ、シ、シンッ!」  男の発した怒声が響き、横たわるぼくの眼前にスタンガンが転…

世界の終わり #2-1 ギフト

 九州南部に位置する邦根町周辺には〝日本初〟という言葉がセットになった公共事業が数多く存…

世界の終わり #2-2 ギフト

「やぁ。おはよう」  福岡市内の動物園跡地を拠点としている、人権擁護を目的とした市民団体…

世界の終わり #2-3 ギフト

 正門前の駐車場では、山岡と数名の〈TABLE〉メンバーが、緑色の服を着た男たちと口論していた。 「やぁやあ、掛橋(かけはし)さん、いいところにきてくれた。彼らじゃ話にならなくてねぇ」明らかに作っているとわかる笑みを浮かべて、緑色の服を着た男の一人が、右手をあげて近寄ってくる。  周囲にいた者の視線が、一斉(いっせい)に掛橋へと向いた。「掛橋さん」と、あちこちからあがる声。右端に立っていた山岡だけは、眉根を寄せてそっぽを向いていた。 「早い時間からどうされましたか、郡部(ぐん