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2022 035:マイルス・デイヴィス - The Bootleg Series 7 : That's What Happened 1982-1985

「マイルスは常に再発見され続けている」みたいなことは度々語られる。新しい音楽が出てきたときに、新しいジャズが出てきたときにマイルスが引き合いに出されることは今でもメディアで見かける光景だ。アコースティック・ジャズにおいてはかのセカンド・クインテットが参照され続けている。ラージ・アンサンブルとなればギル・エヴァンスとの一連のコラボレーションがそのルーツとして語られる。エレクトリックなサウンドやポストプロダクションの話になれば、テオ・マセロとの共同作業がインスピレーションになることが今でも少なくない。もちろん『カインド・オブ・ブルー』や『死刑台のエレベーター』にもそれぞれに同じような文脈が存在する。ただ、再発見も再評価もなかなか進まない時代がある。それは1980年代以降のカムバック後のマイルスだ。

2010年代以降、その時代の音源に再び光を当てようとするようなリリースが少なくない。『TUTU デラックス・エディション』『ラバーバンド』などがそれにあたる。

今回、リリースされたマイルス・デイヴィスの公式ブートレッグ・シリーズの第7弾はその決定打的なものと言えるだろう。内容は1982年から1985年までの4年間の様々な未発表音源。つまり『スター・ピープル』(1983)、『デコイ』 (1984)、『ユア・アンダー・アレスト』 (1985)の3作のアウトテイクが軸になる。

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