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母の脳梗塞発症の日

その日は突然だった。

夜7時からの透析を母は自分でやっていたのだが、その日は排液の出が悪いということで、私も一緒にその場にいた。最初2人で会話してたのだが、途中で母の反応がないことに気づいた。揺り動かしても反応が少ない。でも少し経つと反応はするようになった。だけど、言葉を発しなかった。これは明らかに脳の異変だろうと思って、名前を聞いたり、テレビの中の物を指差して質問したけど、考え込んでしまい、言葉が出てこないようで笑ってごまかしている感じだった。顔も半分が垂れ下がっている感じ。明らかにおかしい。

私「救急車呼ぶから病院行こう」

母は、嫌だと言った。馬鹿にしないでと怒鳴っていた。後からわかったのだけど、こういう時、本人は、自分の異変に気づかないという。だから、私がふざけていると思ったらしい。

救急隊の方が来た時には、少し症状がおさまっていた。会話もできていたし、私以外の人は、元々こんな感じの喋り方なんだなと思ったと思う。ただ、明らかに不整脈があったようで、最後まで拒否していたけど、なんとか病院まで連れて行った。

CTの検査をしてもらったが、最初、特に異常は見られないという話だった。先生とも普通に会話していたらしく(私は待合室にいた)、今日はとりあえず帰っても大丈夫だけど、後日検査を受けた方がいいということで、処置室に母を迎えに行った。会話はできたけど、明らかに呂律が回っていなかった。ただ、高齢だし、今日初めて母に会った人なら気づかないレベルのおかしさ。とにかくいつもと違う。看護師さんが、ご家族がおかしいと感じるのであれば、やはり、おかしいですね、もう一回検査しましょうとなった。

結局、その日のうちに入院。幸いにも病室が空いていて、その夜から、点滴治療が始まった。これも後からわかったことだが、脳梗塞発症してから時間がどれくらい経過しているかによって治療も変わってくるらしく、まだ数時間しか経ってなかったので、早くて良かったと言われた。

今回、初めてのことでわからないことばかりだったが、一番怖いのは、本人が全く無自覚なこと。その時、熱もなければ特別、血圧が高いわけでもなく、頭が痛いとかでもなかった。しかも、数分後には、症状も少し改善したので、もしかしたら、一晩様子を見て、明日病院に行こうと思う人もいるかもしれない。

先生も言っていたが、いつもそばにいる家族がおかしいと思うかどうかその感覚はとても大事だそうだ。コロナ禍で医療逼迫のニュースを連日見ているから、救急車を呼ぶことも実は少し躊躇った。本人が嫌がってだこともあるけど。でも、結果的に早く処置できたことで、後遺症も軽くて済んだと思っている。

この記事を読んでくださった方で、今後同じような局面になった時に思い出してくれたら嬉しい。大事な家族を失わないために。



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