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唯一無二の体験を創り出す!「NFT」がコミュニティにもたらす価値とは


NFTとは?

こんにちは。イーライフのアドバイザー水野です。
前回の『急速に拡がる「ChatGPT」の波!果たしてコミュニティでも使えるのか?』に引き続き、今回もデジタルテクノロジーに触れてみたいと思います。

テーマは「NFT」。みなさんは聞いたことがありますか?
NFTは「Non-Fungible Token」の略で、非代替性トークンと訳されます。わかりやすく言えば「替えが効かないデジタル資産」。ブロックチェーン技術を利用したNFTによって、デジタル上のアート作品やコンテンツの所有権・真正性を証明することが可能になるのです。

NFTの基盤となるブロックチェーンは分散型台帳とも呼ばれ、ひとつのまとまったデータをバラバラに分散させ、それぞれを特殊なデジタル空間に格納することでセキュリティと透明性を維持する技術です。ビットコインをはじめとする金融資産の世界でよく聞かれる言葉ですね。

では、そのNFTがなぜ、マーケティングやコミュニティの領域で有効なのでしょうか?近年NFTは、アーティスト、クリエイター、コレクターに新しい取引方法として広く受け入れられ、メディアの注目を集めています。著作権や知的財産といった所有者の権利をNFTで保護することで、固有のコンテンツに価値が生まれ、それに価格を付加することで売買に繋がり、新たな市場が生まれつつあるのです。

アート界からビジネスの場まで広がるNFT

現在NFTが最も価値を発揮しているのが、コレクティブ(収集品)売買の領域です。なかでも一躍脚光を浴びたのが、アメリカのデジタルアーティストBeepleによる「Everydays: The First 5000 Days」。2021年3月にNFTとして販売されたこの作品は、なんと6,935万ドル(約75億円)で落札されました。

ビジネスの場では、NIKEやGUCCI、adidasなどのブランドがNFTを活用しています。NIKEは2023年5月、初のNFTのスニーカーコレクション「Our Force 1(OF1)」をデジタル上のマーケットプレイス「.Swoosh」で発表。発売延期や技術的トラブルも重なったそうですが、それでも売上げは100万ドルを超えたとのことです。

参拝した証しとなる「御朱印NFT」

国内でも、NFTのユニークな活用方法が見られます。お寺や神社を訪問する際に入手できる御朱印をNFTで発行する取り組みがそのひとつです。御朱印は、神社仏閣にお参りして、お祀りされている本尊様・ご神体の身代わりとしていただくもの。

しかし昨今では、御朱印を撮影してSNS等にアップすることが主目的となり、肝心の参拝を省いてしまうケースも少なくないのだとか。また、そうしてアップされた御朱印の画像は誰でもダウンロードできるため、無限にコピーされてしまう可能性も。

そこで、訪問した証しとなる「御朱印NFT」を発行することで、デジタルでありながらも「自分が参拝していただいた」という本来の価値を付加することができるのです。

NFTはコミュニティの価値を高められるか?

御朱印NFTの取り組みは、企業のコミュニティ運営のヒントになるのではないでしょうか。企業コミュニティの多くは、会員の体験価値を高めるためにさまざまなイベントを企画すると思います。そして、そのイベントに参加した証しとしてポイントインセンティブや参加証などを発行することもあるでしょう。

例えば「JALの旅コミュニティ trico(トリコ)」では、コミュニティ内の活動で獲得できるバッジプログラムがあります。バッジは「グルメマスター」「機材マスター」など7種類が用意され(2021年5月時点)、会員のモチベーションアップや他の会員とのコミュニケーション活性化などに役立てられています。

バッジであれば会員間で譲渡したり複製したりすることは考えにくいですが、イベント参加のデジタルインセンティブであれば複製して譲渡される可能性があります。その場合、インセンティブの価値は下がってしまいます。したがって、デジタルの制作物にNFTを付加して受領者固有の権利とすれば、その制作物の価値が高まるとともに、受領した会員のモチベーションアップも期待できますね。

「ちょっといい話」第15回まとめ

「ブロックチェーン技術を利用した、唯一性を確保するNFT」などと表現すると難しく感じてしまいますが、「世界でたったひとつであることを証明するラベル」のように考えると、意外と使える用途は広がるかもしれません。

企業の固有資産は、画像や映像、テキストだけでなく、その場に居合わせたこと自体が価値につながることもあるでしょう。コミュニティ内のさまざまな接点を「たったひとつのもの」としてNFTで証明することにより、新しい体験が生み出せるのではないでしょうか。