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イノベーションを生む!「コミュニティの声」を社内に活かす方法

コミュニティを社内で活用するのは誰?

こんにちは。イーライフのアドバイザー水野です。
企業コミュニティにおける会員の「声」👩💬は、企業活動のヒント💡として活用することがありますよね。企業コミュニティは通常、ファンづくりなどの目的で広報部門やマーケティング部門が主管することが多いですが、会員の貴重な「声」は、もっとさまざまな部署で活用できるのではないでしょうか。

例えば、お客様との接点が少ない部門に会員の「声」を届けることは、お互いの業務によい影響を与えるはず。なかでも「研究開発部門」は、そうした「ナマの声」を活かせる部門のひとつなのです。

イノベーションを起こすのに、お客様の声って必要?

「え、研究開発部門?」と思われるかもしれません。
ここでいう研究開発部門とは、各企業が持つ技術シーズから、新規事業に貢献するための基礎的な研究🧪を行う部門のことです。企業の成長📈の基盤となる技術を長期的な視点に立って開発する役割ですから、お客様との接点は少なくて当たり前。研究開発部門がイノベーションを起こすために重視されるのは、「現在お客様が欲しいもの」ではなく、「未来がどういう環境になるか」なのです。

有名な話があります。まずは、次の2枚の写真をご覧ください。上の写真が 1900年、下の写真が1913年のニューヨークシティ🗽の様子です。

出典:"Fifth Avenue in New York City on Easter Sunday in 1900" By an unknown photographer, 1900, National Archives and Records Administration, Records of the Bureau of Public Roads(30-N-18827) [VENDOR # 11], https://www.archives.gov/exhibits/picturing_the_century/newcent/newcent_img1.html
出典:File:Ave 5 NY 2 fl.bus.jpg, From Wikimedia Commons, the free media repository, https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Ave_5_NY_2_fl.bus.jpg

どうです、大きく様変わりしているでしょう❓1908年にT型フォード🚗が発売されて大ヒットとなり、たった10年あまりでこんなにも光景が変わったのです😲❗
当時、フォード社の創始者ヘンリー・フォード氏はこう言ったそうです。
「もしお客様の声を聞いていたら、彼らは『速い馬🐎』を望んでいただろう」と。

お客様は、目に見えるものの延長でニーズを膨らませるため、時にはお客様の声はイノベーションにとってプラスにならない面もあるという事例です。

確かに、お客様の現在の困りごとや要望を把握しても、研究開発のタネになる可能性は低いかもしれませんね😓でも、イノベーションのアイディアを出す過程では、取り巻く周辺の事象について情報収集し、お客様の行動や意識を幅広く知ることは大切です。

現在、世の中にあふれているモノやサービスは、機能面ではほぼ差がありません。機能以外の付加価値に対してのイノベーションアイディア💡を求めるのであれば、お客様の声、特にコミュニティからの声を活かすのは有効だと思うのです。

研究開発部門で活かすコミュニティの声

イノベーション創出を担当する研究開発部門において、コミュニティの声がなぜ有効なのか。それは、次のような理由です。

お客様の声を収集するには、調査パネルなどを用いたアンケート📋やインタビュー形式🎤が主流です。商品やサービスの機能に関する評価であれば、設問ストーリーが明確なアンケート・インタビューのほうが効率的かもしれません。しかし、課題は「イノベーション」なのです。
みなさんも、「ふわっと」した会話のキャッチボールから、インスピレーションが湧いてきた経験があるのではないでしょうか❓決まった設問ストーリーよりも、自由なコミュニケーションの場を設けたほうが、有益な情報を得られる可能性が高いのです👍

そこでおすすめしたいのが、「変化球のテーマ」⚾です。「直球のテーマ」ともいえるアンケート形式に対し、「変化球のテーマ」とは、コミュニティのなかで議論の発散を促す投げ掛けのこと。
直球のテーマから少し軌道を変えた「変化球のテーマ」⚾を会員に投げ掛け、自由な会話のキャッチボールを促してみてはいかがでしょうか。

なお、企業コミュニティのちょっといい話Vol.7『コミュニティでVOCを生み出すには?「変化球のテーマ」でファンの声を発散!』では、この「変化球のテーマ」について詳しく説明していますので、そちらも併せてご覧ください😊

「&KAGOME」の研究開発部門での活用事例

私が過去に運営に携わっていたカゴメ株式会社のファンコミュニティサイト🍅「&KAGOME」🍅での活用事例を紹介します。

「&KAGOME」には、カゴメがトマトジュース専用に品種改良したトマト苗「凛々子」をみんなで栽培する「トマコミ」というコンテンツがあります。このトマコミのなかで、研究開発部門に所属するトマト品種改良のスペシャリストが“博士”🎓として「変化球のテーマ」⚾を投げ掛け、盛り上げに一役買ってくれました⤴⤴

博士🎓にしてみれば、実際の栽培者のナマの行動を観察できる貴重な機会 。2022年のトマト栽培チャレンジでは、博士が投げたテーマに対して、コミュニティ上で会員が“博士のアシスタント”となり、栽培の様子をたくさんアップされていました。博士🎓はシーズン終了後、こんなコメントを掲載しています。

<博士の研究アシスタントにご参加いただいたみなさん>
博士も試行錯誤しながら、新しい品種を研究・開発していますが、みなさんからの色々な投稿を見て、今回育てていただいた品種たちのいいところ、改善したほうがよいところなど新発見がたくさんありました。
みなさんのご参加・ご協力、本当にありがとうございました!
今後の研究・開発に活用させていただきますね^^
来年も色々な企画を考えていきますので、ぜひぜひご参加くださいね。

会員のみなさんはトマト栽培🍅を楽しみ、コミュニティは盛り上がり、そして研究開発部門は新しいアイディアやヒントを得られる。まさに、「三方よし」の活用方法ですね🌈

「ちょっといい話」第9回まとめ

企業コミュニティは、商品やサービスの紹介はもちろん、それ自体の評価・レビューなどを集めるのに有効です。しかし、企業にはさまざまな部門が存在しています。コミュニティを主管する広報部門やマーケティング部門だけでなく、各部門がお客様の声に耳👂を傾けるべきだと思います。

イノベーションを生み出す研究開発部門🔬にとっても、それは同じです。 企業コミュニティは、そうした幅広い企業活動に対して、お客様や社会との接点を「声」でつなぐことのできる、価値のあるプラットフォームなのではないでしょうか😀