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好きです韓国。行かなくてもハマる国

「早く見たいけれど見終わりたくはない そんな気持ちで待つ最終回」
これは、歌人・俵万智さんが、ある韓流ドラマについて詠んだ歌だ。その気持ち、ものすごーくわかる…。
実はいま、韓流ドラマに「沼落ち」状態なのだが、夜な夜なドラマを見ながら色々なことを思い出している。


いまから20年ほど前のこと。
サッカーワールドカップが日韓共同開催されることになった。当時、地方テレビ局で番組制作をしていた私は、そこで暮らしている韓国の方々に、「草の根日韓交流」について取材してまわっていた。

数年前に韓国から来日していたHさんは、私よりほんの少し年上の女性。日本の大学院を修了後、大学をはじめ公民館などあちこちで韓国語を教えていた。Hさんにはドキュメンタリー番組の主役の一人として密着取材をさせてもらい、すっかり意気投合して、プライベートでもひんぱんに会うようになっていた。

何度か手作りの韓国料理もごちそうになったし、Hさんの韓国語教室に通ったりもした。日本文学にも造詣が深いHさんは、「日本でもちょうちょのことを“てふてふ”って書くでしょう。それと同じような感じです」というように、言葉を学ぶうえでのたとえ話が絶妙だった。(まあ、私は自己紹介レベルで挫折をしてしまったのだが…)


Hさんから聞く、韓国文化はとても興味深かった。血のつながりがなくても、親しい年上の人のことを、お兄さん、お姉さんと呼ぶこと。若者の恋愛観について。お決まりの挨拶のひとつに「食事はもうすませましたか?」というものがあるように、相手が空腹でないかとても気にするということ。年上にはきっちりと敬語を使うので、知り合った相手の年齢をすぐに尋ねてしまうということ。
顔もそっくりで、こんなにも近い距離ににあるのに、韓国について本当に何にも知らなかったなあ、と痛感する。

この時期、Hさん以外にも、取材を通じてさまざまな人と知り合うことができた。脱サラして韓国料理店をオープンした日本人男性。ソウル大学出身の歌手で、韓国の歴史や政治について会うたびに色々レクチャーしてくれた男性。在日3世の同世代の若者たち。娘を韓国に嫁がせた日本人女性。

いま思うと当時の1年間くらい、日本にいるのにまるで韓国に住んでいるかのような、「韓国漬け」の日々だった。日常的に韓国語が聞こえてくる。日本と韓国の間には、難題が横たわり続けているのはもちろん知っているが、彼・彼女らを通じて語られる韓国と接するうちに、韓国という国が大好きになっていた。


あれから20年。
冒頭の俵万智さんの歌、これは今年、韓国で高視聴率を得た「ヴィンツェンツォ」というドラマについて詠まれたものだ。私もこのドラマの虜になった一人だ。

本

韓流ドラマの魅力を語ると止まらないので今回はやめておくことにするが、韓国語の響きを聞くたびに、あの頃のことを思い出し、ああいいなあ韓国、と温かい気持ちになる。実際に韓国を訪れたのは2泊3日を2回、それも取材のみ。(これはこれでユニークな体験をした。そのときの記事はこちら「韓国で珍お泊り体験」

しかし、長期間滞在しなくても、その国の文化にどっぷりとつかることができる、ということがよくわかった。

韓流ドラマに沼落ちしたのを機に、実は初めて(!)新大久保を訪れてみた。

ソウル市場

韓流百貨店

ランチ

お土産

韓国に行かなくてもこんなにお土産が揃ってしまった。新大久保初心者には驚きだ。これはこれではまりそうだ。

(text&photo:Noriko)©elia



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