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#002 ELS-Rが宇宙市場に提供できる価値とは?|ElevationSpaceの『宇宙、配信中。』


「ElevationSpaceの『宇宙、配信中。』」とは?

株式会社ElevationSpaceの、プレスリリースやイベントでは伝えきれないディープな情報を、宇宙ビジネスを取り巻くホットな話題とともに、社内の様々なメンバーと楽しくお届けするポッドキャスト番組です!

ElevationSpaceは、「宇宙環境利用・回収」という、数ある宇宙ベンチャーの中でも、特に珍しい事業に取り組んでいるスタートアップです。
二回目の配信となる今回は、CFOの河邊さんとともに、「宇宙環境利用・回収サービス」や宇宙市場について、そして2024年の抱負をお送りします。

インタビュアーは、広報・PRの武藤です。


1.CFO 河邊尚貴 自己紹介

-早速ですが、自己紹介をお願いします。

河邊
ElevationSpace CFOの河邊です。資金調達、その他経営企画的な領域と、経理、人事、総務の管理部門を担当しております。よろしくお願いいたします。


2.「輸送」ともいえる宇宙環境利用・回収とその目的

ーこの番組では、毎回、ゲストの言葉で、私たちが取り組む宇宙環境利用・回収の目的や意義について伝えているんですが、河邊さんからもElevationSpaceが取り組んでいる事業について紹介をお願いします。

河邊
まずは、事業と目的についてですね。
身近なところで想像しやすいものだと、運送トラックや飛行機がイメージとしては近いと思っています。中に物を積んで、地球から宇宙に行って地球に戻ってくる、輸送に近いサービスを提供しているイメージかなと思っています。

宇宙は、地球上と全然違う環境です。真空や無重力であったり、放射線に晒されるといった点ですね。
なので、宇宙に運んで地球に戻すことで、「宇宙環境に晒すとこうなるんだ」という発見に繋がったり、地球で動作しても宇宙で動くかは分からないという機器の動作確認をしたり、あるいは、運んで行った物が宇宙特有の環境によって何らかの状態変化を起こして、高付加価値なものになるということもあると思います。
そうしたサービスを提供することを目的としています。

ー「輸送に近いサービス」という点で、まさに去年、Japan Mobility Show(旧東京モーターショー)という、モビリティの展示会に登壇させていただきました。「人工衛星が、なぜモビリティ?」というのが、今の河邊さんの話に繋がるかなと思います。

河邊
そうですね。私たちが開発する「ELS-R」の最大の特徴は地球に帰ってくるところで、 中身も返すという意味においては、輸送という表現が、私の中ではしっくりきます。


3.宇宙環境利用・回収 その意義とは?

ー宇宙環境利用・回収の意義について教えてください。

河邊
大きくわけて意義は2つあります。

ひとつは、宇宙開発全体のコストが下がること。
例えば、ZOZO創業者の前澤さんが宇宙旅行した際、費用が数十億円みたいな話を聞いたことがあるかもしれませんが、なぜ価格が高いのかというと、サプライがものすごく限定的で、1個1個の物の値段が高いことにあります。
地上で使われている部品も、宇宙機に転用できるものは多いはずなんですが、宇宙で動いたという実績がないために衛星メーカーとしても使えず、流通が増えない状況です。

それを、一度うちの衛星に載せれば動作確認ができるし、仮に不具合が起きたとしても物が手元に返ってくるので、「ここを少し改良したらすぐ使える」とか、 逆に「これはもう絶対使えないかも」というようなことが分かるんですね。
そういうジャッジができると、サプライヤーがどんどん増えて、全体のコストが下がることに繋がるというのが、提供できる価値だと思っています。

もう一つは、地球上の生活に役立つようなキラーコンテンツが登場すること。
例えばライフサイエンス分野では、人工臓器を宇宙で作って地球に持って帰ってくるとか、既に行われている取り組みで言えば、重力がない環境を生かして、高品質なタンパク質の結晶を作って新薬開発につなげるといった取り組みもあります。
そこから実際に新しい薬が開発されたら、ひとつのキラーコンテンツになりますよね。すると、他の分野でも、宇宙でなにか取り組みを行おうという動きに繋がっていくと思います。


ーひとつめとして挙げられた「宇宙のサプライヤーが非常に少ないために高コストになってしまっている」という話は非常に重要なところだと思います。

製造業や宇宙機関連など、宇宙市場にこれから参入していきたいような会社さんに我々の人工衛星を使っていただき、 様々な部品とかコンポーネントの実証をして、宇宙できちんと動くという実績を獲得していただく。そうして宇宙市場のサプライヤーになっていただきたい、というのが我々としても願いですね。

河邊
そうですね。我々は衛星メーカーなので、ミッションクリティカルな部品で不具合が起きてしまうと、ミッションそのものが成り立たなくなります。そういったものについては、どうしても信頼性を重視せざるを得ません。その中で、信頼できるサプライヤーさんってどれだけいるのかという話だと思っています。

サプライヤーが少ないので言い値で買うしかないという現状が、宇宙開発のコストを上げていて、衛星も作りづらいし、新規参入もしづらいという障壁になっていると。
日本として宇宙産業が発展していきづらいという現状に繋がっていると思います。


4.転職、そしてCSOからCFOに

ー河邊さん自身のことについてお聞きします。ElevationSpaceへの入社はいつでしたか?

河邊
正式に入社したのは2022年4月ですね。
ただ、その前から、一番最初はプロボノ、その後業務委託として関わっていました。

私は前職が、ローランド・ベルガーというコンサルティング会社なんですが、2021年の9月頃、コンサルや投資銀行みたいなところにいる人と、ディープテックスタートアップをマッチングさせるプラットフォームに興味本位で登録したところ、小林(代表取締役CEO)に声をかけてもらって、話を聞いてみたらすごい面白そうで。
まずは、無償で手伝える範囲でというところで手伝ったっていうのが最初の接点ですね。


ー2022年4月にCSO(Cheif Strategy Officer)という形でジョインされましたが、現在はCFO(Cheif Finacial Officer)という肩書になっています。このあたりの経緯を教えていただけますか?

河邊
やってること自体はあんまり変わっておらず、その実態に合わせて、肩書きも変わっていったというのが近いかなと思います。

コンサル時代は、大きな市場の第一線にいるような上場企業さん相手に、長期ビジョンの策定やM&A、新規参入の戦略立案といった仕事をしていました。

しかし、ElevationSpaceのような当時2期目の会社に、正直言って戦略もアセットもない。産業全体も発展している最中で、新規性の高いソリューションを提供しようとしていて、比べられる企業もない。

そんな環境下で、どうやって事業を発展させていくか、会社を成長させていくかというシナリオを描き、1個1個積み上げていこうとなった時に、第1歩としてやはり資金集めが重要だと。
自分としても資金獲得のほうにウェイトをかけるようになっていて、それに合わせて肩書を変更したという経緯です。


5.宇宙ベンチャーの資金調達とは

ー宇宙ベンチャー全体の一般論として、 資金調達状況をどう感じていますか。

河邊
2023年に、ispaceさんとQPS研究所さんが上場されました。宇宙ベンチャーを取り巻く環境としては、それ以前とそれ以降で、全然違う形になっていると思います。

市場全体としては、2022年の後半ぐらいから米国市場がどんどん崩れていって、投資環境自体が厳しくなっているという全体感はあると思います。それに合わせて、いわゆる「宇宙バブル」はもうすでに終わっていると。
なので、逆にいま、あるべき形になっているんじゃないかなと思います。


ー投資環境が厳しくなる中、現実的かつ実現可能性の高い事業に投資が集まるということはあるんでしょうか。

河邊
おっしゃる通りだと思っています。これまでは将来の見通しに対して比較的楽観的でしたが、そこをシビアに見られるようになってきたと思います。


ー国内でも宇宙戦略基金が立ち上がり、宇宙ベンチャーに投資をする環境が整いつつあると思うので、投資するに値する事業会社であるというところをアピールしていくことが重要なのかなと思いました。

さて、2024年1回目の放送ですので、河邊さんの今年の抱負をお願いします。

河邊
私の役割を考えると、資金調達において投資家の皆さんの理解と協力を得て、会社に使える資金を増やしていくことが1番求められてることだと思っていますので、それをしっかりやっていきたいと思っています。

また、会社として魅力のある、働いていて良かったなと思ってもらえるような、制度設計や組織作りを行っていきたいと思います。

加えて、我々は技術の会社なので、グローバルの競合と比べた時にどこで強みを出していくのか、どうやって技術開発をして、中長期で競争を築いていくのかを考えていきたいと。そういった面にも積極的に関与していきたいですね。

▼経営陣の年頭所感はこちら


ーありがとうございます。
魅力ある組織作りというお話をいただきましたが、 ポッドキャストでElevationSpaceについて皆さんに伝えていくこともぜひ頑張っていきたいと思いますので、 今年もどうぞよろしくお願いします。


6.最後に

今日はCFOの河邊さんとお届けしました。

今後も、経営陣をはじめ、様々なメンバーに出演してもらいながら、いろいろな人の言葉でこの会社や取り組んでいる事業についてお話していこうと思います。
ぜひ楽しみにしていただけたら幸いです。


この番組では、みなさんからの感想やこんな話が聞きたいというリクエストをお待ちしております。Xで  #宇宙配信中  というハッシュタグで投稿してください。
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それではまた次回の「ElevationSpaceの、『宇宙、配信中。』」でお会いしましょう!







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