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反るぐらい真っ直ぐ:第1話 これは恋か愛かどっちだ

 フォルムが気に入ったんだ。
 特に、ふくらはぎのラインが真っすぐに近い曲線で。
 単に細さってことじゃなくって。
 反り返るような姿勢なんだ。

「ねえ。帰りに何食べる?」
「たこ焼き」
「いいねえ」

 姓名判断の占い師さんが小さなテーブルを置いて誰かの悩みを聴いているアーケードの支流で、たこ焼きを買ったんだ。
 こんなんで商売成り立つのかと思ったけど、三人の先客が焼きから保温に入っている半球の鉄板から笹船にたこ焼きを乗っけて貰ってる。

「ねえ。蓮見はすみくん。これってなんていうんだっけ?このたこ焼きをひっくり返すやつ」
「さあ。訊いてみれば?」
「あの、すみません。その千枚通しみたいな道具の名前って何ですか?」
「はは。お客さん、さっきおっしゃいましたよ。そのまんまですよ」
「え?」
「『たこやきをひっくり返すやつ』ですよ」

 僕はそれが冗談なのか本当なのかよく分からなかったけど、ずっと昔のホルモン焼き屋さんみたいな路地に向けた鉄板のスペースで出来上がったたこ焼きをひと舟受け取り、薄い底の熱がほんわりと伝わってくる底を僕の手の平に乗っけてふたりで爪楊枝で突ついたんだ。

「おいしいね。蓮見くん」

 ああ。
 おいしいよな、縁美えんみ

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