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令和2年度 理論科目 問15 電験3種過去問


問題

出典:令和2年度第三種電気主任技術者理論科目B問題問15

考え方

(a)は、Y-Δ変換によって、1相分を考えた後に、線電流と相電流の関係に注意しながら求めれば良い。
(b)は、単相電力計が読み取っている電圧・電流に注意する必要がある。間違いを防止するためにベクトル図を書いて、求めていく。

解答例

(a)
Δ結線をY結線に変換して、線電流を求めていく。変換後の1相分の等価回路は、図1のようになる。

図1 1相分の等価回路

Δ結線からY結線の変換は、関連記事を参照してもらうとして、今は抵抗$${R}$$が全て等しいので、Y結線にすると、その$${\frac{1}{3}}$$倍となるため、図1において、$${R=3\,{\rm{Ω}}}$$となっている。よって、線電流$${\dot{I}_{a}}$$は、

$$
\begin{align}
\dot{I}_{a}&=\frac{\frac{200}{\sqrt{3}}}{3+j4}\notag\\
&= \frac{200}{\sqrt{3}\left(3^{2}+4^{2}\right)}\left(3-j4\right)\notag\\
&=13.86-j18.48\,{\rm{A}}\tag{1}
\end{align}
$$

となる。線電流の大きさ$${I_{a}}$$は、

$$
I_{a}=\sqrt{13.86^{2}+18.48^{2}}= 23.1\,{\rm{A}}\tag{2}
$$

となる。Δ結線の相電流は、線電流の$${\frac{1}{\sqrt{3}}}$$倍なので、

$$
I_{\rm{ab}} = \frac{23.1}{\sqrt{3}}=13.34 \,{\rm{A}}\tag{3}
$$

と求まる。よって、(a)の答えは、(2)である。

(b)
単相電力計が読み取っている電圧は、線間電圧$${V_{bc}}$$である。電流は、線電流$${I_{a}}$$である。図1で1相分を考えたが、これは、電源側と負荷側をY結線とした時の1相分であるから、ベクトル図は、Y結線を考える。よって、ベクトル図は、図2のようになる。

図2 問題のベクトル図

図1で考えたように線電流$${\dot{I}_{a}}$$は、遅れの電流である。$${I_{a}\cos(\theta)}$$は、式(1)より$${13.86}$$、$${I_{a}\sin(\theta)}$$は、式(1)より$${18.48}$$である。また、線間電圧$${\dot{V}_{bc}}$$は、図2より、$${-j200}$$となるので、電力$${\dot{S}}$$は、

$$
\begin{align}
\dot{S} &= \dot{V}_{bc}\bar{\dot{I}_{a}}\notag\\
&=-j200\left[I_{a}\left(\cos(\theta)+j\sin(\theta)\right)\right]\notag\\
&= 200\times I_{a}\sin(\theta)-j200\times I_{a}\cos(\theta)\notag\\
&= 200\times 18.48-j200\times 13.86\notag\\
&= 3.696-j2.772 \,{\rm{kVA}}\tag{4}
\end{align}
$$

となる。単相電力計が測定しているのは、有効分のみなので、指示値は、$${3.696\,{\rm{kW}}}$$となる。よって、(b)の答えは、(3)となる。

関連記事

Δ結線
https://note.com/elemag/n/nbd92bde1cdcd?sub_rt=share_pw

Y結線
https://note.com/elemag/n/n69982181d762?sub_rt=share_pw

抵抗・インピーダンスのY結線とΔ結線変換
https://note.com/elemag/n/n84457ec9f7d7?sub_rt=share_pw

サイト

https://sites.google.com/view/elemagscience/%E3%83%9B%E3%83%BC%E3%83%A0

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