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2-2「不測の事態に対するアドリブ対応について」/キャンペーンデザイナーズノート

前回のストーリーラインはこちら

はじめに

今回の要素として、

・ついに登場したヒロイン候補

・前回に引き続きプレイヤーと打ち合わせしたプレオーダーセッション

・明かされるべき謎の情報の出し方

・プレイヤーに対するゲームマスター側からの設定の提案等、

色んなポイントがありますが。

まずは、ここを明らかにするべきでしょう。



どのあたりが不測の事態だったのか?



それは、


メイン回復役の回復判定が2ラウンド連続で1ゾロによるファンブルとなり、プレイヤーサイドが敗北したところです。悲しい!

ソードワールドというシステムはね、大回転クリティカルと1ゾロには勝てないんですよ!

多分データ至上原理主義者は言うでしょう、「だからメインヒーラーは種族を人間にしろとあれ程…」

だが待って欲しい。

TRPGは、戦闘に勝つのは楽しさの一要素であって、戦闘に必ず勝つようにデータを組むことは、面白さの要素の1つではあっても、必須要項ではないはずです。

ダイスによる不幸が襲い掛かったとしても、それは卓として楽しさを担保するために乗り越えるべき試練だと思います。

連続1ゾロというある意味不可抗力でヒーラーが悲しみを一身に背負うような卓があってはならないのです。

そんな事故が巻き起こったこのセッションですが、今回も楽しむために多くの仕込みがありました。まずは事前準備の方から確認していきましょう。

担当プレイヤーとの打合せ


セルゲイ担当プレイヤーからヒアリングを行った今回のオーダーは「キルケー=ランカスターと悪い大人のやり取りをしたい」

というものでした。その展開はストーリーラインで紹介した通りです。

今回から物語のメインストリームとして、12人の聖戦士と彼らが使っていた武器を巡る展開を要素の一つに据えることは決まっていました。

また、第二部全体のテーマとして「タージ探索の協力者を集める物語」にすることも決めていたため、キルケーはプレイヤー達にとって一部信用出来ない協力者となり、

タージを共に目指す存在としてイオーレ=ナゼルを設定しました。

この2人を同陣営としたうえで、今回のシナリオにおける各参加キャラクターとイオの関係性を構築していきます。

セルゲイにとっては元主人の食客
オリヴィエにとっては同種族(ティエンス)で同境遇(為政者の庇護下にいた)
パルフェタにとっては同じ聖戦士の末裔
エノテラにとっては元パーティーメンバー

これらの関係性を元に、シナリオの各シーンにおいて、メイン担当キャラとして話題を振っていく想定を固めておきました。

F.E.A.R系のTRPGシステムで「シーンプレイヤー制」として知られるこの方法はソード・ワールドとは必ずしも親和性があるわけではありませんが、

イオは今回のシナリオの後も、キャンペーン全体で関わってくるキャラクターになる予定のため、プレイヤーとの印象付けを強めることを目的として試験的に実施しました。

前回のストーリーラインを読んで頂けた方には、それぞれのキャラクターがイオとの関わり合いの中で文脈に登場していたことを理解して頂けるかと思います。

プレオーダーシナリオにすると、打ち合わせした特定のキャラクターを常に中心に考えてしまいがちですが、他のキャラクターをあまりに脇役扱いしてしまうことは、卓の満足度を下げてしまいがちだと考えています。

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