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1-2「キャンペーンにおける戦闘とバランスについて」/キャンペーンデザイナーズノート
1-2「キャンペーンにおける戦闘とバランスについて」
ストーリーラインはこちら。
このキャンペーンにおいて、戦闘BGMはFF11の音楽を使うことが多かったです。学生時代にプレイしていましたが、総ログイン期間は2年(※)くらい?懐かしいなぁ
※え、計算が合わない?またまた御冗談を…
ソードワールドというシステム。バランスに関して色々と言う人はいるようですが、僕はおおむね優れた戦闘システムだと考えています。
そもそも、TRPGにおいて戦闘とは何のために行うのか?
これはGMごとに異なるとは思いますが、僕の考えを3点述べます。
◎システムで整備された、プレイヤーがカタルシス的喜びを感じるために乗り越えるべき障害。
◎プレイヤーが自身の心の中で描くカッコいい自キャラをカッコよく活躍させるためのきっかけ作り。
◎結果演技の中で、チームの一員として役割を果たし仲間に貢献することで楽しくなるためのシステム。
この3点です。
TRPGは「大人の人形遊び」なので、そこには楽しさと喜びが多く含まれていることが望ましいと考えています。何といっても遊びですから。
ある程度システムに慣れたGMは、ほぼ100%「すげー難しい戦闘バランス組んでみたい」という考えに支配されます。これは世界の真理です。
卓によっては正解の場合もあるでしょう。適切な戦術選択と、無駄のないキャラビルドで強敵を突破する喜びは、確かにあります。
が、基本的に長期キャンペーンにおいてギリギリの戦術バランスというものは、組むのが難しい事情があると考えます。以下に理由を説明します。
1回のセッションを積み上げて徐々に成長していくレギュレーションは、基本的にビルド面で「小さな無駄」が発生することがほとんどです。
言い換えると、成長リソースが同条件である前提において、最初から高レベルで組むキャラは、1から成長を積み上げたキャラに比べ、少し無駄がなくなる傾向があるということです。
どうしても1から積み上げた時、最初から完成状態を目論み、そこから逆算して成長していける人は多くはありません。成長方針に悩み、スキル選択に悩み、迷いで心がぶれる中で成長していくことが多いと思います。
気が付くと、実は要らなかった錬技や騎芸、たまに特技なんかがキャラシート欄に並ぶわけです。おいこれ以上はやめろ。
しかしこれには良い面があります。これらの試行錯誤が自キャラへの愛着に繋がります。ソードワールドは成長の過程考察や特技選択のジレンマが楽しい。キャラの強弱関係なく、成長が楽しいシステムなのです。
そんな楽しい作業と引き換えに「少しだけ丸い(※)キャラ」が出来て、苦しい苦しい戦闘バランスでギリギリの役割を果たせと要求するのはGMのエゴが表に出ていることが多いと思います。
※弱いとまでは言いません。あと、セッションごとにスキルセットをリビルドするようなキャンペーン卓は想定してませんよ!そういう遊び方もありますけどね。
さらに、このキャンペーンにおいては、その出欠管理のシステム上、毎回メインストーリーに参加するパーティーの編成が違うという事情が発生します。
加えて、プレイヤー人数がとても多い。全員がルールや戦術、ビルド論に興味を持ち、精通しているとはとても思えません。2-6-2の法則でしたか、あんな感じの分布がこの会にも当てはまっていました。
運営としては、やはり全体に楽しんでほしい。難しい戦闘を組んで、システムや戦術に慣れていない人が、上級者のマリオネットになる事態はなるべく避けたい。
よってこのキャンペーンの戦闘デザインは原則として「ちゃんと編成されたパーティーがメインロールに従い普通に戦えば余裕で敵を吹き飛ばせる」バランスを想定していました。GMにとっても、ギリギリの戦闘バランスって組むにはそれなりのコツと難しさがあります。
そこで事故(※)が起こってプレイヤーが沈んでしまってはたまりません。
※ファンブル!1ゾロ!2d6の期待値は5やぞ!
それよりは、プレイヤーに楽しんでもらうために、自分のキャラをカッコよく活躍させることに対するコストが低くなるように設計していました。
もちろん、このバランスは一部の「戦術論に優れる」プレイヤーにとっては物足りない部分があることは否定しません。そこに全く応えないのもどうかと思い、先出の2-6-2の法則に従い、全体の2割くらいは「戦闘がきついシナリオ」を組むつもりでいました。全21回なので、その2割…4回ですね。
結果的に、全体を通して4回ほど「頑張らないと勝てないかも」な戦闘を組みました。それが上手くいったのかどうかは、また該当時に言及します。
結論としては、プレイヤーの分布や好みを勘案しつつ、基本的には楽な戦闘を心がける。自分のキャラクターにメインロール(※)の部分でカッコ良く活躍してもらう。素晴らしいですね!
※タンク、アタッカー、ヒーラー等、パーティー内で果たすことを期待されるポジション。
さて。
そろそろ、前回の記事を読んでいただいた方からツッコミが入っていると思います。
緋色の瞳をした白いドラゴンは、口から光のブレスを吐き出し、一行を吹き飛ばす。アスタローシェはそのまま竜玉のオーブを手に飛び去って行った。
おめー、いきなり負け戦闘仕込んでるやんけ!
せ、せやな。
敗北イベント。特に電源系ゲームでは良く仕込まれているアレです。
葦名弦一郎、お前のことだよ!さっぱり上手くならなくて攻略に二日もかけたぞ!
そもそも敗北イベントは何のために存在するのか?
負けた後、同じ相手に強くなって勝利することでカタルシス的喜びを得るのが正しい用量・用法です。攻略に数時間なら良い思い出になりますが、二日とか苦行ですよ。正しい用量大事。
ただ、TRPGでは難しいのですよね、敗北イベントって。プレイヤー満足度はもちろん下がりやすい傾向がある。
これは対人ゲームであることも影響していると思います。
GM、私たちに勝てない敵を出して手のひらで転がしていたのね!?的な感情。
つ、次の機会を用意するから!と言い訳をしても。
このキャンペーン、毎回編成が変わるので、強くなって再戦…にはならないかもしれない。
大体、こういうのはGMの自己満足です。
そう、自己満足ですよ。GMだって好きに楽しみたいじゃないですか!ドレイクカッコいいからね、仕方ないね。(※)
※余談。冒険者レベル3のパーティーでモンスターレベル6のドレイクに勝つのは当然難しいです。が、世の中には「ドレイクに勝つための3レベルのパーティーを組め」とオーダーされたら組める人もいるでしょう。貴様の方がモンスターじゃ!
さて。
既にこの頃には、第二部最終話までの展開をある程度組んでおり、ドレイクという種族、アスタローシェというキャラクターを物語中盤までのライバル的ポジションに据えることは決めていました。
その上で、敵を印象付けるにはやはり、一度プレイヤー陣営にその力を見せつける必要があります。
ソードワールドの戦闘システムで負け戦闘を組むのは、特に中レベル帯以降では難しいと考えています。それこそ、理不尽なレベルで圧殺するか、キャラの長所を徹底的に潰すギミックでも仕込むかでもしない限り。そこまでやってもプレイヤーキャラの取れる選択肢が増えてくると、上手く戦術を組むことで回避されるかもしれない。
まともに「それなりの勝負になって結果として負ける」という形の敗北イベントを組めるのは、採れる戦術の選択肢が少ない序盤の内だけだと思っていました。
上記の理由で、ある程度PCが強くなる前に敗北イベントを仕込むならここしかない、と考えて実行しました。ま、まあプレイヤーサイドの出目が良く、思ったより善戦したので結果的にセーフ。
え、もっとクリティカルがたくさん起こって、HPが削り切られたらどうするつもりだったのかって?やだなあ、ボスを強化する剣のかけらの数が非公開なのはこういう時のためじゃないかHAHAHA!
しかしプレイヤーに悲壮感を与えないために、シナリオヒロインに当たるクリスを殺すつもりは一切ありませんでした。「プレイヤー側の奮闘で、負けはしたものの、助けられた人はいる」という形にすることは大事なことだと思います。
ところで。
GMとしては、敗北イベントはこの1回だけの予定でした。
しかし、GMの思う通りにはならないのがTRPGの常。
結果的にこのキャンペーンで、プレイヤーサイドは今回を含めて全部で3回の敗北を喫します。ひええ。
まあ、それぞれに事情がありました。これには深いワケが…
戦闘の敗北=バッドエンド にはしない方法も、幾らでもあります。これはまた該当案件ごとに解説しようと思います。
戦闘バランスは難しいよね!ということでひとつ。
それでは、また次回。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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