見出し画像

兄が自殺して10年経った

雰囲気とか、喋り方とか、絶妙にマイノリティな感じとか
小さい頃から結構憧れていた。
自分の部屋はその頃まだ1階でおもちゃに囲まれて1人でレゴを組み立てたり
特撮のおもちゃで1人で遊ぶことが多かった。
外の通りで兄2人と近所の友達で楽しそうに野球やサッカーをしているのを幼い頃の僕はずっと眺めていた。物質的な満足で言えばおもちゃに囲まれていた自分は相当幸せだったんだと今は気づくけれど
その頃の自分には家の前の道路とボロボロのボールと兄たちが何より羨ましかった。歳の離れている兄弟ならではの感覚なのだろうけど
あの場所で遊ぶのが"かっこいい"そう思っていた。単純に1人でいるのも寂しかったのだろうけど、外で活発に遊ぶ文化がない自分には眩しすぎた。

年を経て長兄は少しお洒落なものに手を出していた
バンド・ピアス・ゲーム・タバコ
少しアウトローな感じ、正統派じゃない感じに自分は心底憧れていた
思い返せば自分も高校時代にはバンドをやり、ピアスを大量に開け、ゲームをして、タバコを吸い始めていた。やっぱり似るもんなんだなぁ。

一方4人兄弟の次兄と姉は自分にとっては眩しすぎるくらい真っ直ぐだった。
しっかりアクティブでしっかり勉強できて、自分の中で"こうならなきゃいけない"という人物像にぴったりだった。
けれど自分が根本的に曲がった人間なのは薄々気付いていた。
一度ねじ曲がった銅線を真っ直ぐに戻しても結局は真っ直ぐにはならない、
わかりやすい真っ直ぐな正義に勝手に押しつぶされそうになっていた。

必然的になつくのは長兄だった。
飼い犬の散歩に行って、たこ焼きをかって自分が食べているときに長兄はタバコを吸っていた。その姿がなぜか小学生ながらかっこいいと思っていた。
立ち姿なのか、幼心に何かちょい悪ポイントに気付いていたのだろう。
確か銘柄は金マルだったっけ。そこだけは趣味が合わなかったね。


気付いたら兄貴は消えていて
次に会えたのは中学2年頃だった、すっかりお腹が出て
はげ始めた??
みたいに話している長兄になぜか遠くに行った気がして
これ以上話したら、今必死に真っ直ぐになろうとしている心がまた元どおりねじ曲がってしまう気がして会話ができなかった。
最後だった。


次報告された時には
兄は火葬されてどこかわからない富士山の山麓に遺灰は巻かれたとだけ聞いた。

いろいろな事情があって、何かがあって
遺灰は巻かれたんだろう。
だけど、死に顔をみれていない自分はどこかで 長兄の死を"心で理解していない”。
まだどっかいるんじゃねえかな?
死んだことは理解できてもなぜか周りにいる。そんな実感が強く残った。
そんな不思議な感覚とずっと共にあって未だにそばにいるのではと錯覚してしまう。
なぜか兄の死まで憧れている自分がいるからだ。
今はもうなくなってきたけれど、

大会前には絶対に2人で挑むようにしている。
きっと無念だったろう、わからんけど、勝手に考えるけれど
あなたに不誠実だった自分に死ぬほど後悔しているから
誠実に2人で挑みたいと考えている。
人前に立つの嫌がってるくせに目立ちたがり屋の長兄にフレアなんて最高の場所だったろうから
自分が紹介してやろうと、勝手にやっているだけれどね。
父親と祖父母、飼い犬は嬉しそうに演技の前は肩を押してくれるよ。
一緒に頑張ろうね。

あと5日たてば長兄の40の誕生日。
自分は自殺せずに、楽しく人生生きれてるよ。
たまに死にたくなるけどね。笑

まぁそんな妄想も今日で終わりにしようと思う
中二病から卒業しなきゃだし。
今けんちゃんのように腹出てきたよ、少しはげてきたかもだし、後輩にカッコつけちゃう、少しアウトローでいちゃう。笑

ちゃんと僕の中であなたは生きているから
胸を張って毎日生きることにする。
改めての宣言だけどね。

ありがとう!

きっと人生で大変なことって皆さんもたくさん経験してますよね。
僕なんかより大変な思いしている方もいらっしゃるので何も偉そうには言いませんが
なんとなく良いエピソードにして
たまに対話してみると、自分が人生でぶれなくなる
そう気づきました。

”日常を少しかっこよく”は
きっと長兄の少しのアウトロー感から来ているのでしょうね。
辛いことでも結局見え方次第、結果次第。

人間は消えて無くなる瞬間があります。
死んだ時じゃなくて

忘れ去られた時。

当たり前すぎて笑えるけど。
ゲームのキャラだって、グラフィックが消えたって記憶に残ればまだ存在している。
だから少しでも多く生きたいから、みんなの中に自分がいて自分の中にみんながいて欲しい。

殺伐としてきている世の中だから
幸せな人間がみんなの中に存在するように。
今日また誰かをハッピーにできるように。

note書いて
フレアして
カクテル作ります

重い話だってハッピーになるもんですね。笑
読んでくれてありがとうございました。

エレキ:鈴木明広

いただいたサポートは全てフレアバーテンディング業界の発展に使わせていただきます。