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眠れぬ夜の絶望と夕刻街を照らす希望100首

上の方が最新なので降順。


100.好きですも愛していますも届かない天の川の先で待ってて

99.「送ってよ」言えない、一人が好きだしさ  暗くなる前にお暇するね

98.腕時計眺めて一人背を伸ばす  素敵なことが起きる気がして

97.一口のアパタイザーの大皿の  無音のサーブ  筋力の張り

96.月が綺麗ですねが  好き  になるなら、 陽向のようなあたたかさ  君

95.浴槽は布団に似てる潜ったら思考の海に溶けだす身体


94.この手から宇宙へ投げる  必要な人のとこまで言葉よ電子よ


93.夢うつつ詠めば忘れてしまうのに五七を数える癖は澱まず

92.ツイートは散らばったままでいいけれど短歌はまとめたくなる百首で

91.大空がキャンバスと言って一筆を任されたなら何色ですか

90.「本当の幸い」を探しに行くと言い、地球の裏まで  私を見ずに

89.会う人の癖かき集め作られる 私の体  言葉  考え

88.漆黒から眠れぬ人の営みの分だけ引いて夜色とする


87.「本当?」を3つ重ねて飲み込んで信じた知った気になっていた

86.瞬く街灯  寿命かな  うとうとしてるのかな  泣いてるのかも

85.本当を話してばかり傷だらけ  足りなかった"優しい嘘"とか

84.君のこと嫌いだったよ  いつからって?  初めからだよ知らないでしょう

83.「うみ」と「そら」の間に「くも」があること五十音表のいたずらの夢

82.子どもなら流星群に飛び乗って地球の裏にも行けたかな

81.気になるものちょっと見つけて説明を読んでる人の身体の捻れ

80.泣きたいよ  いつまで膝を抱えてる  背伸びしながら泣いたっていい

79.君のこと 好きだ と言ってみたかった  伝えてのちは嫌いになるだけ

78.何者でもない僕達は死者にすら自分の意思でなれそうもない

77.なんとなく僕ら似ている気がしてさ  好きになったけど傲慢だった

76.世界が眩しくて己は陽炎  蝉の鳴き声に貫かれ

75.風鈴の音は好きだけど風鈴の音で涼める夏はもう死語

74. 「希望」 とは見つけて初めて見えるもの  ただ薄闇を揺蕩うわたし

73.〜あらすじ〜で戻した本  買った本  背表紙が忘れられない本

72.東京も悪くないなと思う瞬間とき   朝の6時と酔いの20時

71.寝不足の日に本屋行く  「積読が…」 囁く理性  日向に置いて

70.金夜に集う関係  来ない奴の近況も誰かしら知ってる

69.「親友」ってどう読むんだっけ  「友達」の言葉ばかりのバーゲンセール

68.共に生きることがリスクになるなら  どこまでだって背負わせて欲しい

67.出逢う人、嫌いでいたい  好きになるとはいつか傷つくことを指す

66.車道の真ん中の線を平均台みたいに歩いていたかった朝

65.瓶詰めの貝殻の白さ傾けて こぼれ出す砂  潮  あの夏

64.夏太陽  夢描くだけじゃ届かない  希望孕んだ高い高い空

63.泣くより笑うより簡単なのは「怒る」ですか「諦める」ですか

62.「いつか」を何回繰り返して僕らは夢を諦めるのだろう

61.あの頃はもっと輝いていたらしい  顔認証の一瞬笑う

60.どの町を歩いても君と居たかった  泣きたい夜は笑いたかった

59.人生を諦めきれない僕にさえ掴めるものがあるというの

58.いつか見た夢の終わりに辿り着けるのは人生何周目だろう

57.マルバツのトンネル抜けると雪国だ  バツが煌めく 「社会」 という名の

56.あと一歩勇気をください  未満から友達以上に離れるための

55.風も音も消えた 水だけがある星で枯れていく君だ笑ったまま

54.晴れた空 雨靴と土 下げた傘  虹はいらない君が見えない

53.眠れない夢を見たこと  少し寝た証になるかな気のせいかな

52.友達がいない、海に誘ったら友達のまま帰れるような

51. 「しかし」 「つまり」 義務教育の読解文に人生語られてたまるか

50. 共感?女心?違う  マチガイが起きない女同士は楽だ

49.もう二度と別れたくない誰とでも  一人の世界で花を育てる

48.人が人に会う労力を想う  この街の全てがただの奇跡だ

47.ずっと仲良しでいることともっと仲良しになることの狭間を縫って

46.読書には体力が要る  想像の羽を広げて飛び立つための

45.ハリネズミにすらなれない  僕はただ君とは違う星に生まれた

44.その足で立って笑って息をしているそれだけで元気と呼びたい

43.人生の時計の針が見えるなら10時10分は美しいですか

42.(七夕)その人が同じ球面の先にいる  妬ましいほどイージーモード

41.(七夕)星ならばいずれ光は届くのに  人の想いは曲がりひねくれ

40.傷つけて輝くもの「ダイヤ」「真珠」「女の一生」本望ですか

39.朝が来る 夜明けが希望を表すから私たちに居場所が無かった


38.俯く人に上向かせるなら虹より降りめの雨をください

37.いつか壊れるって信じてる でないと幸せを享受出来ない

36.みな死んでしまったのですかこの星に僕らだけなら踊りませんか

35.何時までも見ていたい夢があったこと夢の中では笑えていたこと

34.何度目の夢を見ようか僕たちは一生会えないことを知ってる

33.僕たちはどこで間違えたんだろう きっと世界を造った時から

32.ねえちょっと一回死んでみない?きっと楽になれる気がするんだよね

31.魔法より確かなものを残したい 魔法使いの僕の足跡

30.愛は終わる 夢は見るだけ 明けない夜は無いなら一生朝でいい

29.「流れ星」「愛が世界を救う」とか笑った奴から大人になった

28.何時だって笑っていれば平和だと子どもの頃に教わったまま

27.名人の泥団子みたいに愛されたかった真珠もダイヤも嫌い


26.何光年旅をしたって僕達は「希望の光」とやらになれない

25.荷を捨てて走り出したくなる夜に一番重たいものが理性だ

24.本当は笑っていたい 来世ではきっとあなたと愛せるように

23.いつかを今に変えられる そんな勇気を僕にください

22.世界に一人きりの夜明け前  ロングコートが白で良かった

21.車絶え  人気ひとけも無いなら渡ろうか  見上げた先の信号の青

20.名前を呼びたくなるのは恋ですか愛ですかその逆はなんですか

19.落ちるより失う方がドラマだった  画面の外で羨みたかった

18.健気に咲けば見てもらえますかわたしでも路傍の花になれますか

17.満月から一滴寂しさを取って私のもとへ明かりをください

16.信号があるから人は夜道でも上を見上げて歩いていける

15.椀のような欠けた月に運ぶなら涙は何夜で溢れるだろう

14.あと幾夜足りない月に寂しさを分けてあげたら満ちるだろうか

13.産まれたての子鹿のように歩くなら  世界はもっと優しかったろ

12.着ないまま秋が終わると嘆いてた  秋服纏って落ち葉を踏みに

11.可愛いとめんどくさいの境目も小指の糸ほど不確かな赤

10.好きなんて言った数だけ消えていく そういうことにしておきたかった

9.いつかまた、いつかまたと思いつつあの日ばかりを想い出してる

8.飛行機が描く白線の延長に君がいるなら、僕なんてもう

7.君のいない傘ならいっそ閉じたまま 頬の温度も指の遊びも

6.妄想も独り善がりも置いていく 君さえいない白い砂浜

5.笑ってよ 『追われる女』でいたいのに君の背中がどうしても好き

4.満月がそこに円いと知りながら君がいない夜は下ばかり見る

3.もういいよと告げる君の声冷たくてかくれんぼなら泣いてしまうな

2.夜半すぎの月を見ようと背を反らす君の姿が僕の欠け月

1.どんな愛も終わることがあると知った人だけが辿り着く砂浜




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