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コラム13:ラッキーな鯛に嬉しくなって、グラッパを飲めば、月が微笑む

ビール好きの方はご存知かも知れませんが、エビスビールのラベルには、稀に鯛が二匹描かれているものが紛れ込んでいます。

“ラッキーエビス”と言われるもので、恵比寿様が左手で抱えている鯛とは別に、後方の魚籠(びく)から鯛の尻尾が覗いているのです。
鯛が二匹でおめでたいのでラッキーエビスなのでしょう。1998年から始まっているようですが、10年ほど前に友人から聞くまで私は知りませんでした。 丁度良く、店ではエビスを扱っています。その事を知ってから、注文したビールが届くたびに、ラッキーエビスをチェックするようになりました。見つけるとちょっと嬉しい気分になります。
その確率は、1%くらいでしょうか。

ワインのラベルは、フランス語でエチケットと呼ばれています。
そもそもエチケットとは、宮廷に入る時に、人が守るべきことを書いて貼り付けた札や、その作法のことを指したもので、そこからワインに貼り付ける紙のことも、エチケットと呼ぶようになったそうです。

ワインを知るうえで重要な情報が書かれているエチケットですが、国によっても特徴があるようで、フランスのエチケットはオーソドックスであり、イタリアのそれはデザイン性に優れたものが多いように思われます。
そんなイタリアに、私が最も感銘を受けたエチケットがあります。

イタリアのトスカーナに、ペルティマリ(サセッティ家)というワイナリーがあります。彼らの作るモンタルチーノ(Montalcino)が好きで、機会があれば飲んでいました。前のコラムで書いたように、同一のワイナリーが何種類かのワインを世に出す時に、基本的にそれらのエチケットのデザインは同じです。
ペルティマリのエチケットは、中央から左手にぶどう畑らしき丘が描かれています。左上の丘の頂上に、屋敷らしき建物があり、そこからなだらかに右下のほうに、稜線が降りている。モンタルチーノは、この絵が黒い線で描かれているが、下位のロッソ・ディ・モンタルチーノは赤い線で描かれている。ここまでは想定内なのです。

グラッパのエチケットを見て唸ってしまいました。           全体を暗めの青で塗り、右上の空に、いかにもイタリア風の鮮やかな黄色で星と三日月が描かれている。三日月は少し微笑んでいるようだ。GRAPPAの文字は金色である。遊び心のあるエチケットに楽しくなりました。

それからエチケットのことに話が及ぶと、しつこいほどにお客さんに見せています。残念ながらこのグラッパは、現在日本に入ってきていないようです。モンタルチーノとグラッパのエチケット、ハッピーエビスのラベルは当店にあります。
興味の有る方は何時でもどうぞ。

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