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小説:赤いインナーカラーに惹かれて

本稿はフィクションです。

その子と会ったのは、夏の夕方だったと思う。
東南口を歩いている多くの人の中で、赤いインナーカラーがとてもキレイで思わず声をかけた。
音楽を聞いていたので、話を聞いてもらうまでに時間がかかったが、そのインナーカラーに惹かれたことを伝えると素直に喜んでくれた。 

話をしながら改めてよく見ると、耳のピアスもとてもステキで、もっと話がしたいと思った。
この日は用事があるとのことだったので、改めてタピオカでも飲みたい提案をして連絡先を交換し、この日はお開きになった。

この日はまだ余裕があったので、夜ご飯を食べて帰ることにして、追加で2人と連絡先を交換した。 しかし、あの子のことが頭から離れない。

家に帰ってから例の子にメッセージを送ってみたが、すぐには返信が来ない。
失敗だったかなと暗い気持ちになる、ジンクスとして待っている子ほど連絡は来ない。こういう時は焦りが禁物、シャワーでも浴びて気持ちを切り替えよう。 案の定、シャワーを浴び終えると返信が来ていた。

物語の始まり

後日、改めて合った時は、髪の毛も纏めていてインナーカラーが一層目立っており、服装もとても似合っていた。
思わず小走りしたい気持ちを抑えて、ゆっくりと近づいて挨拶をした。
今の服装がとても似合っていること、遠くから見てすぐに気がついて嬉しかったことを伝えた。

待ち合わせのときは、暑い・寒いなどの不快がない限りその場で少し話をするのがいいと考えている。
相手も緊張しているので、少しずつほぐしながら、最近知り合った友達くらいに話をイジったりする。

しばらくして笑顔が増えてきたので、お店に向かうことにした。 
今日は(定番だが)ハンバーガーを食べに行く。
向かう途中も最近の流行りの漫画、TikTokの話を振ってみるが、この子と話しているのはとても楽しかったし、周りにはカップルのように見えていただろう。

お店につくと、どの種類にするか悩んでいる様子。
このお店は定番がとても美味しいことと、好きな飲み物を頼んで、支払いの合間に席を取っておいてもらった。

食事中は仕事の話や友達の話などの日常的な話はしない。
普段どのようなことを考えているのか、人生に対して考えていることはあるのかなどを簡単な質問で紐解いていく。
普段、友達には話せないようなことも、普段来ないお店・初めての相手だと自然と聞き出せる。

途中で同じ食べ物を選んでいるにもかかわらず、こっちのも食べてみる?とギャグを飛ばしてみる。同じのでしょ!とツッコミが入るので。
んじゃこれは?とお店定番のレモネードを提案してみる。

少し間がありながらも、飲んでくれた。
こういう瞬間が楽しい。私にはだいぶ甘い味なのだが、我慢して飲んでいたかいがあった。
意外と酸っぱくなくて飲みやすいでしょ? 次はコレにしなよ!とフォローも忘れない。あたかも何事もなかったかのように振舞う。

この日はその後も用事がないとのことで、家に誘った。
昼ご飯が遅い時間だったので、夜ご飯はアイスクリームやお菓子を食べる程度だったが、とても楽しい時間だった。その日は泊まっていった。

朝、自分の方が早く目が覚めた。
お気に入りのインスタントコーヒーを入れて飲んでいると、眠そうにしながら起きてきた。 起き抜けにキスをしてみるがすんなり受け入れてくれる。
普段は朝ご飯は食べないそうだが、トーストに目玉焼きを載せた物を出すと美味しそうに食べていた。

別れるタイミングは大事なので、特に用事はないが、昼に出かける予定があることを伝える。
家を出るまではソファーに座りながら「見たい映画があるとか、最近水族館行ってないな」のような、次につながる話をした。
自分も身支度をし、一緒に主要駅まで行ってから別れた。

少し経ってからまたデートに誘ってみたところ、返信はあるものの予定を開けてもらえない、魔法がとけてしまったのかもしれない。

この子は話を聞いていると、追いかけるタイプなので、あまりこちらから追っても効果がない事はわかりつつも、どうしても連絡を入れてしまう。

物語の終わり

実のところ、この子とは二度と会えないのだった。
結局、返信がなくなり非表示にすることで忘れようとするのだ。
こういうことは、残念ながら良くある。

1度っきりかもしれないと思いながらデートを楽しんでいるつもりだが、楽しいほど余計に2回目を期待してしまう。

Elbo.


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