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不動産会社開業時において、経験者と未経験者の大きな差。

不動産仲介業において何が大変かというと、それは広告費と人件費。
ここに成約数(収益)を加え、それらのバランスが合えば黒字になるが、その実、これらを合わせるのが素人不動産屋には至難。むちゃくちゃ難しい。

人を雇えば成約が増えるか?広告を増やせば売上があがるのか?・・・共に否である。いくら人がいても扱う物件に魅力がなければ人はこない。広告も同じだ。

逆に言えば、良い物件を扱えれば人件費と広告費は最小限で黒字になれる。しかしその良質な物件を独占して扱うことができればの話しであって、これができるなら誰も苦労しない。

この情報の収集力と知識が、未経験開業者最大の難関であり、経験者と大きく差を分つ点だ。

不動産会社で経験を重ねて独立する人は、知識は当然のこと、すでに管理物件を持っていたり、旧知の大家や不動産会社から良質な情報を得られたりと、開業後もある程度成功を担保された環境にある。だから最初から人件費も広告費も必要最低限でよく、採算ライン到達までに無駄がない。
物件選びもそうだ。反響が得られる物件の条件は何か、どこのメーカーの物件が人気か、どの場所が良いか、価格帯や間取りなどすでに頭に入っていることだろう。

だが未経験者は違う。何もかもが初めてて、情報も人脈もない。だから借金をしてまで資金を闇雲に投入し、それらに追いつこうとする。
この中堅・大手不動産会社と真正面から殴りあうような暴挙はとても危険。象を相手にエアガンで戦うようなもの。

未経験開業者は名ばかりの社長であって、持ち合わせている知識は不動産会社入社1ヶ月の若手社員レベルもない。その程度の知識で不動産会社開業なんて、自分のことながらちゃんちゃら可笑しくなる。夢見過ぎだろうと。

まず未経験者の大罪は、単純に「経験不足」に他ならない。この差はどうしても埋まらない。その認識も無く、ただ「不動産業でもやろう」なんて人の失敗率は、肌感で9割をゆうに超えると思う。特に地方では。

今の時代、インターネットを調べればほとんどの事が調べられる。
不動産業も例外ではなく、ネットに入れば様々な知識が簡単に手に入る。そそれらを流し見て、なんだか理解できた気になれる。・・・しかしだ。ネット上に一流料理人のレシピが掲載されていたとして、それをただ見ただけで料理未経験のおじさんが同じ料理を作れるか?・・・結果は明らか。このネットや文書を見てわかった気になることがとても危険。

料理も不動産業も甘くない。素人が手を出してそうそう美味しい思いなんてできるわけがない。「自分は特別。他とは違う」なんて思ってるならそれは甘い。みんなそう思ってスタートし、失敗する。
失敗した人全てが自身よりも劣っているなんてことはない。他人よりも優れた何かを持っていても失敗してしまう。不動産業に限らず、飲食でも小売でも同じこと。能力があってもそれらを活かさず、仕事せず、待ちの姿勢、あとは天任せで儲かるほど甘くはない。
知識も人脈も金もないの者が試験に受かっただけで儲けられるなんて、ショートケーキにハチミツを掛けるが如くだ。

経験者や他の不動産屋に追いつくには、彼らが休んでいる時も働き、彼らが見落としたものや、息がかかってない物件を発掘し、そして彼らとは違ったアイデアを実践することなのだろう。

こう自分に言い聞かせて、一緒に居てくれる人のために、明日からもまたクタクタになるまで働こうと誓う2022年の夏。