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担当直入に言う。未経験で不動産会社開業はやめたほうがいい。

こういうのもなんだが、私はとても恵まれている。こんな恵まれた奴、なかなか居ないんじゃないのかというほど環境が整っていた。

まず私生活。
バツイチ花の独身者なので、月に数万円の生活費は収めてはいたが、収入のほとんどは自分へ投資できる。

次に資金。
25年努めた会社の退職期は驚くほど少額であったが、その退職金と副業で得たお金と貯蓄に加え、内縁者が飲食店経営者であったので協力金を得ることができたこともあって、一人開業にしては潤沢な資金になった。

さらにスタッフ。
副業で、ネットショップや雑貨実店舗、飲食店やデザイン制作など様々なものを開業した。同時に仲間も増えた。不動産仲介はとんでもない量の物件データの打ち込みをしなければならないが、そのほとんどは仲間がアルバイトを仕切って登録してもらった。そのお陰でホームページは物件数が1000件近くになり、かなりの見応えになった。そしてある知人女性は、ほぼ無休で事務や営業を手伝ってくれている。本当に感謝しかない。みんなありがとう。

次に不動産会社とのつながり。
なぜか知人に不動産関係が多かったのだ。管理業、仲介業、住宅不動産売買、テナント専門の個人事業、そして地方大手の不動産会社に務める営業マンだ。この営業マンの情報だけで賃貸仲介の実務が把握できた。

そしてIT。
自分はウェブサイト制作ができる。不動産会社専門のウェブサイトは、年間60万~100万という詐欺のような値段で販売しているが、自分で作れば外注費も合わせて10万以下でできた。ランニングは月に1500円程度。サイトが作れるということは、コストがかからずページを増やすことも可能なので、ランディングページなど作り放題だ。これは大きい。

事務所の場所。
これも偶然空いた駅前の一等地に安価で借りることができた。とても鼻が高かった。自分には強運があると思っていた。

お金、ネット技術、人脈、事務所・・・
ここまで揃っていれば、なんとかなると思う。成功すると思う(錯覚する)のが普通ではなかろうか。
自分で言うのもなんだが、とても恵まれていると思っていた。だがこんな環境でも不動産仲介に手を出したことを後悔し始めている。

これだけの環境では足りなかったのだ。一番大きな不足、それは「経験」だ。・・・未経験でもできるだと?あり得ない。

甘かった。とても甘かった。
不動産業界とは、年間5000件は開業され、5000件は潰れていくという話を思いだした。不動産屋はコンビニより多く、仲介業従事者の平均年収などたった400万ほどらしい。

今まで大きな失敗もなく順風に生きてきたが、ここに来て間違ったのかもしれないと考えてしまうことが増えてきてしまった・・・

とりあえず宅建試験を受けて、脱サラして、不動産業でもやろうかと思っている人はとんでもなく多い。だがこれだけは伝えておきたい。
未経験では絶対に失敗する。アパートの契約すら満足にできないだろう。

そして仕事量だ。
毎日早朝から深夜まで仕事に追われ、儲かる気配がないという地獄の日々に耐えられる精神力と体力、資金力がありますか?でなければ不動産業など面倒くさく複雑。そしてなにより陰湿な業界だと感じる。
地域柄によって違うのかもしれないが、基本的に手を差し伸べるなどあり得ない。

結論。未経験者が夢見て来るところではない。おすすめしない。