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和でよみとく えらま by 橘茉里

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エラマプロジェクトにおいて「和えらま」担当の橘 茉里さんによるコラム。日本とフィンランドの共通点から豊かな生き方を見出していきます。
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#和歌

あなたは月に何を想う?月を見てエラマを考えよう

こんにちは。エラマプロジェクトの和文化担当、橘茉里です。 秋は、月が綺麗な季節ですね。 今年の「中秋の名月」は9月29日でした。 旧暦8月15日に当たる月のことで、「十五夜」とも呼ばれるこの月は、一年で最も美しいとされます。 さらに、今年の中秋の名月は満月でした。 中秋の名月=満月というイメージが強いですが、実は暦と月の軌道の関係で若干のずれが生じて、名月と満月の日が重ならないこともあるのです。 みなさんは、今年の中秋の名月をご覧になったでしょうか? 私は出張中だっ

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梅雨の憂鬱な世界へようこそ。「ながめ」で日本流のマイタイムを味わおう

梅雨に感じる憂鬱は今も昔も同じこんにちは。エラマプロジェクトの和文化担当、橘茉里です。 梅雨の季節になりました。 梅雨の時期、皆さんはどんな気分になりますか? 多くの方は、「気が滅入る」「憂鬱だな」と感じたことがあるのではないでしょうか。 その感覚は、古典の時代の人たちも同じでした。 昔の人は、この時期の長雨を「五月雨(さみだれ)」と呼んでいました。 なぜ五月の雨なのかというと、梅雨のシーズンは旧暦では五月に相当するからです。 ちなみに、梅雨(つゆ)という名称は、「露(

桜と和歌。日本の先人たちの死生観と和エラマ的な生き方を考える

願わくは 花の下にて 春死なん その如月の 望月の頃 これは平安時代の末期に活躍した歌人、西行が詠んだ和歌です。有名な歌なので、聞き覚えのある方もいらっしゃるでしょう。 叶うなら、桜の下で、春に死にたいものだ。 二月の満月の頃(2月15日頃)に。 こういう意味の和歌です。 当時の暦では、満月が来るのはその月の15日目。二月と言っていますが、今の暦に直すと3月中旬から4月上旬に当たります。まさに桜の季節ですね。 私はこの歌に惹かれます。 人生の最期に見る光景が、この和