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極寒の長野に行った話。~其の二~

ひととおりまっちゃんの家を見て回った後、その夜開かれる持ち寄り忘年会のための食事の準備をするために買い出しに行くことになった。タイちゃんの車に乗り込んでまずは馴染みの商店に連れて行ってくれた。ご夫婦が営む小さな商店で、食料品がひと通り揃っていた。奥に鮮魚を扱うコーナーがあって、おじちゃんがお刺身をいい感じに盛り合わせくれたり、おばちゃんは並んでる地場の野菜の美味しい食べ方を教えてくれたりした。外に出ると雪がチラチラ降っていて、やっぱりとても寒かった。その足で大きなスーパーに立ち寄った。私は地方のスーパーが大好きで、大体お土産はスーパーで買うのだけど、まっちゃんやタイちゃんが勧めてくれたりんごかりんとうを持ち帰って食べたら想像以上に美味しくてびっくりした。

帰りの車の中で、その日集まる人たちの話になった。20代の若いカップルが来ると聞いて、なぜか彼のテンションが上がっていた。よくわからないけど、出会う瞬間の自分のキャラ設定を考えているみたいだった笑。こういう、その時その時を、思い切り楽しみたいし、相手も楽しませたいと思う彼はとても魅力的な人だなと思う。

まっちゃんの家に帰り着いてみんなが集まるまで、キッチンでビールを飲みながら料理していたんだけど、こういう男友達のわちゃわちゃした時間の過ごし方にずっと憧れがあって、自分もそこに居るのに、なんとなくテレビとか映画を観ているみたいな不思議な感覚で、でもとても嬉しかった。

夜になって、まっちゃんの仲間が集まった。
兎にも角にもみんなキャラが濃い。そしてとても面白い。
都会でのほほんと働いて、しょーもないストレスにまみれた生活をしてる私は、まず、彼らの気さくさと表情にとても驚いた。ありのままを受け入れる心の広さと、優しさが溢れている気がした。みんな自らが選んだその土地での生活をめいっぱい楽しんでいるように思えた。
そういうシンプルな生き方にとても憧れるけど、自分にはなかなかできないなと思う。。。

ワイワイガヤガヤ、飲んで歌って食べたら、あっという間に時間が過ぎていた。みんなを見送ったあと、まっちゃんの同僚のコウちゃんと、まっちゃんの職場で研修中のしんちゃんが残ったので、五人でキッチンに移動して二次会が始まった。
柔らかい明かりのキッチンで、薪ストーブの周りに座って、レコードの音楽が流れていて、なんかもう別世界だった。だけど、そのころにはもう私も彼も眠たくて。。。まっちゃんが気遣ってお風呂を沸かしてくれたから、ひとりで入ったのだけど、キッチンの隣がお風呂という間取りだったから、四人の楽しそうな笑い声がずっと聞こえていて、彼がいつになく楽しそうで…
冷えきったカラダが温まったし、その日、彼のはしゃぐ姿を思い返してココロも満たされた。

その日、私は生まれて初めて寝袋にくるまって眠った。疲れていたのもあったけどぐっすりと眠れた。朝、目が覚めたらすぐ横に彼の顔があって、私にぴったりとくっついて寝袋も使わず昨日の服のまま小さくなって寝ていたので驚いた。その光景は今も忘れない。とても幸せな眺めだった。