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【前編】EKKYO.CONFERENCE vol.15 - バイオミミクリー×あなたの専門領域 -

こんにちは!
EKKYO.HUBにて越境カンファを担当してます長山です。今回、再びバイオミミクリーに関する回を開くことができましたので、そのレポートをさせていただきます。自然を感じながらリラックスしてお楽しみいただけたらと思います。☘️

私たちは普段の生活においてどれだけ身の回りの自然を意識しているでしょうか。38億年の長い年月で培った自然界から学ばせていただくバイオミミクリーは大きなポテンシャルを秘めています。それは私たちの生活を豊かにするために、自然を模倣することのみにとどまりません。自然への敬意をもち、自然の本質に従い、学ぶことが重要です。この記事を読みながら、是非バイオミミクリーとあなたの専門領域で掛け算をして、新たな可能性を探っていってもらえたら幸いです。


※本記事はレポーター(長山)の感想、東さんの考え、
東さんが過去に聞かれた話など
混ざって書かれている部分がありますので、
あくまで考え方の参考までにご覧ください🌻
長山がアイスランドにて撮った写真。
目を休めつつ読んでもらえたら幸いです🍏

背景 : 越境カンファvol.15に至るまで

「個人が自由に動く組織で組織全体の価値を向上させるにはどうすればよいか」

実はEKKYO.CONFERENCE(越境カンファ)にてバイオミミクリーを扱うのは今回が初めてではありません。2023年7月に東京の根津(ねづくりや)にてvol.9 -自然を模倣すること。自然から学ぶこと。- を行いました。その際、私たちの身の回りにいる動植物から何を学べるか、また「個人が自由に動く組織で組織全体の価値を向上させるにはどうすればよいか」という問いに対して約40名の参加者が各グループに分かれて話し合いました。組織で働く側としても組織を管理する側としてもこの問いは重要であり、既存の枠にとらわれない仕組みと遊動的なアプローチを仕掛けたい人にとってアイデアがうまれる問いであったと感じます。

vol.9およびvol.9.5の詳細が気になる方は
こちらからどうぞ💁‍♂️

生物模倣だけがバイオミミクリーではない?!

今回、再びバイオミミクリーに焦点をあてるのは、【「生物模倣」という言葉を超えた「バイオミミクリー」の世界が存在している】という言葉を目にしたからです。実は、前回のバイオミミクリーのイベント(vol.9)にて、バイオミミクリー・ジャパン代表理事の東さんに参加者として来ていただいておりました。そこで今回(vol.15)は東さんが考えるバイオミミクリーの世界を存分に紹介していただこうと思い、登壇をお願いしたところ快く引き受けてくださりました!!🌟(本当に貴重なお話をしていただき、ありがとうございました!!!)

また、同じく前回イベント(vol.9)にて参加してくださり、その後「緑のフィーカの会」を開催されておられる平澤さんをパネラーとしてお招きし、お二人のパネルディスカッションを行いました!🪴

登壇者紹介

ここで今回登壇していただいたお二人のプロフィールをご紹介いたします。

東 嗣了 (あずま ひであき) 

これまで400社、3万人以上を対象に、各種研修・ワークショップ・コーチングを実施。システムコーチング®を活用した組織変革プロジェクト、内省型のリーダーシップ研修を中心に、左脳的なロジックと右脳的な感性の両方をバランスよく取り入れることが強み。サステナビリティのグローバル潮流とネットワークを活かしながら、日本におけるサステナビリティ変革・リーダー育成に情熱を注ぐ。ニュージーランドにて人生をリデザインする個人向けリトリートも過去4年に渡り実施。

平澤 拓海(ひらさわ たくみ)

1997年長野県出身。東北大学工学部卒業。エネルギーシステムを専攻しながら学生時代にCOP25に参加。2022年に環境省に入省し、気候変動対策に取り組んでいる。仕事の傍ら、ゆるりと未来のことを話す「緑のフィーカの会」を開催しています。

本題 : バイオミミクリー×あなたの専門領域

問い① あなたにとっての自然とは?

今回はアイスブレイクとして「あなたにとっての自然とは?」という問いで、自分と自然の関係性を考えていただくところから始めました。

参加者の皆さんの回答を一部ご紹介します
・常に求めているもの
・対峙するもの/対話する相手

皆さんの意見を聞いていくなかで、個人の性格だけでなく、住む場所や働き方によって自分と自然の関係性は形作られるものだなと感じました。皆さんもぜひここで一度「あなたにとっての自然とは?」を考えてくださると嬉しいです😊

EKKYO.HUBで軽井沢を訪れた際の写真。
定期的に自然をチャージするの大事ですよね🍃

何が私をこの世界に連れてきたか

東さんは現在バイオミミクリー・ジャパンの代表を務めておられますが、どのような経緯でバイオミミクリーの世界に入っていったのでしょうか。今回はとても貴重な体験談をお話ししていただきました。

もともと釣りが大好きだった東さんは釣りを通して自然を身近な存在として感じられたとお話しされました。アリゾナの広大な大地にて瞑想をされていた東さんは大地からエネルギーを感じるとともに、自分が地球上の一生命体にすぎないという感覚をもったそうです。一方、カンボジアに行った際には、広大にゴミが広がるゴミ山の中に暮らしている子どもたちをみて大きなショックを受けます。そこからそれまで取り組んできていた人材育成やビジネスで世の中を変えられないかと、大学院でサステナビリティリーダーシップを学ぶために渡米。バイオミミクリーとの出会いはバンクーバーでのカンファレンスでした。その後、コスタリカの熱帯雨林にて、世界中の人と対話しながら、自然の中で生命の原理原則を学んでいったそうです。東さんは日本人初のBiomimicry Specialistの資格を得ており、2年半ほど前に一般社団法人バイオミミクリー・ジャパンを立ち上げられました。バイオミミクリー・ジャパンでは、自然と人を(Re)Connectするをテーマにメンバーが自然の叡智の「翻訳者」として活動されておられます。最近ではテレビを含むメディア出演の機会もあり、海外での講演もされているとのことです。SDGsやサーキュラーエコノミーが注目される中で具体的なやり方(How to)を示すバイオミミクリーは近年ますます世界中から注目されています。

バイオミミクリーを実践する上での3つの重要な要素

バイオミミクリーは自然模倣と訳すことができますが、模倣することだけがバイオミミクリーではないと東さんが紹介してくださりました。

①Ethos 生命への態度 (倫理)
②(Re)Connect つながりを取り戻す
③Emulate 意図的な模倣

①Etos 生命への態度 (倫理)
私たちが自然界の隠された技術を戦争や人・自然を傷つける行為に使った場合、それはバイオミミクリーとは言えません。これはバイオハッキングとも呼ばれ、バイオハッキングにならないようにすることが大切です。そこで、自分たちが生み出そうとしているイノベーションが自然界の原理原則に従っているかを必ずチェックすることが必要です。自然はゴミという概念がなく、循環しています。自然はメンターであり、自然界への態度や私たちが学ばせていただく姿勢が大切です。

②(Re)Connect つながりを取り戻す
「五感で感じなかったことに対して人は大事にしたいなんて思えない、環境を大事にしようと言っている時点で私たちは自然界と分断されているのではないか。」そのような言葉を東さんは聞かれました。唐突ですが、、とりあえず皆さん、外に出ましょう。そして、いつもと違うレンズで自然との繋がり方を変えてみてください!!🪴

例えば、普段接している対象(例: 海や魚、山や植物)に対して、あなたはどんなスケールで触れ合っていますか?(風景として見ているかか、生物単位に触れているか、顕微鏡で見ているかで全く異なります。) あなたと自然の関係性を再び新しい形で繋がることを意識してみましょう。視覚を使わないとどうだろう、触ってみるとどうだろう、五感を減らしたり増やしたりすることで新たな気づきが得られそうですね。

③Emulate 意図的な模倣
形をマネするか、プロセスをマネするか、システム全体をマネするかによって自然界や生物の捉え方は変わってきます。また、意図的な模倣は大きく2つ(B to DとC to B)に分けられるそうです。

B to D(Biology to Design)
これは自然界のものを徹底的に注目してそこからデザインに広げていく考え方です。(例: なぜ蚊に刺されてもいたくないんだろう?→痛くない注射を開発)

C to B (Challenge to Biology)
私たちの社会課題からスコーピングして機能を抽出する。(例: 洪水で橋が倒れる→機能・構造を分析していく)
ここでのキーワードは
How does nature solve this problem?
自然界だったらどうやってこの問題をかいけつするか、意識してみることが大切です。また、必ず最後に自然界の原理原則に沿っているか①Ethosを忘れないようにしましょう!

具体的な事例は「asknature」というサイトが便利だと東さんが紹介してくださりました!過去のイノベーションが見れたり、検索機能で「repel」(水をはじく)と検索するとその機能を持つ生物が一覧で表示されます!🌟

後編に続く

後編では平澤さんの方から質問を投げていただき、東さんに答えていただくコーナーを設けましたので、そちらの様子を一部ご紹介するところから始めます!議論はさらに深くなりますので、ぜひ後編もご覧ください!🎥

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