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【箱根予選会】12人の合計タイムだとしたら通過校は変わるのか?

箱根予選会はミスしてもいい選考方法

箱根駅伝予選会の選考方法は画期的で実に面白い。エントリーで14人を選出、そこから12人が出走する。12人出走のうち先着10人のハーフマラソンの合計タイムで総合10位までが箱根駅伝の出走権を得る。

このルールでは実質2人までミスしてもいい。

11番手、12番手の選手であれば棄権しようが、どれだけ遅いタイムで走ろうが、どれだけ悪い順位で走ろうがタイムに換算されない。

では、ほかの三大駅伝の選考方法はどうなっているのか。

出雲駅伝は箱根駅伝の総合成績10位までが出走権を得る。

全日本大学駅伝の関東地区選考は10000m4組の合計タイムで総合成績7位(年によって変動あり)までが出走権を得る。全日本予選会は1人でもフィニッシュできない選手がいればその時点で出走権を落とすことになる。

箱根駅伝予選会とは反対にミスできないルールとなっている。

箱根駅伝予選会が12人の合計タイム選考だったら

今年の箱根駅伝予選会では55年ぶりに立教大学が本戦への切符を手にした。

一方で通過濃厚とされていた12年連続本戦に出場している神奈川大学が総合11位に沈んだほか、前回大会出場の中央学院大学や駿河台大学が本戦への切符を逃した。

もし、箱根駅伝予選会が12人全員のタイムを合計した選考方法であれば順位がどのように変わっていたのか見ていきたい。

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10人合計順位と12人合計順位タイム

この順位変動からわかることはチームの総合力

12人の合計タイムで順位が下がっている場合は11番手、12番手の選手が大きくタイムを落としたことになる。

逆に順位が上がっている場合は11番手、12番手の選手がタイムを大きく落とさず走り切れていることを示す。

順位を上げたのは城西、日本体育、東海、東京農業、駿河台、拓殖

城西は総合力では明治を越える走りをした。東海はエース石原選手の失速などがあり、本来の力を発揮できなかったが12人全員が大きく遅れることがなかったので総合力では専修、山梨学院より順位を上げた。

東京農業、駿河台は4つ順位を上げている。11番手、12番手の選手は粘ったが中堅層の選手がまとまっていることからエース力不足が伺える。

順位を下げたのは明治、早稲田、山梨学院、専修、日本、筑波、日本薬科

明治、早稲田はともに12番手の選手が大きく順位を落としたため順位が下がった。

山梨学院、専修は本戦切符を手にしているが1つ順位を下げた。先述した通り総合力では東海に抜かれたためである。

日大は12人の合計タイムだと5つ順位を下げた。エースの欠場、選手層の面からも背水の陣だったことが伺える。

本戦出場ラインでの順位変動はなし、切符を逃した2校の共通点

1番肝心な本戦出場ラインでの順位の入れ替わりはなかった。神奈川と中央学院は12人の合計タイムでも本戦出場には届かなかった。完全な力負けである。

この2校の共通点は2つある。

  • エース級の選手の爆発力不足

  • 留学生のいない大学である

中央学院は17年連続、神奈川は12年箱根駅伝連続出場を持つ箱根駅伝常連校だ。両校チームカラーは堅実に走れる中堅層の選手が多いチームである。

近年の箱根駅伝予選会ではそういったチームカラーの落選が多く見られる。これは各校が箱根駅伝を強化しており、力が拮抗している大学数が増えていることや留学生を起用する大学が多くなったことが大きい。

留学生がいるのは確実に走れるが選手が1人確約されるアドバンテージになる。日本人選手のみで編成している大学はタイムを稼ぐべき選手がミスすると大きく順位を落とすことに繋がる。

中央学院はエース吉田選手が失速し本来の走りではなかった。神奈川は出走段階でエースの山崎選手が故障の影響で出場回避となった
その他大学だと東海も同様だ。エースの石原選手の失速があり、総合9位とヒヤヒヤした通過になった。

10人の合計タイムだと専修、山梨学院は留学生+エース級の選手が1人ずつ走れたことで東海よりも上位に入っている。しかし、12人の合計タイムだと東海はこの2校に勝っているのが実に面白い。

日本人選手のみで構成されている大学は全員が大学トップレベルで走れる走力でない限り安心ができない時代になってしまった。

箱根駅伝への切符争いは来年も熾烈なことは間違いない。
















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