見出し画像

動画 『夜の針』

こころがざわめき、ねむれない夜。

しずかに自分の内側へとかえってゆく。

こころの奥には、刺さったままの無数の針。

針は、わたしになにを伝えているのだろう。

その痛みから、わたしはなにを知るのだろう。





この作品のはじまりは、
ノートになぐり書いたちいさな詩片でした。
とても苦しい夜だったことを覚えています。

その時の想いを忘れないために
なにかの形に残しておこうと思い、
絵本にしたのが2020年のことです。

いま見ると、絵も詩も粗けずり。
でも嘘のない想いがこめられています。



痛みをかかえて
生きる意味とは何なのか。
ずっと考えてきました。

そして、
いまのわたしはこう思っています。
苦悩こそが
わたしが、わたしである意味であり、
あなたが、あなたである意味だと。



「あなたはまだ恵まれている」とか
「だれだって苦しいことはある」とか
そんな声がもし聴こえてきたなら、
そっと傍らにおいて
蓋をしておきましょうね。

あなたの内側の孤独には
だれも触れることはできません。
だれにも分かりっこないんです。

あなたの中にある針を、
あなたの中にある痛みを、
あなた自身の手で
たいせつに抱きしめてほしいです。
あなただけがもっている
宝物かもしれないのだから。



分かり合いたいという願いと
分かり合えないという苦しみ。
そのはざまで、道に迷ってばかりです。

でも分かり合えないとしても
想像することはできます。
比べるのではなく
尊重しあえたらいいですね。



『夜の針』は、迷える絵描きが
希望の光をもとめて残した作品です。

あなたのこころにも
とどくことを願っています。



『夜の針』 ten

日も落ちて まっくらな部屋の中
夜の海にほうりだされたみたいだ
時の足音とともに
こころの波がざわめきはじめる

皮膚でへだてた外側が
闇につつまれてなにも見えなくなると
ひとは自分の内側へと
かえっていくのかもしれない

ぼくの内側には無数の針がささっている
抜いてしまえば楽になれるけれど
そのままにしているのは
この痛みを忘れないためだ

痛みの上にあるやさしさを
苦しみの上にあるつよさを
悲しみの上にあるうつくしさを
針はいつも思い出させてくれる

いつかこの体も夜の闇にとけて
うつくしい宇宙の一部になる日がくる
抱えてきた針の数だけ
その輝きは増すはずだから

そう信じて
今夜も眠ろう



いつも、あたたかいサポートとお手紙をありがとうございます。いただくお言葉のひとつひとつが宝物です。こころをそっと照らす、ちいさな灯りのような作品をお届けできるように。これからもがんばります!^^