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心電図検定対策講座【問題3】

対策問題003-1 (出題: 2024/3/18)

74歳,女性の心電図を示す【図3-1】

【図3-1】74歳,女性の心電図〈対策講座003〉

【問題3-1】心拍数の数値として最も適切なものはどれか。

 (a) 65/分
 (b) 95/分
 (c) 105/分
 (d) 85/分
 (e) 75/分


対策問題003-2
74歳,男性の心電図を示す【図3-2】

【図3-2】74歳,男性の心電図〈対策講座003〉

【問題3-2】心拍数の数値として最も適切なものはどれか。

 (a) 65/分
 (b) 35/分
 (c) 25/分
 (d) 45/分
 (e) 55/分


対策問題003-3
84歳,男性の心電図を示す【図2-3】

【図3-3】84歳,男性の心電図〈対策講座003〉

【問題3-3】心拍数の数値として最も適切なものはどれか。

 (a) 100/分
 (b) 130/分
 (c) 90/分
 (d) 150/分
 (e) 110/分


~ぜひとも応援よろしくお願いいたします~

★解答・解説の公開は3/21(木)を予定しています!
(当面はこのサイクルを予定していますので留意下さい)

メンバーの皆さま,こんにちは。えかげますたぁ|Dr.ヒロです。
『心電図検定対策講座』2024/3/18出題
第3回の出題でした。

はじめに,当初木曜日(3/21)と言っていた予定が(種々の機器不調もあり)遅れてしまい,ここにお詫びします(o_ _)o

今回も心拍数を問う出題でしたが,3問とも自分の答えは出せましたか?
前回は“300の法則”の法則を扱いましたが,今回は

心拍数の計算②:はさみうち等分足し引き法

という,ボク考案の心拍数計算法をご紹介します。オリジナルなので解説にも力が入ります。

もちろん,日常臨床では300の法則と検脈法で十分な気もしますが,面倒な計算なく(慣れたらほぼ暗算で!)かなり正確に心拍数を数値として予測できる手法です。是非マスターしてもらえると嬉しいです。

◆前回の復習~用語の確認

最初に少しだけ復習。前回解説した独特の用語を振り返ります。あやふやな方は,【第2回】の解説記事を見直しておきましょうhttps://note.com/ekagemaster_hiro/n/n2088ef7bc081?from=membership-note)

マス:太線枠の正方形(5✕5mm)
メモリ(目盛り):細線枠の正方形(1✕1mm)
オン・ザ・ライン(OTL):QRS波のどこかが太線上に乗っている心拍
 →R-R間隔を測る起点にする(数え出し)

心拍数を計算で求める手順も振り返ります。


1)R-R間隔は整 or 不整?
2)整なら1拍分のR-R間隔から計算する
 ①300の法則
 ②はさみうち等分足し引き法 ← 今回のテーマはコレ!
【注意】R-R間隔≤3マス(心拍数≥100bpm)では“数拍まとめ見法”を考慮
3)R-R間隔:不整か“こだわらない”場合
 〈A〉カンニング法
 〈B〉検脈法


今回の問題もすべてそうですが,R-R間隔:整(レギュラー)の場合,R-R間隔が~マス“ぴったり”でない場合,基本的に300の法則では心拍数を計算することはできません。

その場合,あきらめて3)のカンニング法ないし“伝家の宝刀”検脈法でも全然構わないのですが,開発者のボクとしては,2)②はさみうち等分足し引き法で計算することを(特に初学者のうちは)オススメしています。

なにせパズル・チックで楽しいですし,何も見ずに出した数値が自動計測の値に一致ないし近接していた時の喜びは,心電図の学習を続ける大きなモチベーションになると考えているからです。

この手法は,近似法を用いて300の法則を拡張した手法で,世界のどんな教科書にも載っていない(と思う)Dr.ヒロ's オリジナルの計算法です。
以下,今回の問題を使って具体的に解説してゆきたいと思います。実例で慣れていただくのが上達の早道です。


【解答3-1】 (d) 85/分


“300の法則”で求まる心拍数の値は当然ながら「300の約数」になりますが,今回の85bpmではそうではありません。

ときどきR-R間隔が“3.5マス”なので,300÷3.5≒85等とやっている人を見かけます。
個人的には「そろばん名人ですか?」と言いたい。たとえば,300÷4.7とか瞬時にできる方!その才能を別のことに生かしたが方が良いと思いますし,電卓は心電図検定には持ち込めないんじゃないかと・・・まぁ,ふだんの臨床では携帯電話に電卓機能がついていますがね(笑)。いずれにせよ,手段はいろいろ持っていた方が強いと思いますので,否定はしませんが。

では,さっそく1問目。通常目にする形式に近くした【図3-1】を提示します。

【図3-4】74歳,女性の心電図〈対策問題3-1〉再掲


まず,R-R間隔(整 or 不整?)→オン・ザ・ライン(OTL)→300の法則を模索します。

R-R間隔はレギュラー(整),OTLはQRS波の目立つスパイク部分(R波)なら肢誘導6拍目,ないし胸部誘導なら2拍目でも5拍目でも良いかもしれません。

また,ボクは何気に陰性成分にも敏感です(笑)。S波と呼ばれる下方向の振れですと,IIとかIIIの1拍目がバッチリOTLですし,胸部誘導2拍目・5拍目は実はS波の方が“ザ・OTL”ですね!

解説はV1を抽出し,5拍目を中心に見てゆきましょう。ザッと見るとR-R間隔は3~4マスと明らかな頻拍ではないので,まずは1拍で考えていきます。
次の図を見て下さい(【図3-4】)。

【図3-5】問題3-1の心電図よりV1のみ抜粋

5~6拍の間を考えてみてみます。
5拍目はオン・ザ・ライン(OTL)ですが,6拍目はそうではないので,300の法則は使えません(数拍で見ても同様です)。

仮に,OTLの5拍目から見て,6拍目のS波部分が太線A上にあったら,心拍数はいくらでしょうか?
300の法則を思い出せば,300÷3=100bpmですね。これならすぐですね。
では,別の仮定。6拍目が太線B上なら?
これも瞬殺で75bpmですね,300÷4ですから。

ここでふと我に返って下さい。現実は太線Aでも太線Bの上でもなく,太線Bから左に2メモリ(目盛り)戻ったところにQRS波はあるわけです(水色矢印)。2本の太線で実際のQRS波を挟むのが,手法の“はさみうち”のポイント部分です。

ここで太線AとBの間が“等間隔”であると仮定します。距離ではなく,レート(心拍数)に関してです。
つまり,1目盛りが,(100-75)÷5=5bpmだとだと考えということで,これがミソです。
実際のQRS波は,75bpmから100bpmの方向(大きくなる)に向かって2メモリ進みますから,75+5×2=85bpmです。
逆に,100bpmから75bpm(小さくなる)方向に3メモリ戻ると考えて,100-5✕3としても同じ値になりますね(当然ですが)。

これが残った“等分足し引き”の意味なんです。ね,こうやって聞くと,そのままでしょ?

なんか騙されたような気もしますが,自動計測値も「83/分」と表示されていました。激チカなことに驚いたのではないでしょうか。一問目では,“はさみうち等分足し引き法”の手順を理解して下さい。


■はさみうち等分足し引き法の手順■

①OTLの次(または手前)の心拍までのR-R間隔を考える
②間隔を考える注目QRS波を2本の太線で“はさみち”
③2本の太線の間(5メモリ〈目盛り〉)の心拍数を等分
④実際のQRS位置まで手前(または先)の太線からメモリ(心拍数換算)で足し引き


~皆さまの温かい応援をお願いいたします~

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