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ワイナリー訪問記 【北海道中央葡萄酒・千歳ワイナリー】

北海道中央葡萄酒・千歳ワイナリー
北海道千歳市高台1丁目7番地
2020年8月18日(火)

「甲州」を「ケルナー」にかえて
ピノ・ノワールの可能性にかける

千歳ワイナリーは、1988年に中央葡萄酒㈱の第2ワイナリーとして北海道千歳市で製造開始。
発端は千歳市農協がハスカップでワインをつくりたいと思い、中央葡萄酒に醸造を頼んだことからである。最初はハスカップ専業メーカーとして始まった。
その後、余市の木村農園と契約をすることになり、95年からケルナーとピノ・ノワールの醸造を始め、現在の千歳ワイナリーの基礎ができた。
2011年には中央葡萄酒㈱から北海道中央葡萄酒株式会社千歳ワイナリーに改称、分社化もしました。
現在の年間生産量は3万本〜3万5千本程だそうです。ワインとハスカップワインの比率は、ややワインが多いくらいとの事。
昔は、いかにもお土産ワインというような北海道が描かれたエチケットでしたが、今は工場に使用している旧千歳市農協所有の札幌軟石でつくられた米倉倉庫をラベルにし、スタイリッシュなエチケットになっています。
ワインは「北ワイン」というブランドで出しており、ケルナーとピノ・ノワールの2種類の品種のみのワインをリリースしています。
ケルナーは辛口だけなく、甘口やレイトハーベスト(リリースされない年もアリ)やスパークリングワインもあります。
ピノ・ノワールはロゼとピノ・ノワール、ピノ・ノワール プライベートリザーブの3種類があります。
ハスカップワインはスイート、プレミアムスイート、セミドライ、スパークリングとあり、スパークリングワインは瓶内二次発酵製法でつくられいてます。
フルーツワインで瓶内二次発酵製法は珍しいよなぁ。ていうか出来るんだ。

ハスカップでワインをつくる

フルーツワインとしては、珍しいハスカップワインだが、地元ではお土産として定着しており、空港の売店でもよく見かけるし、千歳市のふるさと納税の返礼品にもなっている。
ハスカップは勇払原野、及び白老町から苫小牧市、厚真町、早来町、千歳市の一帯周辺に沢山自生していて、古くからこの地域の人々には大変なじみの深い果実だった。
私も小学生の頃はハスカップを摘みに行き、地元のパン屋(今のもりもと)などに買い取ってもらったものである。
新千歳空港の工事によってハスカップの群生地が壊されることとなった千歳市では、1978年(昭和53年)頃から、千歳市農協と農家が千歳空港周辺や、自衛隊演習地に自生するハスカップ株を採集し、農家の畑に移植して、栽培が始まった。
今ではハスカップも品種改良され、4つの品種が登録されている。
中央葡萄酒が、なぜハスカップワインの委託醸造を受けたのか、それはハスカップは6月下旬から7月中旬に収穫されるので、ワインづくりと時期が重ならない。そのためハスカップワインをつくった後に、普通のワインがつくれるという事もあって、山梨から北海道に進出したのだろう。
それに将来的には山梨では気温が高くなり、ブドウ栽培をするのには、難しい環境になるのでは無いかとの思いもあったのだろう。
最近の気温上昇を思うと、その時の考えは当たりつつあるなぁ。
これ以上、暑くなってくるとケルナーのようなドイツ系品種よりも、シャルドネなどのフランス系品種の方が、栽培に適してくるのかもしれない。

ワイナリー見学ツアー

7月1日から少人数でのワイナリーツアー、ワインの試飲の再開いたします。という事で、無料ツアーに参加。有料ツアーは現在中止しています。
ツアー内容は、先ずは北海道のワインの現状の説明と千歳ワイナリーの歴史。
ハスカップワインについてなどの話があり、蔵内の醸造スペースを見学して、実際にワイン造りに使われている設備の説明などがありました。
設備や醸造に関しての質問などがあれば、答えてくれます。あまりに専門的な質問(そんな質問をする私が悪いのだが)には答えてくれません。

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試飲できるのは、4種類のハスカップワインまたは、2種類の北ワインケルナー。
8月なのでハスカップの醸造もほぼ終わっていました。ブドウが入ってくるのは9月になってからなので、今はワイナリーの中は空っぽの状態です。

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最盛期にはピノ・ノワールの入った樽が並んだり、瓶詰めしたケルナーがうず高くコンテナに積まれたりするのでしょう。
今回はケルナーを試飲しました。
やっぱり美味しいなぁ。もちろんワイナリーで購入もできます。私が今回購入したのは「北ワイン ケルナーレイトハーベスト 2019」でした。

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[見学ツアー概要]
製造作業やその他のご案内ができない場合や11月~3月まで、臨時営業を除く冬季営業期間は土日祝日、年末年始の営業は致してませんので、ご注意ください。
見学ツアーは予約制(前日までお申し込み)で、開催時間は9:30 / 10:30 / 11:30 / 14:00 / 15:00 / 16:00
所要時間は15分~30分。定員は1~10名。となっています。

ケルナーとピノ・ノワール

1990年代にはブドウ栽培には寒すぎると思われていたので、ドイツ系品種が多く植えられていた。その代表がケルナーとミュラー・トゥルガウである。
両方とも品種としては有名では無いが、北海道に合っているのか良いワインができている。
近年は積算温度も上がり1300度を超える年も多くなっているので、ドイツ系品種だけはなく、フランス系品種のシャルドネやピノ・グリ、ソーヴィニヨン・ブランなども良くなっているので、栽培面積が増えてきている。
それでも、現在はケルナーが北海道に一番適していると思います。
千歳ワイナリーのケルナーは、どれも美味しいのだけどオススメは「北ワイン ケルナーレイトハーベスト」です。
毎年リリースされる訳でも無いし、甘口のデザートワインなので、赤ワインしか飲まない!辛口の白ワインしか飲まない!みたいな人にはオススメしないけれども。
甘口のワインが好きと言う人には、一度飲んでみてください。
千歳ワイナリーと言えば、ピノ・ノワールを思い浮かべる人が多いと思います。
もちろん、赤ワインも良いのだが、ロゼワインが美味しいです。
見かけたら飲んでみては?

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2019年のピノ・ノワールサミットで、木村農園の木村幸司さんがゲストスピーカーとして参加しており、
「やっぱり、北海道にピノ・ノワールは合っていますよね?」と質問され
「いや、ピノ・ノワールは、そんなに向いてないですよ」と答え、会場が木村さんがそれを言ったらお終いじゃ無いか!みたいな雰囲気になったのは面白かったなぁ。
これは、多分ですが、ピノ・ノワールはそんなに簡単な品種じゃない!最近、北海道のピノ・ノワールが注目されているが、難しい品種であることは間違いない。という意味ではなかろうか。
北海道に来れば良いピノ・ノワールが、すぐに栽培できると思っている人に、たいしての忠告だったのでないかなぁ。
千歳ワイナリーのワインは全量が、木村農園のぶどうなので、木村さんのプレッシャーも相当あるようです。
なんたって、ワインはブドウの出来がワインの出来に直結してしまうからなぁ。

旅の途中

札幌に行く途中でも時間があれば、寄ってみてはどうでしょうか。
ワイナリー見学となると遠出をしなきゃいけない場合が多けれども、ここは千歳駅から徒歩で5〜6分と近いので、札幌に行く途中でも時間があれば、寄ってみてはどうでしょうか。
予約さえしておけば見学できるので、オススメです。ワインも買えますし。
すぐ隣にセイコーマートがあるので、北海道メロンアイスとかも買えます。(余談だが美味しいデス!)
北海道で1番気軽に行けるワイナリーです。

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