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読書 - 小倉昌男 経営学

私が所属しているベンチャー企業は、第4四半期に突入した。当社の直近の状況はCOVID19の影響(人が動かないため新規営業が鈍化)により、低迷していたが5月に入ってから少しずつではあるが営業のスピードが戻ってきている。危機時の経営での心得である「Cash is King.」については、日本政策金融公庫や保証協会付融資(セーフティネット4号など)により直近のバーンレートからどんなに保守的に考えても1年以上は会社は持つため一旦の目途は立ったと考えていい。そのため、次期の予算作成に向けて現在動き始めているのだが、大きな絵を描くために経営戦略を学ぼうと思っていた。当社はアセットを保有し、労働集約型のため「黒猫ヤマトの宅急便」でおなじみのヤマト運輸株式会社の小倉昌男さんの考える経営学について学んでみようと思い、本書を手に取った。

経営者の資質

経営リーダーの10の条件
1.論理的思考
2.時代の風を読む
3.戦略的思考
4.攻めの経営
5.行政に頼らぬ自立の精神
6.政治家に頼るな、自助努力あるのみ
7.マスコミとの良い関係
8.明るい性格
9.身銭を切ること
10.高い倫理観

まず、経営者には「論理的思考」「高い倫理観」が必要不可欠である。
企業経営は論理の積み重ねであり、昨今のグローバル化とデータ社会になって競合他社がどこから現れるかわからない(例えば、アントフィナンシャルのアリペイ、EC事業のアリババだと思っていたら気づいたらQR決済でアリペイが金融事業で驚異の存在となった。)。従って、今起きていること、発明されたテクノロジーなどから想像力と論理的思考力により攻める経営が必要である。
また、会社は社会的責任を負っている存在(CSR)であるため、社会に貢献できるような会社であるべきである。そうなるには、まず会社として高い倫理観を保持する必要である。社員は常に経営者をみてるため、倫理観を保持できるような会社にしたいのであるなら、経営トップ自ら高い倫理観を示す必要があるためである。

1.論理的思考力

上記の通り、企業経営は論理の積み重ねである。また、経営にはあらゆる場面で計画が必要になる。計画を作成するには予測が必要である。予測するには、前提条件があり与件が与えられ、目標が決められ行動に移す。その後、期待した通りの結果が出るのか否かモニタリングをするが、予測の精度については経営者の読みの深さに依存する。この予測は徐々に正確にしていけばいい。試行錯誤しながら諸条件を変更し、微調整をしていくことが重要である。つまり、試行錯誤の方法が肝なのである。試行錯誤の深さが予測の精度に直結するのである。

また、この計画や予測を第三者に適切に伝達・説明することも経営者としては、重要である。考えていることを表現・説明能力も必須であり、これも論理的思考につながるものである。

2. 時代の風を読む

マクロ経済がどう変遷し、何を求められるのか考え抜く。(結局、論理的思考力が必要)

3. 戦略的思考

経営には戦略と戦術がある。

戦略:経営目標を実現するための長期的な策略
戦術:日常の営業活動において競争に勝つための方策

経営者は、戦術ではなく戦略的な発想を持って事態に立ち向かわないといけない。
また、経営はトレードオフの連続であるため、会社にとって何が大事なのか決めて指示することが重要となる。要は、プライオリティである。このプライオリティ付けは、第一と第二を作ることが一番簡単な方法である。

4. 攻めの経営

守りの経営の典型は、「護送船団方式の経営」である。呑気に事を過ごすと気付きが得られず、ある日突然、競合他社にやられ全滅しているということもあり得る。ゆえに、攻めの経営にに徹することが必要。
攻めの経営の真髄は需要を作り出すことである。需要はあるものではない、創り出すものであるということだ。
この創り出す(新商品や新サービスを作ること)でヤマトは成長してきた。
逆に。守りに入ったら経営者を後退させるべきである。守りの典型は、過去の栄光のパターンに囚われていることであり、これはスピード感失い、気付いた時に手遅れということである。

5. 行政に頼らぬ自立の精神

役人は世間知らずであることが多いため、役員のいうことを聞く経営者は、失格である。(時代の風を読む、攻めの経営)

6. 政治家に頼るな、自助努力あるのみ

Give&Takeとなるため、何らかの足かせが生まれる可能性がある。(行政に頼らぬ自立の精神)

7. マスコミとの良い関係

上場企業の社長は公人である。情報を世の中に渡すためにマスコミをうまく使うべきである。マイナスなことも書かれることもあるが、社長自身の言葉で伝えることで意図が伝わるようになる。また、自分の発言を客観的な評価ができ、頭も整理されるので経営者にとってもメリットはある。
また、従業員もマスコミを通して自社の状況がわかるようになるので経営の透明性という意味でも積極的に出ていくべき。

8. 明るい性格

成功する経営者は「ねあか」である。あらゆる物事をポジティブにとらえることができるため、周りも影響されるためである。(コロナショックサバイバルでも同じことが記載されていた)

9. 身銭を切ること

部下に飲ませる時はポケットマネーから支払うようにしなければ、社員から尊敬される経営者にならないことを覚悟する必要がある。そのためであれば、報酬を増やすことも検討すべきである。

10. 高い倫理観

企業の存在意義は、地域社会に対し有用な財やサービスを提供し、住民wの多数雇用して生活の基盤を支えることである。これが企業活動であるが、地域住民の幸せを運ぶ役割を全うしてこそ企業が社会的存在になれるのである。
この社会的存在になるには、高い倫理観が必要なのである。株式会社である以上、株主還元をすべきなど利潤選考で考える経営者もいるが、これは誤りである。企業は永続することが前提であり、この前提を満たすために利潤を稼ぐのである。目的と手段を混同してはならない。

最後に

成る程、と思うことが多々あった。本文では、小倉氏の経験談に基づいた話があるので興味持った方は是非読んでみてほしい。

以下、Memo
収益基盤がないと目先のことや倫理観を持って仕事ができないため、正しい事をするためには基盤となる事業が必要。
会社をスケールさせるには儲かる会社の徹底分析/ミクロ単位での数値分析/競合の現場視察である。
手許キャッシュや財務バランスが悪いとやりたいこともできなくなる。
ヤマトも経営の悪循環に陥っていた。(過少資本、deレシオが悪い、古い能率上がらない設備、作業効率の悪さ、ギスギスした労使関係、収入の頭打ち、利益低下)
また別途、良い循環にもっていくにはよく働く事、巧みな宣伝、商品の品質の良さの3点である。

経営とは、自分で考えるもの、考える姿勢が大事!!

サービスの差別化:目に見えないので実績をトラックする(KPI管理)、認知を広めるため、翌日配達という分かりやすい謳い文句を使う。宅急便ってのはイメージつきにくいのでマスメディアの威力ではなくサービス差別化による口コミの方が費用対効果抜群であった。数値管理は、利益のポイントを掴むことが重要。ヤマトの場合は荷物の密度、これを満たせば黒字化するのは目に見えていた。満たせないと赤字なので初期は赤字垂れ流すがそれでもサービスを維持する、先行投資、これをサボると密度が高くできない、口コミ評価で集客できないから。この赤字は一種の販促費とみるべきである。

サービスレベルの数値化:翌日配達率を算出、はじめは法人だと土日休みで未達、個人でも日付指定で未達などゴミデータ入っていた、精度向上
需要社側の論理と供給側の論理が食い違うこと多々ある、ここをきちんと理解することが大事、発想の転換

コストとサービスのトレードオフ:ヤマトは、「サービスが先利益が後」の理念。これは設備投資や社員採用でも、社員が先荷物は後、車が先荷物は後、サービスに直結する先行投資がなければ荷物の密度はあげられないため。人件費を増やしても生産性が上がる、収入が増えるメリットある、デメリットのコストアップもあるのだが。

企業経営において、人の問題は最重要。社会的存在と企業が認められるのは人の働きがあるから。人の働きではなく投資資金の効率的な回収を求める事業家は向いてない、やめるべき

「安全第一、能率第二」「安全第一、営業第二」
つまり、会社の方針に従って何を大事にするのかと順位付けを論理的にすること。

全員経営:経営の目的や目標を明確にしたうえで社員それぞれの判断で目的目標の達成する。やる気をいかに引き出し、楽しく働いてもらうか。
社員評価は、能力重視で年功序列廃止。仕事の進め方は社内コミュニケーションが1番重要。

資金調達するにもサービスの質、差別化が重要。サービスが良いから業績支えることができ、株価維持、有利な条件で資金調達できつまり資本コスト安い、新たな設備投資が可能になる、設備投資のおかげて生産性あがりコストリダクション、顧客満足度があがり競争力アップで業績上向く、手元資金が増え資金調達しやすくなり、という好循環
となることが可能


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