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読書 - 潜入ルポ amazon帝国

少し間が空いてしまった、、、頑張って継続せねば…

今回はAmazon倉庫現場に関する本です、投稿が金融関連に少し寄っていますが、物流企業に勤めているので、他社の現場がどんなものかを見てみようと思い手にとってみました。(加えて、バックオフィスでフロントのことわかってないとよく怒られるので)

大きくは以下のような構成になってます。倉庫現場は筆者が自身で体現しているので臨場感があって興味深く読めました。そして、えげつないと思いつつ凄いと感心することもあり面白かったです。

1. 国内外のAmazon倉庫の現場

2. ECサイトのAmazonと成長の軌跡

3. Amazonのビジネススタイル

1. 国内外のAmazon倉庫の現場

筆者は小田原のAmazon倉庫にて働くのだが、一言で言うと過酷な労働環境である。
朝、7時過ぎに家を出て17時まで勤務、勤務中は一日20キロは歩くのは普通である。他人の荷物を預かっていることから厳格なセキュリティ(金属探知機に引っかかると5分ほどは調査)、物流はいまだに労働集約産業で薄利のビジネスモデルであることから厳格な時間管理を強いられる。最近ではGAFAという言葉があるが、そこに名を刻むだけのことはあり、倉庫内のあらゆるものを数値化してデータ管理している。現場レベル(センターで働く派遣や社員)や食堂メニューまでもである。(食事後にまた食べたいか否かをおはじきの個数で管理、メニュー改変に役立てる)
PTGやセッション率が悪いとすぐに管理監督者に注意を受ける体制であり、物流の雄であるAmazonの究極なまでの最適化がされている。

(倉庫内用語 - 社員の時間管理方法)
PTG:時間通りにできたピッキング率
セッション率:稼働率 {(勤務時間ー休憩時間) / ピッキングの回数}
その他、fエンター漏れ(登録操作漏れ)、過剰過少(棚卸誤差)、高さオーバーのような作業員のエラーも日次管理

そのような過酷な労働環境もあって年に1人くらい死亡するようである。ただ、これは作業員に何かあったときの対応が遅くそれが致命傷になっているパターンもあるようである。対応の遅れは社内ルールがあるからである。(仕事では究極的に最適化されているのに何故人命にかかることなのに最適化されていないのか。。。)
また、そのようなマイナス面のことが起きてもアナウンスはされず誤魔化す
ような文化が醸成されている。これは、社員が気にするのはアルバイトの声明ではなくその人のAmazonでの評価、不祥事が生じた際の将来的な対応策の考案が面倒などの要因である。このような環境なので、直雇用契約で人員増やそうとするも労働条件過酷で集まらず、社員登用も公募で募ったが本社理由で頓挫し、選考が進んでいた人もいるにも関わらず食券3枚分のみのお詫び食券3枚分のみのお詫びであったため、パートの方については職場に全く愛着はない。
人事管理として車の免許の点数制度と似たようなもので管理をしている。手持ち点数6点で、遅刻▲1点、生産性低い▲1点など。(これはこれで面白いなとは思った)これは、派遣社員が正社員になれるか否かの部分でも使われている(ゼロになると正社員になれない)

薄利商売といってもオペレーションを行う方々はとても重要な経営リソースである。金銭や管理をザルにしろと言っているわけではなく、人は自分のために働いたり生きているので、その人たちの幸福を考えられるような会社にしていけたらなぁと思った。(他の経営者からすれば何を甘いこといっているのだ、人件費なんて低くして利益を稼がないと勝てないだろと考える方もいるとは思うが)

倉庫だけでは物流という意味で配達業界にも言及している。そして、この配達業界も厳しい。記憶に新しいとは思うが、ヤマトの賃上げ問題などである。
Amazonは、配送業界(ラストワンマイル)には乗り出さず、デリバリープロバイダと呼ばれる中小宅配業者をつなぎ合わせて物品を配送する仕組みを作ろうとしている。
現状、中小宅配業者は給料をこのシステムで稼げているが、やり方は大量に採用して優秀な人だけが残る(大量にやめるのは仕方ないと考えるスタンス)で教育・研修している。なので、時間が経つとヤマト佐川のように謀反することは考えられる。

2. ECサイトのAmazonと成長の軌跡

ベゾスの考え
day1 創業の精神
ベゾス自らが梱包や発送作業してた
部下の意見に、耳を貸すほど度量は大きい
生産性の向上を常に意識
day2 停滞状態
意味のないものが溢れ大きな痛みを伴う業績の悪化がはじまり最後は倒産する。だから、day1の精神を持ち続けることが重要
スタートアップ事業の考え方
スタートアップ企業は事業の焦点を絞れば絞るほど成功する確率が上がる、スタートアップ企業はリソースが限られているので一度に多くのことをやり過ぎると破綻する、いかにリソースを集中させるかである。

今や絶対王者のAmazonも2000年付近はebayに完全に負けてた、ebayに追いつくことに必死だった時代もあった。投資で会社が傾きかけたこともあるが、Amazon Web Service、通称AWSをリリースしてからは利益をAWSで稼ぎその稼いだお金をAmazonマーケットプレイスをはじめとした投資に回してここまで成長している。AWSは単純な利用利益だけではなく、シェアで普及させ、必要不可欠にすることでマネタイズ(資格、それを取るための授業)でも稼いでいる。しかも、継続的な値下げにより追随を許さない。追いつくまでに相当の時間稼ぎをしているその間にシェア取り続け勝ちを取りに行っている。


Amazonマーケットプレイスは、顧客最優先のAmazon独自ロジックがあり、出品者不利となることが多いようである。なので出品者はリスク低減のためAmazon一本足の脱却を目指しているが、顧客が多いためなかなか脱却できないのがAmazonワールドである。

マーケットプレイスはレビュー大事であるが、最近はステルスレビューというものが存在し、チャイニーズがよく使う手段のようである。(商品購入前にキックバックの約束をし、Amazonで普通に購入、最上位の点数をつけてコメントすると購入金額と同額が返ってくる仕組み)
これが横行すると、出店業者の評価が適切ではなくなるため正当に運営してる人たちがバカを見るがこれを補足するのはかなり至難の技である。なので、消費者は見分け方を知る必要がある。

日本語が変

レビューアーはそのステルスマーケティング以外で他のレビューしていない

関連性ない画像が添付

発売日とレビュー日が近い

本名が定番的

ステルスマーケティングは金儲けになるようで、サブセラー(中国の業者とレビューアーとを仲介する人達)になるための商材を売る人やネズミ講モデルも出てきているようである。

また、資金の出どころとしてグレーゾーンの節税を実施していることも挙げられている。店の実態がないネット販売の有利性を活かし、税金を払わなくていい理屈付けをして逃れている。税金がかからない分利益同じにすると競争優位になるが、市場としては放っておくわけにはいかない。
アメリカ、イギリスでは議員が講義しAmazonの最低時給アップに成功しているが、日本はAmazonと戦う議員いないので、Amazon倉庫で働く人たちが苦しまずになる時代は果たしてくるのだろうか。

3. Amazon のビジネススタイル

書籍の販売は、出版社70、取次8、書店22の取り分であるが、直取引することで日本市場では取次を駆逐(直取引)しようと画策してる。
加えて、顧客基盤を活かした中規模以下書店潰し
取次なしなのに配分が出版社6割のAmazon4割の契約をしようとしている。
電子書籍の契約を数社とするも印税等払えないため一方的にリリースをとめるなどAmazonワールドを展開し、ビジネス領域を果敢に広げている。

4. まとめ

Amazon倉庫で働く派遣社員のような立場の方はとても辛い甘いをしているが、改善に向かうような状況が日本では少なくとも見込めない状況である。日本の政治家は事なかれ主義なので現状維持していればOKの精神。このマインドセットが良くないとは個人的に思うが政治の世界には政治のロジックがあるのだろう。しかし、そんなことしていたら他国にどんどん先を越されるのできちんと向き合うべき。

また、書籍の取り分の話ではAmazonはズルいような発想をする方もいるかもだが、世界を変える可能性のある会社にお金を落とした方が生活水準は良くなるかもしれない。日本企業のように現金を溜め込んで積極投資をしない会社にお金入れるなら世界を変える可能性のあるところにお金を持たせるという考え方もあってはいいと思った。

長々とありがとうございました。

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