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気泡

君はそして 黙ったままうつむいた
俺はまた 諦めるしかなくて
コーラでも飲もうか といった

ふたりで黙ってコーラを飲むと
君は気泡をじっと見つめて
わからない とだけいった

その目に映る気泡の数ほど
君の中に言葉は生まれど
声に成らずに割れているのか

君に見えている世界は
どんな色をしてるのだろう
君に聞こえる言葉たちは
どんな音をしている
そのコーラはどんな味がしていて
俺は今どんな顔をしている

そのたった13年と少しの心で
見えない何かと独り闘う

それ程の拒絶の正体は
それ程の孤独の正体は
どれ程計り知れぬモノだろう

明けない夜はないなんてのは
明けたヤツにしか解らない

白夜の続きを恐れて君は
今日もうつむいてツメを喰む
あの日憧れたアイドルと
お揃いで買ったマニキュアも
まだ塗れやしないほど
小さなツメだ

君は声を出して泣いた
俺はどうにもできなくて泣いた
コンビニの駐車場
減らないコーラの炭酸が
手の隙間から絶え間なく
抜けて 抜けて 抜けてゆくのを
見つめては悲しくて
途方に暮れた

俺に何ができるのだろう
消えてゆく小さな言葉さえ
ひとつも掴めやしないのに

下校途中の友達が君を見つける

背伸びして大きく手を振ると
君も嬉しそうに手を振った
振り返ると君は少し笑ってて
大判焼きを食べたいといった

コーラの気泡を逃さぬように
力いっぱいキャップを締めて

俺はゆっくりとアクセルを踏んだ