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これが僕のやり方

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中学2年生の段田太一は、エネルギー波を出すために悪戦苦闘する。が、ある日ヒントを掴む。
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2016年3月の記事一覧

小説『これが僕のやり方』――⑫僕の最終回

小説『これが僕のやり方』――⑫僕の最終回

「殺す?」

 正憲の言葉は、脅しでもなんでもなく本気だった。先ほど僕に伸びてきた拳から、肌が強制的に反応してしまうような感じたことがない空気を感じた。それがたぶん、殺気なのだろう。

 しかし、
「『僕が正憲に殺されるわけない』と君は思う」
 正憲の微笑みが、僕の精神に少しずつ傷をつけていく。心まで読まれている。

「読まれとるんじゃない。僕が想像したんだよ。それに君はなぞっただけ」

 考えな

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小説『これが僕のやり方』――⑪ジャンプの新連載が終わるときのように

小説『これが僕のやり方』――⑪ジャンプの新連載が終わるときのように

 浮き足立った表情が校内にも、玄関前にも見える。卒業証書を入れる筒の「ぽん」という音が定期的に聞こえてくる。
 暖かい風が吹いた。

 僕が校門を抜けて下校しようとしていると、馴染みのある声がした。
「段田くん、一緒に帰らん?」
 正憲だ。久しぶりだった。

 すっきりとした表情を「晴れ晴れとした」と形容するなら、今の彼の顔は暴風雨といったところか。卒業式を迎えたというのに何からも解き放たれていな

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