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作品紹介 #014~#016

こちらでは、
能「杜若」「藤」「雷電」を描いた作品を紹介していきます。
更に詳しく解説が知りたい方は、ぜひHPのほうでご覧になってみて下さい。(ページ下部にLINKあります)

Kakitsubata(rabbitear iris)/Noh Art #014



能「杜若」より、
三河の八橋で舞う杜若の精



平安時代の伊勢物語が基になった能です

物語の舞台は現在の愛知県知立市、三河の八橋。
ここで在原業平が杜若「かきつばた」の5文字を使い和歌を詠んだことが有名です

らこ(ご)ろも つつなれにし ましあれ るばるきぬる びをしぞおもふ」

この能の中では業平も高子も登場はせず、杜若の花の精と旅僧の2人のみが登場しますが、杜若の精が装いを代える場面は
唐衣(からころも)が平安時代の公家の女子の正装なので女性を表し、
透冠(すいかんむり)は男性を表しています。つまり、杜若の精の姿は業平と高子が合わさったような存在を表現しているそうです。

「三河の國に着きしかば ここぞ名にある八橋の 澤邉に匂ふ杜若 花紫のゆかりならば 妻しあるやと思ひぞ出づる都人」

(みかわのくににつきしかば ここぞなにあるやつはしの さわべににほふかきつばた はなむらさきのゆかりならば つましあるやと おもひぞいづるみやこびと)

遥々旅を続ける中三河の国に着き、八橋で沢辺に咲き匂う杜若を見て、都の妻を思い出すと謡う場面から


Huji(Wisteria)/Noh Art #015




能「藤」より、
多祜の浦にて舞う藤の精



多祜たご の浦は富山県氷見市の南にあった湖岸で、藤の名所として知られていました
その為、多祜の浦と藤の花が登場する和歌も多く詠まれてきたようです

この能に縁のある神社で、田子浦藤波神社という神社があります
越中国守・大伴家持が布勢の海に遊覧した際に、田子の浦周辺の藤の花の美しさを愛し

藤波の 影成す海の |底清《そこきよ》み しずく石をも 珠とぞ吾が見る
《 藤の花が美しく咲き、影がうつる湖の底までも清く澄んでいるので、水の底に沈んでいる石でさえも珠かと見誤るほどだ。》

と詠まれた歌が万葉集にあります。

「かかれる松にうす花の 色紫の雲の羽袖をかへす舞姫 歌へや唄へ折る柳 落つる梅あるひは花の」

(かかれるまつにうすはなの いろむらさきのくものはそでをかへすまいひめ うたへやうたへいのるやなぎ おつるうめあるひははなの)

咲いた藤の花は佐保姫(春の女神)の鬘のように緑の松に掛かっている。
それは紫の羽袖を翻して舞う舞姫の美しさである、と藤の花の美しさを謡った場面より

Raiden /Noh Art #016




能「雷電」より、
雷鳴を轟かせながら現れる 雷神・菅丞相の怨霊



菅丞相とは京都の北野天満宮に祀られている菅原道真公の異称です

雷電の舞台は前半は比叡山延暦寺(滋賀県)
後半は平安京の内裏に移ります。

菅原道真が大宰府に左遷され憤死し、
死後雷となって内裏に祟ったというエピソードをもとに構成された能です。

「嬉しや生ての怨み 死しての悦び是迄なりや是までとて黒雲に打のりて虚空にあがらせ給ひけり」

(うれしやいきてのうらみ ししてのよろこびこれまでなりやこれまでとて こくうんにうちのりて こくうにあがらせたまひけり)

有難い仏法の徳を受け、天満天神の神号を授けられ生前の怨みも晴れたと言い遺し、黒雲に乗り天高くへ去る場面より




ここまで御覧いただきありがとうございました。

下のリンク先の作品紹介ページにて、

演目の詳しい内容や、登場人物、使用している面や能装束、縁のある史跡等について解説しています。宜しければぜひご覧下さい。

「Mizuraho」… https://mizuraho.eisui.space/

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