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良くしていくには「英語のそこのところ」第145回


【前書き】

 今回、投稿するエッセイは7年前の2017年10月12日に水戸市の「文化問屋みかど商会」のファクシミリ配信誌に掲載されたものです。時節にそぐわない内容はご容赦ください。
 ものごとを良くしていくためには、欠けている部分を指摘する必要があるわけですが、その指摘の仕方は欧米と我々日本人では違います。海外でそうやってるからという理由で海外流の指摘をする日本人がいますが、それは違うんじゃない? とNative English Speakerに言われた話です。(著者)

最新刊「新宿英語嫌い物語」発売開始!

英語嫌いだった私の英語・英会話マスターへの道 
VERSANT スコアアップ法を大公開

 英語なんて好きでもないし、得意でもない。ていうか、むしろ嫌い。でも、仕事で英語を教えなきゃならなくなった! さあ、こまったぞ、どうする? 
これは作者の15年にわたる英語との格闘をギュッと濃縮した英語スキルアップ物語。
英語・英会話習得、VERSANTスコアアップの詳しいやり方、学習期間がわかって、ふつふつとやる気が湧いてきます。

拙著「英語の国の兵衛門」のkindle版を出版しました。

 2008年に株式会社メディア・ポートより上梓され、その後同社の解散により入手不可能になり、みなさんにはご迷惑をおかけしておりましたが(一時は、古本が2万3万ぐらいで取引されていたようで。いやはや、私には一銭も入りませんが_| ̄|○)、kindle という形で復活させることが出来ました。
これを機にぜひお手に取ってみてください。

映画や小説の台詞を英語にして英語力を鍛える「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル21」発売中!

 English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト(全10巻)で、英文法を網羅しましたので、「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル7」以降では、様々なコンテンツの名言、名台詞を英語するより実践的なトレーニングをやっています。
 この「ドリル21」では中央公論社から出版されている立花隆の「宇宙からの帰還」を題材に英文を作っていきます。英文を作ってみたあと、ぜひ「宇宙からの帰還」を手に取ってください。面白いですよ。

宇宙体験をすると、前と同じ人間ではありえない。
あなたが、1時間半で地球を回るとき、あなたはあなたのアイデンティティがあの全体のことと一緒にいると識別し始める。
ひとつの種が健全な生命力を保って行くためには、多様性が必要なのだ。
多様性のためには(中略)過酷な環境が必要だ。
宇宙という過酷な環境の中で、(人間は)鍛えられ、より強い種として発展していくだろう。(ラッセル・シュワイカート)

この地球以外、我々にはどこにも住むところがないんだ。それなのに、この地球の上でお互いに戦争しあっている。これは本当に悲しいことだ。(ウォーリー・シラー)

目の前に宇宙は美しくある。それだけで充分じゃないか。その美しさをただ堪能せよ。他のものはいらない。(エド・ギプスン)

英語でどう言うのでしょうか? 
このテキストを使えば、きっちり身に付きます。お試しください。

【本文】

 もうみなさんご存じのことだと思いますが、私は出不精であまり活動的な方ではなくて、暇があれば本でも読んでのんびりしていたいタイプです。どっか行って観光をするよりも、妄想の中でアメリカやアルゼンチンに行って古代のロボットを採掘したり(ないない)、ダンテの神曲に沿ったテロを防ぐためにフィレンツェからヴェネチア、イスタンブールへと飛び回ったりする方が(ないない、あり得ない)、愉しいという完全なインドア派。なので、基本、用事がなければ書斎で過ごすんですが、めずらしいことにスポーツクラブでお世話になっているインストラクターに誘われてフットサルをやってきました。

 最後にボールを蹴ったのは、以前の会社のスタッフたちとですから、ほぼほぼ10年ぶりで大丈夫かな? 足が縺れて転ばないかな? と思ってたんですが、大丈夫でした。というか、むしろ愉しかった。誘ってくれたインストラクターが私を自分のチームに入れてくれたんで、私以外は巧いのなんのってぐらい巧い。周りが巧いと私みたいなヘボでもうまくなった気になれるのがフットボールの良いところで、私の蹴りやすいところにボールはくれるし、私がシュートしやすいように相手をブロックもしてくれる。おかげさまでアシスト1、オフサイドになった幻のゴール1、マルセイユ・ルーレットで相手を抜くなんてこともできて、満足満足の1日を過ごしました。もちろん、次の日から全身の筋肉痛やら筋挫傷やらに苦しめられたことは言うまでもない(笑)しばらく足を引きずりながら歩いてた(苦笑)

 フットボールはやっぱり愉しいなぁっと再確認したわけですが、まぁ、こういう機会はなかなかないんで、やはり日常的にはフットボールに触れるには観る方が多くなる。

 実は今年(2017年)の3月からJリーグを観るために動画配信サーヴィスのDAZNに入会してしまっていて、これが凄いんです。Jリーグはもちろんだけど、イングランド、スペイン、ドイツ、イタリア、フランス、ブラジル、アルゼンチンのトップリーグが観られるし、ワールドカップ予選まで観られちゃう。しかも、便利なのは放送じゃなくて、配信だってところで、わざわざテレビの前に座る必要がない。ネットがつながるPCがあればどこでもじっくり愉しめる。長距離移動する際やちょっと時間が空いた時には、いそいそとPCを開いてフットボールを愉しんでいます。お好きな方はぜひ。入会して絶対に損はありません。

 と、すっかりDAZNの回し者みたいになってますけど、話の本論はそこじゃなくて、久しぶりに海外サッカーを観てると(とあるBS放送局が独占してたんでここしばらく一番好きなリーグを観られなかったんです)、Jリーグの試合とは、番組の作り方がずいぶん違うなぁって気づかされる。
 もちろん、あちらは何十年もずっとフットボールの試合を放送してるんで、試合の撮り方そのものが巧いんですが、私が気づいたのは別のことでして、はい。

 私が観てふうんと思ったのは、バルセロナ対エスパニョールというチームの試合。いわゆるバルセロナ・デルビと言われるかなり盛り上がる試合でした。試合はバルセロナが攻めて、エスパニョールがそれをきっちりと守るという緊迫した展開で進んで、なかなか面白い。
 フォワードのメッシがドリブル突破しようとすれば、エスパニョールのミッドフィルダーが躰ごとぶつかるようにしてなんとかファールすれすれで抑えるし、バルセロナの司令塔のブスケツが左右にボールを散らせば、ディフェンスラインの4人がきれいにスライドして攻撃を封じ込める。

 おお、これは、バルサも手古摺りそうだなと思いながら、バルサがどう崩すのか、エスパニョールが守りながらどう逆襲するのかと愉しく観てた。
 でも、前半26分にメッシがパスを受けてサクッと1点取っちゃったんです。
 さすがメッシと手放しで喜べればよかったんですが、これがねぇ~、明らかにオフサイドなんです。ちなみにオフサイドってのは、パスが前に出された時にそのパスを受けたプレーヤーはゴールとの間に、キーパー以外にもう一人相手プレーヤーがいないといけないというルールなんですが、明らかにもう一人の相手プレーヤーがいない。はっきりとした誤審なんですが、メッシはこうゆうラッキーも持ってるんだなと変な感心をしてました。だって、レフリーだって人間ですからね、間違えることもある。そういう誤審が自分に有利になるのもスーパースターってもの。ほんのちょっとの、本当にほんのちょっとのオフサイドを見逃してもらえなかった私とは違います(笑)

 レフリーの質の高いヨーロッパでもそういうこともあるんだなぁと引き続き試合を観てたんですが、いやはや驚きました。ちょっと試合が途切れるたびにさっきの「メッシのオフサイド」のリプレイが繰り返し流れる。
「ほらオフサイドですよ、レフリーの誤審ですよ」
と言わんばかりに繰り返されるんです。しまいには、画面の中に線まで書き込まれて、レフリーの誤審を強調する。今まではJリーグの中継に慣れてたもんだから、ちょっと意外。Jリーグの中継なんて、完全なオフサイドでも、ほとんどリプレイなんかしません。
「誤審なんだけど、そっとしといてやろうよ、レフリーも人間なんだからさ」
なんて放送局側の優しさが見え隠れする。

 ああ、やっぱりNative English speaker の世界ってのは白黒はっきりつけようとするんだなぁ、それがたとえレフリーでも批判の対象になるのね、聖域なんてないんだな、なんてそのときは判ったつもりになっていた。
 だって、現状の正しい分析を経て、正しいとされるものはさらに発展させ、間違いは間違いと認め、その過誤が再発しないように努めるというのは、発展には絶対に必要なものですからね。
「レフリーさん、これは正しいジャッジだったんですか? 違うでしょ?」
と事実を何度も突きつけるのは、次のミスをさせないにはいい方法だし、観ている方もすっきりしますもの。翻って、Jリーグはだめだなぁ、こういう甘い姿勢だから、プレーヤーは成長してるのにレフリーはダメなんだ、なんて思ってたんです。

 で、それをこの間、友人のRich に話したんですね。
 ミスはミスってはっきりさせて、ちゃんとそれを批判しないから、レベルが上がらないんだよ、だから、サッカー協会を怒らせるのを怖がらずに馴れ合わずに放送局も放映してほしいなってね。そしたら、Richがちょっと首をかしげて、こうのたまわった。
「それって、ちょっと違うと思うよ。ミスをはっきりさせることは大切だけど、それを何度もリプレイするのは日本人のやり方じゃないんじゃない
 だって。
 私はRichがそうだそうだといってくれると思ってたんで、ちょっとムッとしたんですが、英語のモードに入ってたんで、Richが私の意見を深めてくれようとしている意図がピンと来る、
「なんでさ?」
 と訊くと、

Richがなぜそう思うかを知りたい方は購入してね。

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