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第39回 最善手?

【前書き】

 今回、投稿するエッセイは2014年8月14日に水戸市の「文化問屋みかど商会」のファクシミリ配信誌に掲載されたものです。時節にそぐわない内容はご容赦ください。国際問題に関しては、Native English Speakerとはやはりちょっと違う感覚をわれわれNative Japanese Speakerは持っていると思います。こういう常識のずれは意識しておきたいものです。(著者)

【本文】

 今日は8月14日、明日は8月15日で終戦記念日です。
 私の子供のころは、8月の15日前後はお盆休みということで、父の実家に行くと夏を満喫したものです。父の田舎の家には大きな庭に池と竹林があって、そこが遊び場。私は祖父の初孫だったので、そのときは従兄弟もおらず、広い庭の池に竹を切り出してきて船を作り、モーターとスクリューを仕込んで走らせて愉しんでいました。まぁ、そのころから一人遊びが好きな子供だったわけですね。今書きながら、集団行動が出来ないのはあのころからか と驚きます(笑)

 そんな風にして、お盆を過ごしていたわけですが、さすがに15日の正午になると親類縁者が一同に顔をそろえた広間に呼ばれる。当時としては大きなテレビがあって、そのまえで『終戦記念日』の儀礼を見ることになります。父はそうでもないようでしたが、やはり、祖父や祖母は神妙な顔をして見ていました。祖父は実際に戦争に行っていた人だったので、いろいろ思うところがあったのだと思います。私は、祖父にかわいがられていたので、そんな祖父が神妙な顔をしているとこちらも真剣な顔になり、判らないながらも正座して式典に見入るわけですが、私は変な癖がありまして。
 周囲が真面目な顔をしているときほど、
「ぷっ」
と、おならが出てしまうんです。
 祖父の手前、神妙な面持ちをしていた親族も助かったとばかりに、笑い出して式典を見るのはお開き。お盆のご馳走が振舞われ始めて、男たちは酒盛り、女性と子供はスイカにかぶりつく、という次第です。

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 小中高大学と進む過程で、当然ながら日本がアメリカを初めとする連合国と戦争をしたことを知り、海外の人々に、自分達に迷惑をかけたから、戦争は悪いものだ、みんなを不幸にするものだ と教えられ、無批判にそれを信じてきた世代に私は属しています。
 当然、それは世界の常識だと思っていたんですが、実はそうでもないらしい。
 Native English Speaker、とくにアメリカ人と親しくなって、そんな話をしていたときにえっと思ったことがあります。

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