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論理的でない発言に納得しないで「英語のそこのところ」第75回

【前書き】

 今回、投稿するエッセイは7年前の2015年5月14日に水戸市の「文化問屋みかど商会」のファクシミリ配信誌に掲載されたものです。時節にそぐわない内容はご容赦ください。
 人間というのは思っている以上に論理的でないものでして、印象に左右されやすい動物です。Native English Speakerの場合は論理的に話したり、意見を言う訓練を学校でずいぶん受けていますから、非論理的な非難をされるとすぐ気づくのですが。みなさんは如何でしょう?(著者)

拙著「英語の国の兵衛門」のkindle版を出版しました。

2008年に株式会社メディア・ポートより上梓され、その後同社の解散により入手不可能になり、みなさんにはご迷惑をおかけしておりましたが(一時は、古本が2万3万ぐらいで取引されていたようで。いやはや、私には一銭も入りませんが_| ̄|○)、kindle という形で復活させることが出来ました。
これを機にぜひお手に取ってみてください。

最新刊!  
「英語の国の兵衛門」「英語のそこのところ」の作者徳田孝一郎の作った英語テキスト「English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト9 形容詞とその仲間たち2(関係詞)」販売中!

 前巻の「形容詞とその仲間たち」で形容詞・不定詞の形容詞的用法・分詞を取り上げ、様々な表現をするスキルを身に着けていただきましたが、今回は、文で名詞を飾りたいときに使う関係代名詞・関係副詞です。
「質問をしてくる奴=私たちにいくつかの質問を頼む少年たち」
「あいつらがする質問=少年たちが私たちに頼むいくつかの質問」
と言った日本語を英語にする手順をすっきり身に着けることができます。

【本文】

 5月も中旬、空気も爽やかになって過ごしやすい季節です。
 ゴールデンウィークも終わって1週間ですから、みなさん仕事のリズムも整ってきて、バリバリ業務をこなしておられるのではないでしょうか?
 わたしのいた英会話業界では、反対に5月はようやくほっとする時期になっていました。
 4月に入会された受講生の方々のレッスンがルーチン化して、伝えるべきことトレーニングするべきことが判ってくるし、ゴールデンウィークが終わって応募も落ち着いてきて、ちょっと休憩気分になる。
 もちろん、ここは「内向きの営業」、つまり既存の受講生へのイベントをやって新規受講生の紹介につなげたりしなくてはならないんですが、「外向きの営業」よりはやっぱり気は楽で、開放的な気分。ほっとするという次第。
「まあ、あしたのための準備はできたから、ちょっと呑みに行くかぁ」
 なんて具合で、行きます、行きますって、みんな手を上げる。
「え~、ケンジ、明日、10時に茅ヶ崎じゃなかったけ?」
 徳田の会社の営業エリアは首都圏一円なのだ。東は、湘南、西は土浦あたりまでカヴァーしている。なので、講師を紹介する営業部員は酷いときには、朝は錦糸町、昼は大宮、夜は町田、なんて強行軍のこともある。
「大丈夫っすよ、明日それだけっすから。あとはのんびり新宿で、ペーパーワークです」
 朝10時に茅ヶ崎にちゃんと行けるという保証にまったくならないことを言って、ケンジがニコニコ顔で書類をカバンに詰め始めた。

 Native English Speakerとの会話は気骨が折れるなぁ。
 そんなことを思っていたのは、最初の内だけだった。ある程度英語が話せるようになれば、生来理屈っぽい徳田にしてみれば、むしろ気が楽なぐらい。どこに行くか判らない話に困ることがないのが助かる。
 もちろん、知らない単語、言い回しに出くわせば、神経を使う。どういう意味? っていちいち確認することになって、会話の流れが途切れもする。だが、Native English Speakerたちは意外にそういう流れが切れることを嫌がらない。むしろ歓迎するところもある。
 この前も、徳田がスポーツクラブのレッスンは、途中で抜け出せないんだという話をRichに話したら、
“You soldier on.”
 といわれて、
「?」
 となったことがあった。「いや、おれは軍人じゃないよ」というと、我慢強い 意味だという。また、スラングでは、逃げられない試練に捕まってる、という意味もあるとの話だった。

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