見出し画像

遥か彼方の人「英語のそこのところ」第130回


【前書き】

 今回、投稿するエッセイは7年前の2017年3月16日に水戸市の「文化問屋みかど商会」のファクシミリ配信誌に掲載されたものです。時節にそぐわない内容はご容赦ください。
 Native English Speakerと英語で話すときには、非常に大切な心構えがあります。それを一瞬忘れてしまって大やけどしたというお話です。(著者)

拙著「英語の国の兵衛門」のkindle版を出版しました。

 2008年に株式会社メディア・ポートより上梓され、その後同社の解散により入手不可能になり、みなさんにはご迷惑をおかけしておりましたが(一時は、古本が2万3万ぐらいで取引されていたようで。いやはや、私には一銭も入りませんが_| ̄|○)、kindle という形で復活させることが出来ました。
これを機にぜひお手に取ってみてください。

映画や小説の台詞を英語にして英語力を鍛える「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル15」発売中!

 English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト(全10巻)で、英文法を網羅しましたので、「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル7」以降では、様々なコンテンツの名言、名台詞を英語するより実践的なトレーニングをやっています。
 この「ドリル15」ではFreddie Mercury のI was born to love you. を題材に英文を作っていきます。

君がチャンスをくれるなら、何でもしてあげられるのに。
それで、ぼくと一緒にかけてみないか。
君との夢物語を作らせてよ。
夢に取り込まれているんだ。
そうさ、私の夢は今叶ったよ。
信じられないよ。
こんなことがぼくに起こるなんて。
素晴らしい感覚が駆け巡る(from I was born to love you)。
英語でどう言うのでしょうか? 
このテキストを使えば、きっちり身に付きます。お試しください。

大好評! Kindle で一日500ページビュー 「English Sentence Maker」シリーズ

 English Sentence Maker は、あなたの感情や意見、思っていることを伝えるためにはどの時制や助動詞、文法事項を選ぶべきかがわかる実践英語・英会話力養成テキストです。

 著者の主宰する英会話スクール「英語・直観力」の企業向けテキストから、契約企業様向けの問題文などを差し替え、一般向けに手直ししました。

 7年間で100名以上のビジネスピープルを単独での海外出張や海外赴任ができるスキルを持った国際ビジネスピープルにした実績があります。

 ぜひ、この実績あるテキストを完全マスターしていただき、世界を相手にビックディールを成し遂げ、人生を愉しんでください。このテキストはその扉を開くカギになります。

 実践英語・英会話力養成テキストEnglish Sentence Maker は、3つの特色を持っています。

 ひとつ目は、能動的な学習だということ。
 English Sentence Maker は書き込み式のテキストです。各Lesson ごとの解説を読み、そのあとに掲載されている日本文をご自身のノートもしくはkindle のノートブックなどに英語にして書き入れてください。その際に、知らない単語は調べたりせずに、日本語のまま英語の文の位置においてください。そうすることで、知っている単語、知らない単語を区別し、身に着けるべき単語を浮かび上がらせることが出来ます。

 ふたつ目は、どの文法事項を使うかの判断基準を身に着けられるということ。
 小・中・高校と長い間英語を学ぶために、多くに人々は英語の現在形、過去形などの文法事項を知っています。しかし、残念ながら、その文法事項をどういう場合に使えばよいかという判断基準を身に着けていません。

 たとえば、ここ何ヶ月かフットボールに夢中になっているということを伝えたい場合に使うべき時制は、現在形でしょうか? それとも現在進行形でしょうか? 迷われると思います。
 この知ってはいるけれども使い方に迷ってしまう文法事項を使う判断基準を各Lesson ごとの解説でくわしく説明しています。それを理解することで、英語を使う際に十全にあなたの感情や意見、思っていることを伝えることが出来るようになります。

 みっつ目は、英語を英語で考えることが出来るようになるということ。
 English Sentence Maker は日本語を英語にしていくことで、英語を習得していくテキストです。しかも、どういうときに、どういうことを言いたいときに、どの文法事項を使えばよいかという判断基準が出来ていくために、日本語の文字面を英語に移していくのではなく、日本語を読んでその内容をイメージして、そのイメージを英語にするというスキルを身に着けることが出来ます。頭の中のイメージから英語を作ることが出来るということは、そこに日本語は介在しません。つまり、英語を英語で考えることが出来るようになるのです。

具体的には、

私は彼が来るだろうことを知っていた。

という日本語を英語にする際には、日本語の文字面を英語に移していくと、

I knew that he will come.

と、しがちです。「知っていた」なのでknew、「来るだろう」なのでwill comeというわけです。
 しかし、よく考えてください。「彼が来るだろう」というのは、「私が知っていた」過去の時点のことです。であれば、「彼が来るだろう」と書いてあっても、過去から見た未来のwould を使って、would come としなければなりません。日本語をその字面のまま英語にしてはいけないのです。しかし、日本語を読んでその内容をイメージして、そのイメージを、判断基準をもって英語にすることが出来れば、問題はなくなります。頭の中に時の流れのイメージがあるために、

I knew that he would come.

という英文が難なく作れるようになります。 英文作成力や速読力を付けたいと思っておられる方ぜひ、手に取ってみてください。必ず、英語・英会話が出来るようになります。

☆「English Sentence Maker 実践英語・英会話力養成テキスト」および「ESM Practice 実践英語・英会話力トレーニングドリル」で使っている英文はすべて、Native English Speakerと協同で製作したものです。安心して、Native English Speakerの自然な英語を知り、習得してください。

【本文】

 人生先のことは判らないと申しますが、ほんと、未来のことなんてよく判らないというのが実感で、学生時代あんなに不得意だった英語を会社に入って人様にお伝えすることになり、その後、出版社で編集者になったら英語の教材を出版することになり、その次は英会話スクールで大人の方に英会話の学習指導をさせていただいたり、英語がらみの本を書かせていただいたりし、挙句の果ては柄でもないVice president なんて役職についたりして、我ながら変な道行きだなぁと思っていますが、その中でも飛び切りの驚きは、なんといっても自分が独立して会社を作ってしまったことです。

 今でこそ、「将来起業したいです」とか「夢は独立です」なんてサラリーマンが言うことはめずらしくもないですが、私自身はそういう野心は爪の垢ほどもなくて、サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ(by植木等)ばりに、会社勤めは生活のためと割り切っているタイプでした。言われたことはやるし、自分のやりたいことはやるけど、やりたくないことはやらないで何とか逃げようとする不良従業員。まぁ、独立に向けてスキルアップとか、ネットワーク作りとかそんなことは考えてなかったですねぇ。そんな怠け者が、どうしたことか独立して曲がりなりにも仕事をやらせてもらってるんですから、有り難いやら、恐ろしいやら、申し訳ないやら、周囲の方のご厚意に感謝してもしきれるものではありません。ほんと、人に恵まれているなと我ながら驚くことばかりで、少しでも期待にそえればとたまには殊勝なことを思ったりもします。いや、いつでも殊勝なことを思っています。

 突然、こんなことを書き始めたのは、実はこの3月に独立してから7年目に入るからでして、よくもまぁ、ここまでやれたものです。今では「弟子」なんかもとったりして、発信型の英語スキル、日本語を英語にして自分の想いを伝える英語のスキルをさらに広めたいなぁなんて私なんかが生意気なことを思っていたりする。でも、まぁ、がつがつしたやり方は私らしくないんで、風の吹くまま気の向くまま、ご縁があればスキルアップのお手伝いをさせていただければ嬉しいなぐらいの気持です。それこそ気が向けば、どうぞお気軽にお声がけください。

 ただ、実際こういう英語・英会話をお伝えする仕事をしていると3月というのはよく相談を受ける時期で、英会話を始めたいんだけど、一番大切なことは何? なんてことはよく聞かれます。4月からの進学先や就職先が決まって、将来を見据えてスキルアップをしなければということなんだと思いますが、いやはや頭が下がる。目標を持たないことが目標の私にしてみれば、みなさんすごいなぁって見上げちゃいます。
 で、そういう時にどう答えてるか? なんですが、それは、
気持のセット
 です。
 なんのこと? と思われるでしょうけど、これは簡単に言うと英語を話すときは「積極的」な気持でということなんで、まぁ、たいしたことないって言えばたいしたことはないんですが、案外大事なんです。積極的な気持になれば、自分の言いたいことを伝えようという気になりますし、伝えるからには、反対に相手の言いたいことを理解する必要も出てくる。そして、自分と相手の境界がはっきりすることにもつながります。そうすると、日本語の会話をする際のような「相手に寄り添おう」という気持が薄まって、相手と認め合うことができるようになる。
あなたはあなた、私は私、
お互い違う人間だから互いの知らない考え方を持ってて当たり前、
それを教えてくれて、ありがとうという着地点も見いだせる
というわけです。
 なんだ、そんなことか、と思われた方もおられるかと思いますが、これ、けっこう難しい。とくに親しくなったNative English speaker が相手だとふっと忘れていたりする。
 私も去年の忘年会でNative English speaker とケンカになりかけてしまいまして。そのあと、反省反省でした。

「いや、だから、民主主義ってのは、第二次世界大戦でアメリカが勝ったから出てきた思想でしょ? ものをしっかり考えている人の一票となにも考えていない人の一票が同じ価値を持つというのは、本来おかしいでしょ?」
「なぜ? どこがおかしいの? 先進国はほとんど民主主義政体だよね」
 Richの返しに、うっと徳田は詰まる。民主主義は欠陥を抱えていると普段からRichもいっていたので、当然ここは同意してもらえると思ったのだ。まさか、ここで引っかかるとは思わなかった。
「それは、仕方がなくだよ。物事を決めるためにベストの方法が見つからないから、次善の策として民主主義を採用しているんだ」
「じゃあ、徳さんの考える『物事を決めるためのベストの方法』ってなにさ?」
 そういうとRichはグラスのキリン一番搾りを飲み干した。空いたグラスに徳田がビールを注ごうとすると首を振る。
「イングリッシュウェイで行こうっていったのは徳さんだぜ」
「ああ、悪い忘れてた」
「で、徳さんの考える『物事を決めるためのベストの方法』は?」
 徳田はちょっと困った顔をした。こういう話の展開を考えていなかったのだ。民主主義が欠陥を持っていることを共通認識にして、その欠陥を補うためにはどうすればいいか? という話に持って行く予定だったのだが。まったく話がそれてしまった。だが、それを戻すのも難しい。
「それは、人類全員が叡智を持って話し合うこと……」
 ちょっといらいらしながら、徳田はいう。こいつどうしておれの意見に同意しないんだというイライラと、自分が信じてもいないことをいってしまったイライラだ。これじゃ『優生思想』だ。

「おれは、人類全員が叡智を持っても、だめだと思うよ。原因はさ……」
 そりゃ、おれもわかってるわい! と徳田は叫びそうになる。どうして、今日はこうも上手く行かないのか? 英語もなかなかスムーズに出てこないし、おれはなにかを忘れてる。
「……というわけさ」
「う、うん」
 徳田の愉しそうでない様子にRichが怪訝な顔をした。
「どうしたのさ? 今日は変だぜ? 考えが深まらなかったかい?」
「いや、悪い。ちょっと呑み過ぎかな?」
「また、また、そんなに呑んでないじゃん? ビデオゲームでもする?」
「いいねぇ。ちょっと今日は頭が悪い」
 徳田はRichは悪くないのにどうしてこうもうイライラするのだろうと思いながら、Richの提案に飛びついてた。

 と、まぁ、大前提の「積極的」な気持のセットを忘れて、英会話したりするとこんな大やけどを負うことになります。会話の中で「気持の共有」「同意」をお互いに求めてしまうのは我々Native Japanese speakerにとって自然なことですが、Native English speaker の作法ではありません。むしろ、相手の意見に理由を求めて、相手の考えを深める手助けをすることが彼らの作法なんですね。
 私も肝に銘じていたつもりでしたが、忘年会というほっとした場所のせいかすっかり忘れてしまっていました。English Wizard 失格です( ;∀;)

ここから先は

473字 / 1画像

¥ 110

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?