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『えいしょ2020』の中身について

文学フリマ東京の日、11/22(日)に同人誌『えいしょ2020』を発行します。

各企画より一部を抜粋してご紹介します。

えいしょメンバー

有村桔梗・岩田怜武・御殿山みなみ・坂中茱萸
堂那灼風・中本 速・のつ ちえこ・平出 奔

企画① 会員作品

各自15~20首の作品を制作しました。作者ごとに一首ずつ紹介します。

坂中茱萸「肉体と関係」

国境を血で渡る船 あさりの子、あさりの親を沈めて鍋へ

岩田怜武「刺し込む 強く」

絵には光を人には闇を押し付けて美術館って場所の優しさ

平出奔「として優秀」

電気コードで殺すシーンの俳優は本能で動いてるように見えた

有村桔梗「ペーパードライブ」

言語野の果てにたたずむ ばうばうとましろき紙のうへのあかるさ

御殿山みなみ「悪魔たち」

撮るときに青い花まで入れるのをあきらめたこと、思い出せてる

中本速「手順はついにわからずに」

昨日から落ちていたけど拾うのに今までかかってしまった輪ゴム

のつちえこ「忘れることがむずかしい」

洗いざらい打ち明けることを誠実と思って長い 長いってだけ

堂那灼風「一時にして悠久の姿について」

そらを駆けそらより墜ちて石塊に永く旅したペリドットが棲む

企画② 作品相互評

それぞれの会員作品について、作者以外のメンバーが論じ合っています。
下記に、評のなかから抜粋を載せます。

とりあえず意味の解らない歌がない、というのはとても良い事だ連作のこのテンションについてこれるかどうかは、かなり人によるのではないか私はタバコを吸いませんが、喫煙所でたまたま一緒になった人との会話みたいですよねその点は皆さんとあまり変わらないかと思いますが、一方で「希薄化する」という読みには納得できない把握が、大きすぎないだろうかうん、「がんばらない」よな、そうだよな作者は1.5ぐらいの努力をして、読者は3読まされる食べ物自体の味が悪いというのでなく、食欲が薄そうという印象を受けましたこのことを僕はうれしく思っていて、ここに書いておきたいと思ったので、書きます何が言いたいかというと、基本的にこの作中主体ってツッコミの人なんですよねう、まぶしいくっきりとした輪郭線を引かずに描かれた絵画をイメージしましたそういうところはちゃんとしてるのね



企画③ エッセー「嘘日記」

各自の嘘が書かれた日記。本当です(いや嘘なんだけど)。

[中本] 6月3日(土)晴。初めてエレベーターというものに乗った。 
[平出] 激しい乱打戦(なにせ投手もイチローと松井なのだ)の末、84対67でイチローが勝った。
[坂中] オムライスは一瞬で食べ終えた。
[御殿山] 最近自転車通勤を始めて、楽なのはいいけれど今日みたいに台風が近づいている日はドキドキする。
[のつ] 百均とかでも可愛いのがある。プチプラ万歳。
[岩田] シカの眼玉が飛び出たまま戻らなくなることなんて、あるんだ……と思っているとお腹がすいてきたので近所のスーパーにお弁当を買いに行った。
[堂那] ホラー系のゲームや映画もよく走るけどあんな感じか。
[有村] 最初から嘘を標榜している日記に書かれていることを本当に嘘として読んでもらえるのかどうかは知らない。

企画④ 電脳吟行

全国に散らばったメンバーが電脳空間こと、Googleストリートビューに集合し、吟行を実施しました。

電脳吟行画像

企画⑤ たまたまご

タマゴからうまれたトリがうむタマゴ、略してその名もたまたまご!
短歌から評がうまれ、評から短歌がうまれます。

まず、一首短歌を作ります。それに、別のひとりが評を書きます。さらに別のひとりが、最初の短歌を読まずに評だけを読みます。読んだ評に合わせて短歌を作ると...!!

でかい鞄 でかい鞄の中にある小さなレシート もうないアイス買ってた(平出奔)
↑これが
↓ こうなります
しまってたスーツケースにどんぐりが記憶のうちよりこぼれて芽吹く
(のつちえこ)

企画⑥ 短歌の「できるかな?」

 短歌について、二つのテーマで文章を書きました。
 以前には出来なかったが、出来た経験があること。
 まだ出来ていないがこれから出来るようになりたいこと。

有村桔梗  「無題」 
岩田怜武  「時間の表現と世界の複雑さ」
御殿山みなみ「圧縮と解凍」 
坂中茱萸  「あん食パンにバターを塗るように」
堂那灼風  「目になりきる」
中本速   「詩に、姿を現させる」
のつちえこ 「語を生かす?」
平出奔   「ただそこにある」

そのほかに、

画像から詠む「企画⑦ 画像で一首」

短歌をふたりずつが評する「企画⑧ この短歌どうでしょう」

を収録しています!

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