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詠所(えいしょ)

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えいしょ同人・短歌投稿企画「詠所(えいしょ)」の記事一覧です。
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2020年5月の記事一覧

えいしょ同人・短歌投稿企画 「詠所(えいしょ)」全首評一覧

えいしょ同人・短歌投稿企画 「詠所(えいしょ)」全首評一覧

おわりに短歌投稿企画「詠所(えいしょ)」、7日間にわたりご覧いただきありがとうございました。

noteにて公開しましたデータの一覧をアップしますので、ぜひ読み返しにお役立ていただけますとうれしいです(末尾におまけこと編集後記がついています)。

これまでの「詠所」記事まとめ

・企画概要

・評 1 2 3 4 5 6 7

えいしょ同人・短歌投稿企画 「詠所(えいしょ)」評⑦

えいしょ同人・短歌投稿企画 「詠所(えいしょ)」評⑦

最終日です。本日もよろしくお願いします。

1.人よりも猫の頭が多い家あなたはここで育ったんだね  (芍薬)

中本・評人よりも猫の頭が多い家。それは、人よりも猫が多い家である。だが、「頭」という一語によって、読者は人と猫を「頭の数」で数えることになる。下の句の「あなたはここで育ったんだね」が、知人の家に対するごく普通の感想である。普通の感想を導いているからこそ、頭で数えるという変な認識が伝わって

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えいしょ同人・短歌投稿企画 「詠所(えいしょ)」評⑥

えいしょ同人・短歌投稿企画 「詠所(えいしょ)」評⑥

いよいよ大詰めです。本日もよろしくお願いします。

1.道化師は揺れながらスキップ ライオンはキメポーズよっこらせっと (紫)

中本・評道化師は揺れながらスキップすることで観客の気持ちを浮き立たせる。ライオンがポーズを取る。サーカスの一場面だ。軽業のような限界を越えた動きではない。リラックスした場面だろう。
道化師とライオンの役回りは、奇妙といえば奇妙である。人間の側が体の動きで魅せていて、猛獣

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えいしょ同人・短歌投稿企画 「詠所(えいしょ)」評⑤

えいしょ同人・短歌投稿企画 「詠所(えいしょ)」評⑤

残り2日となりました。本日もよろしくお願いします。

1.わたしにも嬉し泣きの回路があると知らされている阪急のシート (真野いずみ)

平出・評それ、を「回路」って言える把握の仕方と、「嬉し泣き」をしているのであろう今の状態とが、印象としてはマッチしない、けど そう なんだよな、と思った。
感情から生理現象が発生するときに、たぶん脳内にあるはずの経路のことを「回路」と表現することはままあるし、それ

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えいしょ同人・短歌投稿企画 「詠所(えいしょ)」評④

えいしょ同人・短歌投稿企画 「詠所(えいしょ)」評④

折り返しです。本日もよろしくお願いします。

1.幼子がするりと風船手ばなせば取り戻せないものまたひとつ (三浦なつ)

中本・評浮くタイプの風船だろう。幼子が手放すと、上空へ飛んで、もう取り戻せなくなる。
ただし、ここで「取り戻せない」と思っているのは幼子ではなく語り手である。「するり」と手放す幼子には、もしかしたら風船に対する執着は案外乏しいかもしれない。語り手によって、「取り戻せないものまた

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えいしょ同人・短歌投稿企画 「詠所(えいしょ)」評③

えいしょ同人・短歌投稿企画 「詠所(えいしょ)」評③

本日もよろしくお願いします。

1.夏の夜の汗と涙といろんななにかでぐちゃぐちゃになってするキスを (いこま)

御殿山・評定型に押し込んでいけば、「夏の夜の/汗と涙と/いろんななに/かでぐちゃぐちゃに/なってするキスを」になるのか、音はやや余り気味で三句から四句にかけての跨りがある。勢いを感じる韻律なので、「いろんななにかで」をまるまる三句としても取れる。そのへんの荒っぽさが、歌意と合っていると

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