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第三回・春の季節に恋する動物たち~猫編~

皆さん、こんにちは。
今回は猫についての内容です。

「猫の恋 やむとき閨の おぼろ月」

こちらは奥の細道で有名な俳人 松尾芭蕉が読んだ俳句です。

「少し前まで外では恋する猫たちの騒々しい鳴き声が聞こえていたが、止んだと同時に静かな夜の帳が戻ってきた。ふと空を見上げれば春の夜の朧月の光が部屋に差し込んでいる。」

出典:photo AC

長かった冬も終わり猫たちも恋の歌を奏でる心ざわめく春の気配と、霞みがかった月が照らす静寂な趣、風情ある素敵な俳句ですね。
俳句といえば学校の授業に、季節を表す「季語」がありました。
実はこの俳句にも季語が入っているのです。 それはズバリ「猫の恋」! ちょうど今の春の季節を表しているのだそうです。

日照時間が日に日に長くなる春先から夏にかけて発情が始まる「季節繁殖動物」である猫ちゃん達の恋の季節はちょうど今からの時期です。(ただし屋内飼育の猫ちゃんは日照時間に関係ない照明の中で生活しているので1月くらいから繁殖期を迎える場合もあります。)
一般的には女の子の猫ちゃんの最初の発情は生後6ヶ月~10ヶ月で始まることが多いようです。発情前期・発情期・発情後期・発情休止期からなる発情周期を約16~36日周期で繰り返します。

これからの恋の季節を迎える猫ちゃんも飼い主さまと一緒に生活する中で、発情行動によって様々な問題が生じる場合があります。

男の子では
・落ち着きのなさや大声で鳴く事が増えてきます。鳴き声は時に近隣の方々とのトラブルになる場合があります。
・多頭飼育ですと他の猫に対して攻撃的になる場合があります。
・マーキング(スプレー行動)で室内が強い尿臭で大変になる場合があります。

女の子では
・男の子同様の落ち着きのなさや大声に加え、転げまわったりかがんで腰を高く上げる仕草や飼い主さまへの過剰な甘えが出てきます。
・排尿回数が増えてトイレ以外の不適切な場所での排尿をしてしまう場合があります。

またこれらの発情行動は外の猫の声や気配にも反応して、脱走による野良の猫ちゃんとのケンカやウイルス感染、予想外の妊娠、交通事故に見舞われる可能性もあります。

予防として去勢手術や避妊手術がお勧めです。
男の子女の子ともに生後6ヶ月くらいからの手術が可能です。特に女の子ですと早期の避妊手術は中高年齢になってからの乳腺腫瘍や子宮蓄膿症の予防にも効果的です。
                                       
                          (獣医師 植田)

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