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ポトスの話をしよう。
ある時、100円ショップで彼がポトスを買った。かつて研究生だった彼が、唯一心を許した植物であった。
ポトスという植物について、彼が言った。
「やつはさ、とにかくへこたれないんだよ。水をしばらくあげなくても、そんなに光がない部屋にいてもさ。それで、薄い壁の向こうの雑音にうんざりしていた僕に、そういうこともあるよって言って、やつの葉っぱでぐるぐる包んでくれたんだ。そんなに大きくないやつが、頑張って300倍ぐらいになって。」
ポトスのぐるぐる布団は、彼の睡眠を助け、研究に没頭できるようになり、論文が完成した。しかし、研究室から帰った時、ポトスは鉢ごと消えていたそうだ。
「喪失感っていうもんじゃなかった。自分の一部が壊死して、水から飛び出た魚みたいにバクバク苦しむしかなかったよ。」
この話をする時、彼は顔色が土色になってしまい、この言葉以上の感情を表すことができなかった。
しかし、この喪失感が彼と私を引き合わせた。ポトスは、安眠布団であり、恋のキューピットだった。
そして20年の時を経て、彼がもう一度買ったポトスが私を救うことになる。
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