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発酵にて山賊でノンアルコールペアリング体験を

あさ、毛布と枕に未練を残しつつなんとか気持ちを奮い立たせて身体を起こす。

ぼんやりと回転のにぶい頭でのろのろと湯を沸かす。

ポットがシュンシュンッと音の出す間に、炊飯器に被さっている布巾を取り、中をしゃもじでかきまぜる。ふわわん、と甘い香りが鼻腔をくすぐる。

つやつやとした麹を見て、思わず顔がほころぶ。
よしよし、今日も出来てる。


米麹だけでつくる甘酒に使う麹は小倉ヒラクさんに教えてもらった羽場のこうじ。夜寝るまえに炊飯器に米麹と水を入れて、保温ボタンを押して8時間。たったこれだけでやさしく甘味の強い甘酒の出来上がり。

出来上がった甘酒に豆乳をとぽとぽかけて、スプーンで掬ってスープのようにして飲むのがお気に入りです。


自宅で甘酒をつくるようになって2ヶ月。

すっかり発酵沼へのトビラを叩いてしまったわたしですが、発酵デパートメントでディナーコースのノンアルコールペアリングのご依頼をいただいたことがきっかけでした。

実際に山賊ディナーを体験して、耳・目・舌に押し寄せてくる情報量に圧倒されながらのディナーはまさにエンターテイメント。


野性味あふれるコース名ですが、世界各地のディープローカル料理を探求されている南風食堂の三原さん監修のお料理の美味しいこと、、!じんわり寄り添ってくれる味わいです。

お料理の詳細はこちらをご覧ください。


熱燗DJつけたろうさん&料理家ユニットてとてとさんによる、バリエーションに富んだアルコールペアリングに引けを取らないノンアルコールペアリングを、と気合いを入れて構成を考えました。

発酵沼へと誘う渾身のノンアルコールドリンクのご紹介をさせてください。


【1の皿】宴のはじまり、発酵の宴を告げるアミューズと発酵づくしのノンアルコールペアリング

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宴の序章である、いちばん最初のお料理は「謎の味噌玉と酒粕の床につけた野草アミューズ」。

アミューズには、黒糀甘酒とモモ酵素のノンアルコールカクテルをペアリング。黒麹で作ったすこし酸味のある甘酒に、モモの上品な甘さの酵素シロップを合わせました。

発酵デパートメントのキッチン内でつくられる甘酒とフルーツの酵素は滋養あふれる豊かな味わい。それらを引き立たせるため、フルーツビネガー、レモン 、ほんの少しのお塩をブレンドしています。

お味噌、酒粕、甘酒、酵素、と入り口から発酵づくしで宴のはじまりを彩ます。


【2の皿】滋味と混乱のスープと発酵茶のペアリング

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一見おかゆに見えるこのスープは混ぜるたびに味が変わるというシロモノ。一口目は甘酒のような味なのに、どんどんいろんな味が押し寄せてきます。言語化が不可能なこの情報量。

言語化不可能というテーマパーク並に味の情報量のもつスープには、発酵茶であるプーアル茶を合わせました。

プーアル茶にほんの少しの出汁ビネガーを加え、混乱のスープの味わいをぐっと引き締めます。

こちらの出汁ビネガーもキッチン内でつくられたもの。合わせ出汁を時間をかけて発酵させたビネガーはまさに旨みの洪水。試飲してびっくりしました。

あたたかいお茶がお腹をそっと包みこみ、これからまだまだ訪れるコースのために胃と心を整えます。


【3の皿】発酵沼に引きずり込まれるオードブル 〜ホエイと出汁紅茶と〜

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見た目も味も驚くほど個性豊かな4種の味噌と4種の醤油のテイスティング。

アルコールペアリングでは、4種のお酒と組み合わせて楽しんでいただきますが、ノンアルコールでは2種のドリンクをご用意。

ソルティドックのようなグラスの縁に塩のついたドリンクは、ホエイとグレープフルーツを使用。オードブルにあるチーズ+お醤油・お味噌と共に召し上がってみてください。

グレープフルーツとチーズの香りがさわやかで、インパクトのあるお醤油とお味噌の味わいをまろやかに受け止めます。


ピンクベージュのドリンクは、出汁と紅茶、紅麹甘酒を使いました。

紅茶を出汁で淹れ、すこしの塩気と旨みを感じる紅茶をつくります。そこにピンク色の紅麹甘酒、ジューシーなアドベリー酢を加え、最後にキュッとレモンピールを搾り、全体の味わいをまとめました。

お味噌と出汁、合わないはずのない組み合わせにアレンジを加え、新しいマリアージュのご提案をさせていただきました。


【4の皿】山賊の宴盛りメインディッシュとノンアルコールジントニック

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とにかく豪快なメインディッシュにはノンアルコールジントニックを合わせました。

ANTCICADAのノンアルコールジンは ジュニパーベリー、バタフライピー、そしてタガメを蒸留させてつくられています。繊細で芳醇な香りが絶妙。

豪快にかぶりついて味わうお料理なので、ノンアルコールジンにトニックウォーターを注ぎ、説明不要のシンプルな美味しさに。

お口の中をさっぱりとしつつ、ほのかにあと引く香りの余韻を感じていただきます。




発酵づくしのノンアルコールペアリング、いかがでしょうか。

わたしにとっても、奥深い発酵の世界に触れられて、とても刺激的なドリンク作成でした。

お酒が飲めない方、お酒が好きな方にもぜひともノンアルコールでのペアリングで新たな味わいとの出会いを体験してほしいです。

できることなら、アルコール、ノンアルコールとミックスしてお料理とドリンクの組み合わせのマリアージュを堪能していただきたい・・・!!

よければぜひぜひ感想を教えてくださいね。


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