数学者になりたかった人の話

ちょっと前コロナに紛れてましたが、話題になっていました。世紀の大ニュース。

ABC予想、完全に証明されたという事実、これはノーベル賞何個分にも匹敵するくらいの功績だと言われていますね。

 

「数学」が完成された学問ではなく

まだまだ未完成で、発展し続けている学問であることを実感します。

 

査読に8年かかったと言われていますが、今までにない数学の理論をゼロから作り上げ、

数学者が何年かかっても解くことが出来なかった問題を解決してしまうくらいのモノであれば、それくらいの年月がかかっても不思議じゃないと思います。

 

というのも本来、数学の理論を学んでいくことは、非常に時間のかかることだからです。

例えば、大学生の教養レベルと言われる「微分積分学」でさえも、普通のカリキュラムに沿ってじっくり読み込むのであれば2年はかかります。

 

ですから、望月教授が独自に作り上げた理論を辿っていくことに、世界の名だたる数学者たちが8年かかったということは、さほど驚きではありません。きっと、それくらい

天才の中の天才たちが長い時間をかけて一つの問題に取り組み、解決を成したこと。

このように、歴史的事実を知ることができて非常に感動しています。

 

さてそろそろ「お前はどの目線でモノを言っているんだ」となりそうですが、

かくいう自分も数学を学び、その面白さに惹かれて熱心に取り組んだものです。

もちろん、望月教授をはじめとする、最先端の研究を行く数学者に比べれば、自分がやっていたことは子どもの遊びのようなものですが

 

それでも数学の魅力に取りつかれ、学生時代はたくさんの時間を費やしていました。

あまつさえ数学者になりたいとさえ思っていました。

残念ながらそれは到底届くものではなかったのですが。



以下、回想 



学部3年生のとき、自分が専攻するゼミを選ぶために教授と面接する機会がある。

当時、数学者になりたいなぁとボンヤリと思っていた僕は、世界的にも有名な整数論の研究者のもとを訪ね、意気揚々と言った。 

 

「○○教授のもとで研究して博士課程に行きたいと考えています!」

 

 

それを聞いた教授が自分に放った一言

 

 

「あなた、いまここで代数学の基本的理を5通りの方法で証明できる?」

 


「できません、、、」


 

「整数論の研究者として食べていくなら、これくらいの事をスラスラやるくらいじゃないと、とてもじゃないけど無理よ」

「数学者になるってことは、世界で誰も発見したことの無い事実を見つけていかなくちゃいけないの」

「それこそ、最前線で活躍している数学者と肩を並べて議論できるくらいにね。それは東大生だって滅多になれるものじゃないのよ」

「博士課程に進むってことは、それ以外の選択肢をほとんど捨てて進むってこと。修士課程とは訳が違うのよ」

「おまけに教員免許も持っていないとなると、とてもじゃないけどダメだったときの潰しなんてきかないわよね」

「こちらにいる○○君は3年生のときから飛び級して私の研究室に入ってるの。1年生の頃からすごく優秀な成績を残しているのよ」


○○さんの話しを聞くと

入学したころから暇さえあれば数学のことを考えて、自分でドンドン教科書を読み進めていたと。いまでは色々な論文を読み漁っているとのこと。


「あなた、○○君と同じ、もしくはそれ以上のことを成し遂げる覚悟はある?」


とてもじゃないですが、人生の選択肢をすべて投げ売ってまで数学を研究していく覚悟はありませんでした。

所詮、趣味程度のレベルに過ぎなかったというわけだ。 

数学者というのは、寝ても覚めても一日中数学のことを考え続けてしまうらしい。

どうやら自分が思っている以上に狂人でないといけないみたい。

数学が好きだから、とか数学が得意だから、とかそんな次元を超えて先にいる人だと。

それからのことはよく覚えていないですね。結構ショックだったので暫く外でボーッとしていたかなと思います。笑




とまぁ、久々に自分語りをしたんですが、何が言いたいって


数学者は頭おかしい!!でもそれくらい数学を愛している!!


自分も数学が好きであることには変わらないし、出来ることなら数学には一生携わっていきたいと思っていますけどね。

これからも望月教授はじめ、世界の最前線で戦い続ける数学者の活躍を祈ります!

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