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母のメモにあったアンパンマンのマーチ

■母の思い出

ここ数日、ビジネスコンテンツを作成する手が進まなかった。
こんなとき思い出すのは、亡くなった母のこと。

小学校の教師だった母は、とにかく本が好き。
ダイニングテーブルの下に、様々な大きさの箱があり、
雑然と文庫本、新書が並んでいた。
箱の中の本がまっすぐ立っていれば、
「片付いている」ということらしかった。

食事の時の話題は、だいたい歴史上の人物。
母は武将を友達のように話した。
なんで知らない人なのに、見てきたかのように話すのか?
子供ながら不思議だった。

休日に出かけるのは大きな書店と百貨店。本と洋服を買って帰る。
3~4才までは、屋上に行きたいとねだっていた。
「だって、いつも迷子ですってアナウンスかけるでしょ?」と母。
「今日は言わない」と私。
一人で待つ約束をする。やっぱり「すいません、迷子です。」
と言いに行ってしまい、母はアナウンスで呼び出され屋上へ戻る。


■怒らなかった母

母は私を怒らなかった。
中・高生のころ、当時の私にとって、母は絶対的存在。
NOを言う余地はなかった。
厳格だけれど、怒ることはなく、ほめることしかしない。
有難いことだけど、いっさいのわがままの余地もなかった。

自我が芽生えたころ、
一人っ子だった私は、その環境をとても窮屈に感じるようになった。
結局私は大学1年の時に関西の実家から、一人東京へ家出をした。

しばらく母には会わなかった。
何年かたって母に会った。母は、家出をした私を怒らなかった。


■アンパンマンのマーチ

何年もがたって、母は脳梗塞で倒れた。
そして、長く自宅療養をして亡くなった。

亡くなった後、老後のためにと父と移り住んでいた家を片付けに行った。

相変わらず箱の中に、雑然と並んだ文房具やメモ。
その中にひときわ大きなメモ帳。

メモを開くと、
何枚も、大量に、アンパンマンのマーチの歌詞が
繰り返し、繰り返し、書いてあった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そうだ うれしいんだ 生きるよろこび
たとえ 胸の傷がいたんでも
なんのために生まれて なにをして生きるのか
こたえられないなんて そんなのはいやだ!

今を生きることで 熱いこころ燃える
だから 君はいくんだ ほほえんで
そうだ うれしいんだ 生きるよろこび
たとえ 胸の傷がいたんでも
ああ アンパンマン やさしい君は
いけ! みんなの夢まもるため
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

様々なことが走馬灯のようによみがえった。
母はここに至るまで、どれほどの孤独をかかえて生きたのだろう。

私は涙もろくない。
とてつもなく悲しかったけど泣かなかった。
私の中には確実に母の血が流れている。
あらためて強く感じた瞬間だった。


■二度と話せない

とても優しかった母。
とても強かった母。
たくさんの孤独をかかえていた。
私に言いたかったことがたくさんあったはず。
もっと話したかったはず。
二度と話せない。

申し訳ないという言葉はしっくりこない。
後悔をするより前を向けと言う母。NOを言う余地はない。


■決意の背景

長く続けてきたコミュニケーションマネジメントは、
自分が得意だから仕事にしているわけではない。
不得意だからこそ仕事になっている。

出来ない辛さ、できた時の喜び、行動しなかったことの後悔、
母の思いも含め、まるごと私の仕事に活かそうと思った。
母のことが仕事のきっかけではないが、私の決意の重要な背景だ。

そんなことを思い出し、考えたら、もやもやはふっとんだ。

私はいつも母に助けられる。



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