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経営者の孤独を支えた二人の言葉|はなみちのビジレザ経営日記#15(バックナンバー)

<2021年2月28日に書いた記事です>

ビジネスレザーファクトリー(以下、ビジレザ)の「はなみち」こと、原口瑛子です。

先日のプレスリリースの通り、本日2022年2月28日をもってビジネスレザーファクトリーの代表取締役長を退任し、23月1日より齊藤諏訪の二人が共同代表として代表取締役に就任いたします。

前回のブログで「はなみちのビジレザ経営日記」は "完結編" にしたのですが、ひとつだけ未来のために書き残しておきたく"番外編"を書くことにしました。経営者の孤独を感じる人に向けて。

声が小さい社長は

もともと私は口が達者ではない。さらに物理的にも心理的にも大きい声が得意ではない。結果、口下手だし声が小さい。以前をよく知る田口や鈴木からは、笑い話として「蚊の鳴く声だった」とよく言われていた。これは経営者としては致命的だとずっと思っていた。

声の出し方や話し方など少しずつ変わってきたこともあるかもしれない。一方でこの数年間で、伝えたいことが伝わらないという経験は、長らく私を苦しめた。自分の努力不足や実力不足は前提の上で、伝えたいことが伝わらない瞬間が、経営者としての孤独を感じる瞬間だった。

まったく違う性格の二人に

だけど、これまでを振り返ってずっとそうだったかと聞かれると、答えは「NO」だ。それは隣にいてくれた副社長金ちゃんと人事ちほちゃんが私が伝えたいことを理解しみんなに伝えてきてくれたからだと思う。

金ちゃんは誰にでもわかる美しい言葉で、ちほちゃんは場の温度を上げる言葉で、みんなに言葉を紡いでくれた。この二人の存在が経営者の私にとってとても大きかった。

話は脱線するが、私たちは動物占いで遊ぶのが好きだった(笑)。生年月日を入力すると12分類60種類の動物が当てはまる動物占い。

三人の動物占いは、私が感情豊かな黒ヒョウ、金ちゃんが守りの猿、ちほちゃんが長距離走のチータ。三分類に当てはめると、三人が違う性格に位置している。

確かに、まったくと言っていいほど違う性格だった。でも違う性格だったからこそ、分かり合えたことがたくさんあった。

経営者の孤独は"ない"

でもきっと最初からそうだったわけではない。年月をかけてそうなった。

こんな出来事があった。私が社長になってしばらくして二人に呼び出された。正確には、二人は出張中で同じ場所にいて、私がはオフィスにいて、オンラインで呼び出された。そして、こう言われた。

「僕らは、今の原口さんが考えていることが、わかりません」

頭をぶん殴られたようだった。一番話してると思ってた二人に、一番信頼してると思ってた二人に、この言葉を言われたらもう終わりだ。でも二人は続けた。

「僕らは一枚岩になりたいから、今考えていることを教えて欲しい。原口さんと同じくらいビジレザのことを考えているんだから」

本当に嬉しかった。私は一人で抱えていた不安を一つ残らず伝えた。わんわん嗚咽しながら。

隣にいてくれる人に

今振り返ると、二人はそんなこと言いたくなかったはず。だけど二人はあえて言ってくれた。それが経営者にとってどんなに貴重なことなのか経験のある方にはわかるかもしれない。

それからと言うもの、二人とのコミュニケーションは量も質も変わった。いつも隣にいてくれて、嬉しいことも悲しいことも、全部話した。

一緒に嬉しがったり、悲しがったりした。まさに私たちは同志だった。次第に阿吽の呼吸になって何も言わなくても、互いが考えることがわかるようになった。

そういや、私がまだメンバーだった頃、リーダーが一人で悩んでる時に「一人で悩まないでほしい」とずっと思っていた。「私たちの事業なんだから一緒に悩ませてよ」って思ってた。解決できる力があるとかないとか関係なく、単純にそう思ってた。

でも、なぜかリーダーになると、そんなメンバーの頃の気持ちはすっかり忘れて「メンバーに弱いところを見せちゃダメだ」とか「メンバーに負担をかけちゃいけない」と思ってしまうのが、よくある話。

メンバーは、正直そんなことは願っちゃいない。苦しい時はお互いさまだって知っている。だから、経営者の孤独なんて、本当はきっとない。それを私は二人に教えてもらったんだ。

いつも感謝を伝えたい

二人がいたから、今の私がいる。そんな二人に出逢ったことが、経営者の私にとって奇跡のようなことだった。だから、二人に心から感謝している。

未来の自分や経営者の人たちにも伝えたい。そうやって隣にいてくれる仲間に必ず出逢える。そんな仲間ができたら、いつも感謝を忘れないでいたい。

声が小さい社長の私は、この場を借りて大きな声で言うんだ。今まで本当にありがとう。


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