読んだ本のことは忘れない
1/20放送の「ブラタモリ」は黒部峡谷。電源開発の軌跡をたどった回でした。
番組の中で、トンネル掘削時の障害になったという高温地帯の話が出てきました。私は黒部ダムとか、立山黒部アルペンルートとか、行ったことはないはずなのに、なぜか脳の奥の方で「それ、知ってる」という気がするのです。このうっすらした記憶は、うーん・・・。
と考えていたらふと思い出しました。あれは、大学1年のときですよ(数十年前のこと)。
ワタクシはマジメな新入生だったので(少なくとも最初は)、授業も熱心に聞いていたのです。パンキョー(多分死語)の「化学」の授業では、先生が毎回「これを読むといい」という本を挙げてくださっていたので、それも必死に読んでいました。ただ、毎回2冊ずつ紹介されるので、徐々についていけなくなってどこかのタイミングでギブアップしたのですけれども。
で、その中の一冊が「高熱隧道」(吉村昭)だったのです。
とんでもなく過酷な状況でトンネルを掘り進めたという記録があまりに生々しくて(犠牲者はなんと300人以上)、休み時間に読んでいたら多分あまりにすごい形相になってたんでしょうね。友達に「何読んでるの?」と聞かれて本のタイトルを見せたら「えいこさんってそういう本読むんだ」と感心された(=呆れられた)のでした。
その時は別に興味があって読んだわけではないし、そのあと一度も読み返していないし(そもそも手元にもないし)、読んだことすら忘れていたんですけどね。
でも、読んだことって実は脳の奥の方に残っていて、数十年後でもフッとこうやって浮き上がってくるものなのか、となんとなく嬉しいようなこそばゆいような感じになりました。
最近は若年層が読書離れしているらしいので、もったいないなあ。