彼女にとっての「めんどくさい」は私にとっての得意分野
誰だってめんどくさいことは嫌いじゃないですか。
ただ、その「めんどくさい」は人によってずいぶん違うのですよね。それに気づかされたのはだいぶ前の、職場のイベントのこと。
当時の職場では定期的に「お食事会」が開催されていて、幹事は持ち回りでした。たまたま私が幹事に当たったとき、一緒に幹事をすることになった方が全く違う部署の方でした。つまりはほぼ初対面。
お互いがどんな人なのかもわからず、まずは恐る恐る自己紹介を兼ねてのミーティング。
一発で分かったのは、「この人とめちゃくちゃ相性がいい!」ということ。
相性がいいと言っていいのかはわからないのですが、とにかく、それぞれの得意・不得意が完璧に逆だったのです。私にとっての「めんどくさい」が彼女にとっては「得意なこと」で、彼女にとっての「無理無理無理ー」なことが、私にとっては「全く苦ではないこと」でした。
幹事の役割は、お食事会に行くメンバーそれぞれに都合のいい日・悪い日を聞いて集計し、人数からお店を決めて、お店に予約の電話を入れること。さらに日時と場所が決まったらメンバーにお知らせを送って、当日はちょっとしたスピーチをすること。
私にとっての「めんどくさい」は「人数の集計」と「お店に予約の電話を入れること」。とにかく電話が嫌いなのです。これが、彼女にとっては「めっちゃ得意分野」。
一方彼女にとっての「無理無理無理無理ー」は、「メンバー宛の文面を考えること」と、「大人数の前でスピーチをすること」。こっちは私にとっては苦ではなく、むしろ「えっ、私がそんな楽な方取っていいの?」という感じ。
そんなわけでお互いがお互いの「やりたくないこと」を一切せずに当日を迎えることが出来たのでした。
「適材適所」とか「人には向き不向きがある」とか「世界はいろいろな人の役割分担で成り立っている」ことはアタマではわかっていたのですけどね、「ああ、こうして世界はうまく回っているのか」とすとんと身に染みたのがこのときでした。
今日は学生と一緒に作業がありました。5人の学生を見ていると、やっぱりそれぞれ、向き不向きがあるのですよね(本人たちに自覚があるかはわかりませんが)。離れて見ていると、彼らは無意識にそれを補い合っているのです。今の教育って得意分野を突出させるより、全方向にまんべんなく「まあまあ出来る」ことを目指してますけど、出来ないことを人に頼めるようになるとか、自分では出来ないことを出来る友達を作るような、ヒューマンスキルのほうが大事じゃないかなあ。