小説 タイムマシーン
「次に会社に遅刻したら、お前の在籍記録を抹消してやる」
そう先輩に言われたのが先月、そして今日ついに遅刻してしまった。
正確にいえばあと2分で8:30、遅刻が確定する。
とりあえず急いで歯を磨いて、玄関をバタバタと出る。もう2分経ってしまった遅刻だ。
どうしよう本当にもうおしまいだ。
パワハラも残業も相当酷い会社だったが、これから新しい会社を探す気力も、両親に養ってくれと頼む勇気もない。
そうして途方の彼方に暮れに暮れていると、近くの路肩に止まっているデロリアンが見えた。
一瞬頭が混乱したが、この機を逃すことは許されない。
急いで駆け寄り、運転手に
「会社に遅刻してしまって、僕の人生が崩れそうなんです。20分前の過去にタイムスリップさせて、ついでに僕を会社まで送ってください!
さもなくば路上駐車で警察呼んじゃいますよ」
と時間旅行者には大して脅しにならないだろう脅しをふっかけた。 すると運転手は
「警察かそれは困るな、いいだろう。元々ボロボロそうなお前の人生を救ってやることにしよう」と、拍子抜けするほどの快諾と聞き捨てならない余計なひと言を貰い、助手席に乗り込む。
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