ゴルゴ餃子と我が家の「手作り餃子」
◇思い出の餃子
若い頃、確か40年近く前、そのお店は郊外の駅前にあった。
『餃子天国』という名前でいつも行列の出来る2階のお店。
階段下の路地まで人が並んでいるのが当たり前の当時超人気店だった。
特徴的だったのは、注文は1回しかできないことが店内に貼りだされ2度頼もうものなら、「お客さん、注文は1回までだよ!」と厳しい口調で注意される。再オーダーできないので、注文するのは覚悟を持って臨まなければならないお店だった。
一歩店に足を運んだら、そこは戦いの場。真剣勝負。
客と店との間で見えない火花がバチッと飛び交うのだ。
お客さんはまったく気が抜けない。
客は注文したら静かに待ち、注文の品が提供されれば一心不乱に餃子にむしゃぶりつく。
余りざわざわしていると、カウンター内のオヤジさんが睨みを利かす。
声は出さねど、職人のすごみがあった。
「ウチに来たら、余計な話なんぞしないでさっさと餃子をたべな。」
こんな声が聞こえてきそうな空気のする店だった。
ドリンクはビール中瓶1種のみ。
こちらは再オーダー出来るが、アテの餃子を食べ尽くしてしますと、ビールだけ再オーダーするのは忍びない。退去するしかないのだ。
メニューは、しいたけ、チーズが売れ筋だったと記憶しているが、本当は5種類くらいあったと思う。
1オーダーに大き目の餃子が3個、どーんと出て来た記憶がある。
1皿でも十分お腹がふくれるのだが、初めて連れの紹介で訪れた時は、1オーダーしたのみで再オーダー出来ず、満腹になるという思いを果たせずに消化不良のまま帰ったのではないだろうか。
それでも、ボリュームたっぷりで、凄く美味しかったのを覚えている。
リベンジで再訪問した時には、要領を得ていたので、はなからオーダーを決めておき、食べたい物をしっかり食べ、充分満たされて帰ったと記憶する。
飲食業は接客も商売繁盛の大事な要素と位置づけられているが、このお店は餃子一本で勝負する生粋の〝餃子職人〟の店だった。
お客さんに媚びることを一切しない頑固一徹の経営姿勢。
それでいて超人気店。
当時、仲間うちでは、『ゴルゴ餃子』と呼んでいた。
当時の人気ハードボイルドコミックのニヒルでクールなスナイパーである主人公ゴルゴ13を例えたのだ。
店の人と会話をしたことはないが、
「ウチの餃子食べたいのなら、真剣勝負に来なよ。」
こう、店主の声が聞こえてきそうで、職人気質のこのお店の虜になって吸い寄せられてたんだろうと今になって思う。
「ここの餃子は、ボリュームあって美味しかったな。チーズ餃子も当時珍しくて楽しませてもらった。」
としみじみ回想するのであった。
※今はもうなくなってしまったと思って、ネット検索したら、移転して別の場所で営業されているのが分かったので近いうちに訪ねてみようと思う。
◇我が家の「手作り餃子」
・手作りに近づいていく
我が家では、いつのまにか、どんとまとめて作り、冷凍保存するのがお決まりとなった。
元々は近くの餃子の王将から生餃子を買って来て、都度都度焼いて食べていた。
・餃子の皮に目覚める
ある日、市販の超大判の皮を買って自分で餡を作り、食べてみたらあまりにも美味しいので元へ戻れなくなってしまった。
毎回100個ほど作ってはジプロックにしまい、冷凍保存することを覚えた。
さらに良い皮が見つかったのでもう一歩進化を遂げた。
それまで、クルマで出かけては蕎麦をまとめ買いしていた製麺所屋さんでうどん、餃子の皮も評判が良いと聞きつけたので、試すことにした。
元々は、毎年末の年越蕎麦はここと決めていたが、うどんも試したらそのモチモチ感と粉そのものが美味く、市販の物では物足らなくなった。
恐らく餃子の皮も美味しいに違いないと試してみたら、ドンピシャ。
現在のところ、知っている限りはここの皮が最強だ。
モチモチ感と粉本来のうま味がたまらない。
もう後戻り出来なくなった。
(有)前田屋製麺所 https://g.co/kgs/sTPhC7Q
最終形は、皮も粉から溶いで完全手作りとすることが残されているが、当面は現状のまま進むつもりだ。
・道具でも進化があった。
たまねぎ、きゃべつのみじん切りが大変だったので、まず最初にフードプロセッサーを購入しチャレンジしていた。
特にタマネギのみじん切りの際の目に染みることから解放され、中々の優れものだったけれど、難点があった。
粗さ調整が難しく、細かくなり過ぎてしまうと水分が出来ってしまう。かと言って粗過ぎると食感が合わず、バランスを取るのにかなり神経を注ぐことになった。何度か試すも中々上手くいかない、それでは、仕方ないと一旦は包丁に逆戻りしてしまった。
そこで、思案した挙げ句に行き着いたのがチョッパーだった。
好みの粗さが簡単に調整できて使用後に洗うのも簡単、なにより時短が出来るのがすごく有難い。
では、作ることとしよう。
🔶材料
餃子の皮 100枚
合挽肉 1kg
タマネギ 1個
キャベツ 半分
ニラ 2束
にんにく 5片
生姜 1片
Bペッパー 大匙5
塩 ふたつまみ
醤油 大匙1
ゴマ油 大匙1
🔶使用道具
チョッパー
※ダイソーで確か500円で購入。
ステンボール 大
🔶レシピ
《下準備》
餃子の皮を冷凍庫から出して皿に移し、ラップをかけ冷蔵庫に1晩寝かす。
冷蔵庫から出したらラップを外し、水をくぐらせてから絞ったキッチンペーパーをかぶせ室温に置く。
これは、餡を包む時にふんわり柔らかく包めるので大事な工程。
《下拵え》
1️⃣ キャベツ、タマネギをざく切りする。
2️⃣ にんにくを皮を剥き、ヘタを切ってから3等分にする。
3️⃣ 生姜も皮を剥き、4等分にする。
4️⃣ チョッパーを使って、具材を細かくする。
(1)1️⃣ でカットしておいたキャベツ、玉ねぎを順にチョッパーに入れ各々100回引き、順に皿に取り出す。
(2)2️⃣ 3️⃣ のにんにく、生姜も順にチョッパーに入れ、各々100回引き、小皿に移す。
5️⃣ ニラを粗めに小口切りにする。
6️⃣ 4️⃣(1)(2)のキャベツ、タマネギを各々塩ひとつまみを振り全体に軽く揉む。各々ラップを掛けて、レンジで600Wで5分加熱する。
加熱が終わったら、ラップを外し、スプーンで片側に寄せ、傾斜をつけて水分が溜まるようにする。
溜まった水分は時折スプーンですくって捨てる。
7️⃣ 熱処理したタマネギとキャベツの熱が冷めるのを確認したら、ボールに下拵えした全材料、挽肉、ブラックペッパー、醤油、ごま油を入れ、全体がなじむようにしっかりと揉む。
ムラがあれば、都度都度、揉み解す。5~6分、手もみすれば完成。
ビニール手袋をすると、ベタベタせずに済むが敢えて素手で行う。
8️⃣ 餡を皮に包む作業の前に用意する物
・小皿に水は入れておく。
・餡を盛るスプーン大。
・包んだ餃子を一時保管する皿。
・冷凍庫のステンレストレイ。
9️⃣ 包む作業
・人差し指に水をつけ、皮の縁全体に一筆描きで塗る。
・ボールからスプーン大で包み込める量の餡を盛る。
・両手の親指、人差し指、中指を使って包んで行く。
個人的な好みであるがヒダヒダが2ヶ所出来るようにしている。
🔟 出来上がったら、皿に整列よく置いていく。
乾かぬように水をくぐらせて絞ったキッチンペーパーを必ず掛けておく。
🕚 冷凍作業
冷凍庫のステンレストレイに出来上がった餃子をひとつずつ並べ、収納する。約半日くらい冷凍状態に置いたら、取り出してジプロックの大袋に詰め、冷凍保存する。
🕛 焼き作業
テフロンのフライパンに薄くサラダ油をひく。
冷凍餃子を等間隔に10個並べ、中火で4分、その後、冷水を30cc程加え、さらに4分中火で焼き上げる。
ようやく、食べる時間が来た。
主役は餃子だが、脇役も粒ぞろいだ。
作る大変さはあるが、この美味しさを知ったら止められない。
さあ、ビールをお供にいただきます!
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