クリップスタジオペイントを使ったアニメ表現 ー 末広がりに降る雨

クリップスタジオペイントを使ったアニメーション表現についてプチ研究しています。

アニメ―ションと言えば、テレビや映画などのストーリー物を連想されると思います。ここでは、主に一枚絵をループで動かすショートアニメーションを取り上げます。

この記事では、「真直ぐ下に落ちる雨」、「ななめに降る雨」に続き、「末広がりに降る雨」について考察しましたので、その内容をお伝えします。

方法の検討

雨が上から落ちるにつれ左右に広がっていくアニメーションですが、その方法にキーフレームを使うのはちょっと難しそうです。

やってやれないことはないかも知れませんが、ちょっと想像が及びません。従って、ここでは無理せずフレームバイフレーム（パタパタアニメ）で検討したいと思います。

今回は、放射ぼかしで雨を拡散する方法で末広がりの雨を作ってみたいと思います。

雨のイメージ

実際にどんな感じの雨にしたいかの一例です。

これは、どなたかが作成したロイヤリティフリー画像ですが、以前一枚絵に使ったことがある画像です。このイメージを元に、雨をアニメートしてみたいと思います。

作成プラン

作成したアニメーションをB5縦に描いた過去イラストに使いたいので、通常の横長枠ではなく、縦長枠で作ろうと思います。

概念を下図に示します。画面枠（キャンバス）に対してイメージサイズは縦方向に２倍です。上側と下側のイメージは同一であり、上から下に移動して終点まで進むと始点に戻ります。「真直ぐ下に降る雨」、「斜めに降る雨」の表現と同じく、上下２枚のイメージが一致していることでループしているように見えるはずです。

1秒で画面の縦方向の長さ分を８ステップで移動させます。１秒で24コマなので、３コマずつ進めることになります。

雨の描画

B5縦のキャンバスにスプレイでドット（雨粒）を描画しました。ドットはキャンバス中心上下でミラー対称に加工しています。

キャンバスサイズをB5縦に２倍にし、描画した雨を複製して上下に配置して一枚のオリジナルイメージとしました。（スクショを撮り忘れました）

そして、このオリジナルイメージを複製してキャンバス中心で放射ぼかしをかけたのが下の図です。（赤い点が放射ぼかしの中心です）

以降、オリジナルイメージを複製、B5縦1/8ずつ下に移動、それぞれに対して画面中央で放射ぼかしをかけていきます。（イメージは移動しますが、放射ぼかしの中心はキャンバス中心のまま変えません）

そうしてできた８枚のイメージをフレームバイフレームでループ再生したものがこちらです。

あくまでも疑似的な処理ですが、それなりに効果が出ていると思います。正面からシャワーを浴びせられるような場面にも使えるかも知れません。

また、フレームバイフレームなので、アニメーションの一部をマスキングして使ったり、イメージを拡大・縮小したりのサイズ変更も容易です。

過去イラストへの適用

過去イラストの背景に置いてみました。差し当たり調子を見たかったので、ざっくりと前景、背景にレイヤーを統合してその間に雨のアニメーションを入れました。

キャラに動きがないため今一つ面白くありませんが、雰囲気は出ていると思います。雨脚の速い雨をキャラの前面においたり、ゆっくりと移動する霧雨を背後に置けばさらに空間に奥行きが出せるかも知れません。

また、３コマ撮りだとどうしても動きは荒っぽいです。余裕ができたらフルアニメも作ってみようかと思います。