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BtoBとBtoCの違いより大切なこと

こんにちはコスモブレインズの宮本です(@eijimiyamoto01)。生産財業界でマーケティングコンサルタントをしています。この記事はBtoB営業に挑戦しようとしている人や経験はあるけど、BtoB営業は難しいなと感じている営業の人に読んで欲しくて書きました(教育係の人にも読んで欲しいです)。

”自分たちの業界は特殊”という自負心が目を曇らせる

BtoBのクライアントと打ち合わせしているとしばしば「自分たちは特殊だ」「BtoBとBtoCは違う」おっしゃいます。そうした思い込みがマジナイのように発想の幅を狭めてるなあと感じることがあります。BtoCとの違いばかりに注目が集まることに違和感があるんです。ベテラン営業が新人に法人営業のイロハを教えるときに法人営業の特徴を強調するせいで、BtoB営業は特殊と頭でっかちになって営業を複雑に必要以上に難しくしていると思うんです。BtoCとの共通項の理解がすっぽり抜け落ちているんじゃない?ていうのが今回の問題提起です。これから法人営業と個人営業を例にお話しします。

「理論的な検討かどうか」という思い込み

アルアルの1位は「理論的な検討かどうか」という思い込み。法人客は理論的に業務に必要なものを選ぶと言われています。そして、個人はそうではないと考えられがち。しかし、本当にそうでしょうか?法人か個人かという分け方がズレているのです。理論的に検討するかどうかは商品が与える影響の大小で決まります。例えば、保険に入るとき気分だけで決断しないですよね。法人か個人かではなく【影響の大きさ】が鍵なのです。法人顧客はいつも理論的に検討するわけではありません。少額の購入に関してはじっくり性能や価格を比較検討することはなく、「いつもと同じもの」を無意識のうちに購入しがち。少額商品でなくても決めるのは人間です。「どんないい条件でもライバル会社からは買いたくない」「長年お世話になった会社を裏切るわけにはいかない」と理論的な検討がなされないケースもあるのです。また法人営業の決め手はQCDと考えられがちですが、QCDは絶対ではありません。「品質」「価格」「納期」が多少劣っても選ばれることがあるのです。相手が信用できるかどうか?これまでの実績、供給能力やアフターサポート、親会社や元請け企業の意向など”大人の事情”も選定に影響を与えます。

理屈のまえに感情

法人営業も個人営業も根っこは一緒です。特別な理由のない限り、嫌いな人からは物を買わないのです。(嫌な人でもその人にしかできないことであれば別ですが・・・)法人営業は理論的な提案が大切と意識するあまり、感情軽視が原因で失注するケースも見受けられます。指摘されたことが正しいとかえって反発したくなるってよくありますよね。提案のまえに相手の心を開き、困った状況を共感することが大切。そのうえでユーザーに寄り添いながら問題解決方法をともに探る姿勢が営業には不可欠なのです。同じコンペでもヒアリングの差で条件が全く変わってしまうことだってあるのです。「法人営業はなんか難しい」と思い込んでいませんか?理論的な説得ばかり気になって感情面のフォローが疎かになっているだけかもしれません。理屈の前に感情なんです。法人営業もプライベートの友達作りも基本は一緒なのです。プライベートだと仲がいい相手のことを良く知ってるはずです。好きな人のことはもっと知りたいと思うものです。そして理解が深まるほどに付き合いも深くなります。法人営業も一緒です。ほんの少し違うのは担当者を理解するだけでは不十分で、会社についても興味を持って理解しなければならないということです。

あなたの一番仲のいい友人は・・・
男性ですか?女性ですか?
痩せてますか?太ってますか?
身長はどの位ですか?
年齢は何歳くらいですか?
家族は何人ですか?
一人暮らしですか?
お酒は飲みますか?
好きな食べ物は何ですか?
苦手な食べ物は何ですか?
趣味は何ですか?


ほとんど知ってますよね。では取引先ではどうでしょうか?

あなたの一番大切な取引先は・・・
メーカーですか?商社ですか?
売上や利益は増えてますか?
設立して何年ですか?
従業員数はどのくらいいますか?
主要な取引先はどこですか?
意識するライバル会社はどこですか?
営業系の会社ですか?
研究開発系の会社ですか?
販売は直販ですか?代理店販売ですか?
通信販売はしていますか?
海外拠点はありますか?


あなたは大切な友達と同じように大事な取引先のことも知っていますか?やっぱり信頼してもらうには、お客様に興味を持ち、より深く理解するのが第一歩です。法人営業も個人営業もベースは同じです。相手の気持ちを開くことが先決。そのうえで提案を行う必要があります。

プレゼンよりヒアリング


提案営業は効果的な手法として持てはやされています。しかし、多くの人が提案営業を誤解しているかもしれません。華麗なプレゼンテーションや裏ワザ、そしてテクニック。提案をより魅力的に見せる効果的な表現方法・・・それらを否定するつもりはありませんが、そんなことよりも顧客や見込み客に心を開いていただくことのほうが先なのです。どんなに正論で理論的に正しくとも、(むしろ正しいことを言えばいうだけ・・・逆効果になることも・・・)誰が言っているかによって受け取り手の反応は大きく変わるのです。信頼を積み重ね、相手のことを深く理解するには良いヒアリングが欠かせません。良い提案書は読むとお客様の悩み、願望が手に取るようにアリアリと描かれています。本物の提案営業はけっして、どこかで読んだことのあるようなニーズや課題、現状分析の教科書的なものではないのです。提案営業には理論思考が必要ですが、それ以上に信頼関係を積み重ね、相手を深くするためのヒアリング能力が重要です。ヒアリング能力が法人営業個人営業に関わらず必要なスキルなのです。

「御用聞き営業」≒「提案営業」


御用聞きには「何か必要なものはありませんか?」というだけのイメージがあります。しかし、そうではありません。本物の御用聞きは”執事”のような存在です。これまでの注文を覚えており、買い替えのタイミングやニーズを熟知して、必要なタイミングに必要なものをさりげなく持ってくるのです。顧客を良く知ってるから無駄がなく、一見簡単に見えてしまうのです。個人営業でも法人営業でも一緒です。顧客のことは会社のことから担当者の個人的な趣味・志向から家族構成まで幅広く理解してます。ニーズを先読みしながらさりげなく用意するのです。「そろそろ在庫が切れるので持ってきてよ」→「ちょうど持ってきてました」こういうことが自然とできるのが御用聞きです。御用聞きは自分が目立つようなことはしません。自然にさりげなく役に立つ。顧客がいつも主役です。提案営業が上で御用聞き営業が下というのは大きな勘違い。それはスタイルの違いに過ぎません。黒子に徹して顧客を立てるか。華やかな提案で自分にも光を当てるか。その違いです。提案営業では一歩間違えると顧客よりも営業に脚光が当たりますが、御用聞き営業では決してそういうことはありません。立派な提案書をつくって派手なプレゼンはしませんが、確実に顧客に貢献します。

結論

BtoBとBtoCの違いで法人営業を理解しようとする視点自体がズレている。理屈だけだと嫌われるっていう普通の感覚を忘れてないほうがいいよねってお話です。営業ならお客さんの喜んだ顔見たいですよね。

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