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明日の13日の金曜日を想う。

近所に新しくできたバーガー屋へ奥さんと車で出かけた。とても気持ちのいい天気だ。彼女と明日の予定を話していたら、急に思いついたように、彼女がこう言い出した。

「あ!そういえば明日は13日の金曜日だ!不吉だ!ぎゃー!」なんて。

それを聞いて、ふと、私はこう思って彼女に言った。

「そういえば13日の金曜日って聞いて、今の若い人たちは”不吉なイメージ”があるのかなぁ」なんて。

「あぁ、そうだね、これってもう40代以上くらいの人しかわかんないかもしれないね!」なんて言って笑ってた。(どうだろうね?)

たぶん、「13日の金曜日」というホラー映画の影響が大きいと思うけど、さっき、ちょっと調べたら、第一作は1980年公開になっていた。こんなふうに、当たり前にみんなが知ってると思っていることも、知らないうちにそうじゃなくなっていることが、たくさん増えているんだろうなぁって思った。

人と人とが分かり合えない。そんな出来事に私たちは、この日常の中、ため息つくようにどうしても、嘆いてしまうけれども、よくよく考えれば、それって当たり前のことなんだろうな。

育った場所も生きている長さも考え方も、そして、大切なものも思い出も、何ひとつ同じものはない。違っていて当たり前。そんな当たり前のことを、私たちはつい、忘れてしまう。

でも、社会に出ると必ず同じことを要求される。みんな人は違うのに、同じ考え、同じ動き、同じ言葉、同じ行動を要求される。確かにそれは大切なこと。社会を効率的に動かすには、同じことが必要だ。だからどうしても、いつのまにか、同じが当たり前に思ってしまう。そうして違うことに腹を立て、傷つき衝突してしまう。

それはなんて、哀しいことだろう。

大切なのは、違うことに腹を立て、無駄に時間を過ごすことではなくて、だからといって、仏様の心で、すべてを許すことでもない。だた、「違う」ということに、気付くことだと思う。

「あ、この人はこう考えるんだ!」って宝物でも見つけたみたいな気持ちで、気付けばいいのだと思う。

なんて思いながらも、私は照り焼きバーガーを注文する。彼女はフィレオフィッシュバーガー。もちろん好みはそれぞれだ。バーガーは、たまにしか食べないけれども(大きな割引券があるとき限定。)そのたまに食べるバーガーが一番おいしい。

冬が後戻りしたみたいな陽気な天気。席に座って、子供みたいに、あーんと口を大きく開けて、おっきなバーガーをほおばる。窓からの陽ざしがとてもあたたかい。

今日という日を、楽しんでいる人もいれば、苦しんでいる人、悲しんでいる人、それぞれにいるだろう。同じ日なんて誰にもない。それはたぶん、”かわりばんこ”に私たちは今を生きているからだろう。

明日は不吉かもしれない。でも、それを知らない人もいれば、気付かないままの人もいる。いい日も悪い日も、次は誰の番かなんて、みんな誰にもわからない。

ただ、「違うこと」を素直に受け入れてゆく。

そうしていつか「みんな違って、みんないい」が、自然と心に浮かぶように、私たちは今を、生きてゆくのだ。

最後まで読んで下さってありがとうございます。大切なあなたの時間を使って共有できたこのひとときを、心から感謝いたします。 青木詠一