ありがとう、今年最後に。
「どうしてこんなにも1年が早いのだろう」
子供の頃は、あんなに1年が楽しくて長かったのに、大人になるとこんなにも早い。多くの大人がこの時期に、よく口にする言葉だ。
どうしてこんなにも早いのだろうかと、ぼんやりと考えていた。
私は今までこう思っていた。子供の頃は、まだ、いろんなことが新鮮で、たくさんの興味でそれをすべて吸収するから。そして、大人になると、物事の新鮮さは薄れてしまって吸収しないからと、なんとかく考えていた。
でも、それは違うんじゃないかと。
こんなにも巨大なネット社会だ。今は大人になっても、毎日が新鮮なことばかり。興味は増すいっぽうだ。それは子供の頃よりはるかに多いと言ってもいいだろう。
じゃあ、どうしてだろう?
それは「忘れるから」じゃないかと思った。子供の頃はたくさんのことを覚えてゆく。でも、大人になると「忘れること」を覚えてゆく。
そんなふうに思うようになった。
大人になるにつれ、悲しいことが果てしなくなる。子供から思春期になる頃、辛いこと、苦しいことに、どうしていいのかわからなくなる。やがて、その対処法として「忘れる」ことを覚えてゆく。
それが大人なのではないかと。
”いや、そんなことない。大人になったからといって忘れたりしない”と思う人もいるだろう。たぶんそれは、”忘れたことを忘れているから”なんだと思う。
大人になると、悲しみ、苦しみが増えてゆく。それは幸せな思い出よりも、はるかに多い。そうして悲しみを忘れていって、幸せなことだけ残してゆく。だから1年がこんなにも早いんだと思ってもいいのだと思う。
縁側の日向で佇むお年寄りが、あんなにも穏やかな表情でいるのは、幸せな思い出だけを人生に残しているからじゃないかと。
”いやいや、それは間違ってるよ”と言いたい人もいるだろう。それはそれでいいんだ。どんなことにも、答えは一つじゃないだろうから。
でも、私はそんなふうに思いたい。1年がこんなにも早く過ぎてゆくのは、きっと素敵なことなんだ。幸せなことだけが、ずっと輝いているからなんだ。
私はそれでいいと思う。いや、それがいいのだと思う。
今年はこのnoteに出会えて、そしてみなさんに出会えて本当に良かった。私の人生が、これを読んでくださっているあなたによって、彩り豊かになってゆくのがわかる。
それは私の決して忘れられないこと。
そしてそれが私の幸せなことなのです。
ありがとう。今年最後に感謝を込めて。
青木詠一
最後まで読んで下さってありがとうございます。大切なあなたの時間を使って共有できたこのひとときを、心から感謝いたします。 青木詠一